「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ベルギー、知ってはりますか? その2」

 清八でございます。

  この夏休みにベルギー国内を旅行されている方もいらっしゃると思います。たいへん遅くなって申し訳ないのですが、ベルギー案内の第2弾です。ベルギーの首都はブリュッセルです。イラクへの攻撃の時、毎日のように報道されていたEUの本部があります。この首都を中心として、アントワープ、ゲント、ブルージュ、ワーテルロー、ディナン、デュルビュイとほぼ国内を一周して、その土地土地のビールを飲んだことがありました。以前にも書きましたが、約540社の製造元が400種類以上のビールを醸造・販売している国なのです。

 ベルギー国内には、中世の王様や貴族、そして庶民の家々が当時の姿そのままに残され、現在でも使われています。特に官公庁は近代的な建物は殆ど無く、大きな建物を使えるだけ使っているようです。地震が無いから、現在の財政事情が許さないからといった理由もありますが、基本的には昔から市民レベルの景観条例が自主的に制定され、今でも大都市の再開発には、景観条例委員会に加入している建築関係者の同意が無いと勝手なプランは実施できないという、お約束が守られているという事によります。それから、アメリカ資本のファースト・フードやスーパーマーケットの進出をうまくかわして、伝統ある飲食店や食材屋さんを残してきたことが、逆に現在の魅力になっているんだと思いました。そして、これは歴史の違いもあるのでしょうが、伝統音楽の音色が実に自然に聞こえてきて、生活の中に見事に溶け込んでいるという空間の多彩さ。例えば、ゴールデン・タイムにオペラ座やコンサートホールから生中継するテレビ番組の多さ。音楽関係のクイズ番組、バラエティ番組の多さ…。こうしたいろいろな方面での積み重ねが文化として集積していくんだと感じさせてくれました。自動販売機も無いし、24時間営業のコンビニも無いし、カラオケ・ボックスもゲーム・センターもパチンコ屋もありません。CDやカセットテープは日本でのニ、三割増しです。逆にコンサートや演劇の入場料、美術館・博物館の入場料はかなり安く設定されています。コピーと生の文化に対する意識の違いを考えさせられました。人によって受け取り方は様々ですが、どちらがお好みでしょうか。

 これでは、グルメのエッセイではない?…すびません。以上は仕込みです。ブリュッセル市の中央駅からグラン・プラスという広場に通ずる路地がグルメ横丁と呼ばれ、日本語での客引きの声も聞こえてきます。端から端までびっしりとレストランが並び、おそらくは一年間滞在しても体験できないような様々な料理が登場してくるのです。基本的にはフレンチなのですが、オランダ、ドイツ、イタリア料理が融合された「フランスよりおいしいフランス料理」に到達しているのです。ブリュッセルにEC、EUの本部が置かれた理由の一つとして、ヨーロッパ中のどのような要人を集めても接待できる料理が用意できるからと、伺ったことがあります。ムール貝、小海老、ニシンといった北海の海の幸、冬野菜のアンディーブや春のアスパラガス、アルデンヌのハム、鴨・雉・野兎・猪などのジビエ、川魚など季節毎の食材が国内で調達でき、活かされているためです。また、葡萄ができない土壌のため、ワインは作れず、結果、ワインに匹敵するようなビールが造られてきたといえます。私の個人的な考えですが、食材が新鮮でフランス料理のように乾燥肉や内臓、塩漬けの魚を使う必要がないため、ソース系の料理ではなく、醤油系の料理になっていったと思われます。そのため、消化を助けるアルコールも濃〜い赤ワインは必要ないという事です。

 一時、ベルギーワッフルが話題になり、チェーン店が広がりましたね。その時、思ったのは、何故、ベルギー式サンドイッチが日本に紹介されて店舗として成立しないのかという事でした。アメリカ資本のファースト・フードの進出をうまくかわして…と、書きましたが、実は、どこの街にも、このベルギー式サイドイッチ屋さんがあったため必要とされなかったという理由もあります。サンドイッチ屋には出来合いのものが並べられているのではなく、ずらりと並んだ具の中から好きなものを選んでパンに挟んでもらうセミ・オーダーです。その具の種類が多彩で、カニ、小海老、ツナ、チキンのカレー風味、七面鳥の唐辛子トマト風味、ハムとポテトのマスタード風味、サーモンサラダ、トマトとモッツァレラのサラダ、ローストチキン、ローストビーフ、サラミ、パテ、ゆで卵の輪切り、サラダ菜、レタス、玉ネギのスライスなど、注文に困ってしまうほどの組み合わせが可能なのです。殆どがテイク・アウト店なのですが、ドリンク類として小の缶又は瓶ビールが50から100種類並べられていますので、お持ち帰りでホテルの部屋で楽しめるという体験ができたのです。

 少し長くなりましたが、本日は、お時間でございます。

2003.8.12


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


Copyright © 2017 Salt.com All rights reserved.