「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「だし・醤油の映画から、家業の話になりました」

 清八でございます。二か月間、ごぶさたしました。さぼってしまいましたので、遡って書いてみました。
 5月31日、「千年の一滴 だし しょうゆ」(画像①)をシネマ・イーラ(浜松市内)で観てきました。昨年夏、フランス・ドイツでテレビ放映され、11月にNHKBS1で放送された番組の映画版でした。麹カビを先祖代々守り伝えている「もやし屋さん」については、漫画「もやしもん」での内容を先に知ってしまったのですが、今回の京都・菱六さんでの「種麹」の場面には感動しました。この麹菌は、「国菌」と呼ばれており、このもやし屋さんがなくなると日本酒も味噌も醤油もみりんもできなくなるかもしれないのです。関西人が納豆を食さないのは、嫌いなのではなく、麹菌を納豆菌から守るため、拒否してきたとする説があります。私は、素人ながら落語を演じ、聴いたり観たり音源や書籍を収集することが道楽であるため、同好・愛好の和食やフレンチ、イタリアンの板前さん、シェフの方々と知り合いになれ、料理の仕込み、だし、調味料など基本的なことを教えていただけて本当に良かったと思っております。今回、この映画を観て、改めて感謝致します。私の大好きな、余呉町の「徳山鮓」さん。8人掛けの大きなテーブルの部屋には、「食に命を懸ける会」の額が掛かっています。この会は、東京農大の小泉武夫博士が世界中の食を食べ歩き、その上で、国内で伝統食を伝え、地産地消を探求し、食育を実践する者たち、そして生産者たちを集められての会です。味噌、醤油、みりん、魚醤、かんずり、鰹ぶしなど本物を作り続けられている全国の職人さんとその会社が参加されているのです。「食に命…」とは大げさなと思っていましたが、今回の映画の内容で、その通りなのだと、理解し納得できました。ありがとうございました。
 さて、「ちりとてちん・その25」で、私の愛読書の紹介をしてありました。1978年2月から「暮しの手帖」を愛読しております。また、86年から93年にかけて農文協から出版された「日本の食生活全集・全50巻」も愛読書の一つです。全巻揃えると、145000円します。この本は、当時の農文協さんの方針で、世代交代によって伝えられなくなってしまった大正から昭和初期の日本全国の家庭料理を現地のおばあちゃん達に聞き書きする形で、レシピと和食文化を残していこう、という事業でした。市内で個人として全巻予約したのは私ひとりであったためか、当時の編集者が取材に来られた記憶があります。「何か、研究されているのか?、料理関係者ですか?」という質問でした。私が、この全巻を定期購読して、読破できたのは、大正末期・昭和初期に国内自給で約1000種類の食材があり、さまざまな調理法で作られ、食べられていたという事実を知ったからです。わかっておられる料理関係者は、「季節感と食材の豊かさでは日本の料理が一番」だと言います。今回の映画では、「調味料の豊かさでも日本の食材、料理が一番」だと思いました。当日、映画のイベントとして、京都から取り寄せられた澤井醤油が販売されていましたので購入してみました。翌日、少し硬めの豆腐を冷やして、醤油は小皿に少しだけにして食してみました。絶品でした。この映画のDVDを家庭科の最初の授業で上映すべきだと思います。教育委員、学校給食関係者の方々、フードコーディネーター、ファーストフード・ジャンクフード関係者の方々、ぜひ、観て下さい。
 先月、浜松市内の某料理製菓専門学校の実習を拝見したことがあります。殆ど若い女性20名ほどの生徒さんたちが素晴らしいユニフォームに身を包まれて、調理されている講師の周りに集まっていました。でも何か違うなと感じたのは、全員がタブレットかスマホを持っていて講師の手元を撮影しているのです。話を聞いているとか、メモを取っている生徒さんは一人もいませんでした。後で、友人・知人に話したところ、「今は、そうなんじゃない」「それが、どうしたの」でした。某有名調理師学校でも欠席したときのためにDVDを作成され、販売していることも知ってしまいました。IT機器、情報ツールの時代ですけど、私は、個人的には納得できません。以前、書きましたが、私は35年来のMacフリークです。初めて購入できたMacintosh Classicは、まだ保管しております。ツールとしての存在価値は、よ~く理解しております。専門学校での実習指導は、伝承とか伝統とか、大げさなことではないのでしょうが、基本と料簡は伝わらないと思うのです。
