「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「和食とワイン」

清八でございます。

 故・池波正太郎氏の書生を務められていた佐藤隆介氏の近著「池波正太郎指南食道楽の作法」の帯に、「今日という日が人生最後の日かもしれない。毎日、そう思って飯を食え、酒を飲め……亡師にそう教わった」とあります。

写真1

 10月25日に参加させていただいた「いっ木」さんの第一回ワイン会(写真1)は、正に、この内容でした。「いっ木」さんが三年前にオープンされてから好きな食材をお伝えして通い、料理と程よく合わされた日本酒やワインと共に堪能させていただいておりました。今回の和食でのワイン会、何の不安も無く参加しました。実は、時々、この「ちりとてちん」に取り上げさせていただいている拙宅での「わいわいワイン会」はもう20年以上続けているのですが、開始当初は生意気に、ドイツワインだからドイツ料理、イタリアワインだからイタリア料理など、凝っていましたが10年程前からは、普通の和食で組み合わせるようになってきました。全然、レベルは違いますが、和食とワイン、非常に興味がありました。私の独断と偏見ですが、板前、シェフのどちらでも、直接、料理人がお客様と対話しながら提供していくお店では、当然、アルコールドリンクと料理との組み合わせについてのポリシーがあって、決して、酒屋さんとか商社さんからのセールストークに一方的に「うんと言わない」意思を持っているべきだと思っています。

写真2

 今回のワインは、すべて勝沼醸造さんのブランドワインで、しかも有賀社長さん(写真2)自らのセレクトと御案内で進められました。
先ず1本目は、スパークリング「アルガブランカ・ブリリャンテ2005」で乾杯です。今回、大人の事情で料理の画像は、先付けの「すすき盛り(写真3)」だけにします。一品目から「ドウマン蟹」が盛られているとは考えていなかったので、これはたいへんな会になるのではと期待に胸を膨らませ、グラス一杯分余計にいただいてしまいました。2本目が「アルガーノ・ボシケ2007」というやや辛白で、煮物碗に大胆に使われた鱧と松茸をすっきりとした味わいに変えてくれました。そして、3本目がJALのビジネスクラスで出されていた「アルガブランカ・クラレーザ」、このワインにはクエと鰹のたたきの向付がよく合いました。クエの皮をわさび醤油とポン酢の二種類で初めていただきましたが、このクエがこの夜の一品であったと思い出します。

写真3

 4本目にこの夜唯一の赤「アルガ・レティーロ」でした。メルロとカベルネソーヴィニヨン種をフレンチオーク樽で一年熟成したタンニンが程よく廻り、焼物の鰻肝の山椒煮と胡桃飴煮にとてもよく合っていました。5本目はJALのファーストクラスに予定されているという「アルガブランカ・イセハラ」でした。いつもの懐石料理コースで楽しみにしている八寸の吹寄盛りでは、6本目の「栽培者別甲州・番匠田」という限定827本、勝沼醸造さんのワイナリーを訪れても味わえない貴重なワインが登場しました。八寸では、秋刀魚焼き目寿司と茹で落花生、酒盗和えの紫蘇がワインによく合いました。そして、7本目のワインは、これもJALのファーストクラスに予定されているという「アルガブランカ・ピッパ」、甲州種をフレンチオーク樽で半年発酵熟成、瓶熟成二年という贅沢で優雅なワインでした。このワインには、強肴の西京味噌仕立ての伊勢海老(焼き)がたまらなくマッチしていました。そして、8本目のワインはデザートワインとして「アルガブランカ・ドース」、水物の葛きりと栗羊羹とのバランスが絶妙でした。

写真4

 こうして、8種類のワインと先付から水物までの懐石コースが終了したのですが、参加者六名と有賀社長さん、大橋商店の社長さんと共に13本(写真4)が空けられたのです。正直、JALのファーストもビジネスクラスも体験したことがありませんので、嬉しかったです。翌日、気持ちよく酔っていましたが、心地よい酔いでした。まったく、プロの料理人とワインづくりのプロとのたたかいであったと思います。このようなたたかいの場に居合せることのできた幸せを感じております。本当にありがとうございました。最後に、国産のワインの素晴らしさを教えていただけた有賀社長さん、おおきにでございました。

2009.11.6

 


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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