「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「カツ丼・ざる蕎麦・ラーメンは、お安いのがお好き」

 清八でございます。

  このコラムに参加させていただいた時から、このテーマだけは書かせていただきたかったのでございます。今では、フレンチとかイタリアンとか中華でグルメとか言うてますが、子供の頃は、大人になったら食堂でカツ丼やざる蕎麦やラーメンを頼んで、食べてみたいと思うてました。そんな食生活だったのでございますよ。学食で350円のカツ丼とか、200円のラーメンを頼んで食べた時の感動、正に、その当時は感動物語であったのです。
いつの間にか、B級グルメとか究極の蕎麦・ラーメンに祭り上げられて、昼食としては手が出ないような金額の物も出てきました。このソルトの愛読者の方は、それぞれ、お幾ら位の金額まで納得していますか。

噺家さん達とのお付き合いも長いのですが、そのうちのお一人、静岡市出身の柳亭楽輔さん。日本テレビの「ルックルック」で動物専門のレポーター、テレビ東京でラーメンレポーターを長く経験されていましたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。私の関係している落語会の打ち上げで、こうしたテレビ番組の舞台裏を伺った事がありました。 もう時効になっているので、書かせていただきます。

ある東北の小さな町で、仲のいい、おじいちゃんとおばあちゃん二人で経営されている、その町一番のラーメン屋に東京のテレビ局のスタッフと日帰りの取材に出掛けました。営業の邪魔になってはいけないと、開店前の朝早い時間帯に立ち続けに、ラーメン三杯を食べて、「おじいちゃん、おいしいですね、このラーメンは…。ところで、味の秘訣は何ですか?」と尋ねると、そのおじいちゃん、厨房から、みなさんご存知の小さな瓶を振って、「これこれ、○の素…」。 料理の鉄人のお一人・陳健一さんのお父さん・陳健民さんがNHKの「今日の料理」に出演されていた時、商品名を言えないので、「秘密の白い粉ね」と言っていた、あの化学調味料でした。全国のその町一番と言われてきたラーメン屋さんで、こうしたレポートがあり、結局放映できなかったという裏話をたくさん、聞かせていただきました。その楽輔さんが全国のラーメンを食べられて、普通のラーメンなら400円を基準として、それより高い場合、安い場合、どんな工夫や特色があるのか気を付けて食べると言われました。これは消費税を含んでいませんので420円までと言い換えます。私も個人的に納得したものです。各新聞社や地域出版社のグルメ雑誌、インターネットのグルメサイトで全国各地のラーメンが検索できます。ふかひれや黒豚チャーシューや豚角煮、有精卵のゆで卵が入っているわけでもないのに、普通盛で680円、730円、800円、900円、経験ありませんか。もちろん、ゲレンデ内のレストランではなく、商店街のラーメン屋さんです。異論がおありになると思いますが、スープづくりに食材30種類使って、一週間、火の調節をしながら、「誰にも真似できないだろぅ…」というお店の紹介がありますよね。誰が求めたのでしょうか?誰が期待してしまったのでしょうか?誰が持ち上げてしまったのでしょうか? 誰が、リンゴや蜂蜜やワインまで入れてくれと言ったのですか?

 ざる蕎麦も八割とか十割とか、言うて、一枚700円、800円、900円、そば湯も無し。混んでいるランチタイムには、事前につくってあって乾燥しないように「湿気ケース」に入れてある店まであります。いくら食材機器メーカーが開発したからといって使わなければ営業できないのでしょうか。

 カツ丼って、いくら鹿児島黒豚を使っているから、卵を二個使っているからといって 850円、980円、1100円って如何なものなんでしょうか。550円の価格だけで頼んだらソースカツ丼だったり、トンカツが三切れだったり、ご飯が普通のお茶碗の半分しかなかったり…経験ありませんか。

 ラーメン屋さんでもお蕎麦屋さんでも、業務用のきざみ葱を仕入れて使っているため、葱が不足した時に近所の八百屋さんから買ってきても、包丁が使えない?という実話もあります。定番で、毎日のように食べるものだから、ソルトの愛読者は、いろいろな体験をされていると思います。

 今回のコラムについては、賛否両論、いろいろとあると思いますので、リアクションをお待ちしております。

2003.8.26


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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