 5月17日(日)、高山市グリーンホテルで開催されたワイン試飲会(画像②)に行ってきました。拙宅での「わいわいワイン会」で30年来、お世話になっている旧・久々野町の坂本酒店さん主催なのですが、何と七年目13回目にして初めて訪問できました。ワイン輸入商社6社、山梨のシャトー1社から60種類のワイン(画像③)を集め、チーズ王国からはチーズのお一人様小皿(画像④)、そして高山のトラン・ブルーさんのパン(画像⑤)、おつまみ用にローストチキン、生ハム、キッシュ、ピクルス(画像⑥)を揃えていただけたのです。お猪口一杯ずつとしても60種類、もう酩酊状態が続きました。今回のワイン会で素晴らしかったのは、ある商社だけですが、その葡萄の土壌を持参されての説明がありました。本来、ヨーロッパでの商談会、展示会では、葡萄・土壌・ワインの三点セットは当たり前でした。当然と言えば、当然ですね。バイヤーは、その土壌から育てられた葡萄の実を見て、ワインの内容を判断するわけですから。ですから、土壌学・地質学の知識が必要なのは常識だったのです。実は、坂本酒店さんのジュニア、坂本雄一さんは東海大学地質学部のご出身で、国内でも数少ないワイン用の葡萄の土壌・地質学の権威なのです。私も5年前にボルドーのシャトー巡りを体験させていただいた際には、彼のレクチャーのお蔭で、予定になかったワインを味わせていただく幸せを体験致しました。
 このワイン試飲会では日帰りは難しかったので、40年来の友人である飛騨萩原(下呂市)の「民宿赤かぶ」(画像⑦)に泊まりました。何と、当日、分かったのですが高山駅までのバスがこの民宿のすぐ近くから乗れたのです。当夜の晩御飯の数々です。「冷豚しゃぶサラダ」(画像⑧)「味噌田楽」(画像⑨)「アマゴの塩焼」(画像⑩)「鶏ちゃん鍋」(画像⑪)それに「ざるうどん」「朴葉すし」「味噌汁」「デザート」まで用意していただけました。いずれも地産地消の郷土料理なんです。うれしくなってしまうほど、おいしくて、食べ過ぎでしょ、になってしまいました。翌朝は、お土産用の朴葉ずし(画像⑫)の作り方を教えていただきました。その後、坂本酒店さんに立ち寄り、今回の苦労話を伺い、何本かのワインとベルギービール、日本酒を購入、5月24日に開催できた「第73回本果寺寄席 瀧川鯉昇・瀧川鯉橋親子会」の打ち上げに使いました。そうそう、ホテルでのワイン試飲会では坂本家のお孫さんたちも大活躍でした。受付で、パンフとグラスを渡してくれました。労働法がどうこうではなく、三世代で家業として成立しているこのお店は素晴らしいチームです。結局、伝統の食材、調味料、レシピは家業で伝えられ、今後も伝えられていくのだと、強く感じました。

画像① 画像② 画像③ 画像④
画像⑤ 画像⑥ 画像⑦ 画像⑧
画像⑨ 画像⑩ 画像⑪ 画像⑫

「千年の一滴 だし しょうゆ」http://www.asia-documentary.com/dashi_shoyu/

「徳山鮓」 http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi/

「坂本酒店」 http://waiwai-wine.com/

「民宿赤かぶ」 http://www.akakabu-wa.com/

2015.6.4 清八


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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