「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「食育について、その1」

 清八でございます。
 前回は「茶の湯」の一席を書かせていただきましたが、ラジオ岩手の投稿番組で次の話を聴いてしまいました。何で、ラジオ岩手を聴いているのかと言いますと、AMラジオ局として国内で初めてpodcasting送信をしていたからです。ここの共通 語と花巻弁と英語の番組はおもしろいですよ。

 さて、盛岡市内のある女性が東京都内の息子夫婦の家に二泊したんだそうです。初日の晩ご飯はご飯が茶碗に一杯、味噌汁も一杯、おかずは一品で漬物無し、お茶もコーヒーも無し。二日目の朝、ご飯が茶碗に一杯、味噌汁も一杯、おかずは目玉焼きでサラダ無し、漬物無し、お茶もコーヒーも無し。二日目の晩ご飯もご飯が茶碗に一杯、味噌汁も一杯、おかずは一品で漬物無し、お茶もコーヒーも無し。三日目の朝、ご飯が茶碗に一杯、味噌汁も一杯、おかずは目玉焼きでサラダ無し、漬物無し、お茶もコーヒーも無し。息子さんと話をしてみたら、残飯が出ないようにきっちり人数分作っているとの理由だったそうです。お茶とコーヒーは必要な時にコンビニでペットボトルで買ってくればいい、と言われたそうです。それがどうしたの、と言われる方もいらっしゃるとは思いますが、いかがでしょうか。浜松出身の瀧川鯉昇師匠から20年位前に伺ったのですが、東京都内の知り合いのお宅で、「まぁ、晩御飯でも…」と誘われてお邪魔したら、カレーライスだけで、サラダも福神漬けもお茶も無かったという話を思い出しました。それも一軒や二軒ではなかったということでした。

 「茶の湯」という噺は、「茶道」が流派は別 にしても日常的にたしなみであり、お湯を沸かして茶葉をどのようにして旨味を出すのか、特別な知識・技能では無かった時代に創られた噺なんです。ですから、パロディになっているのですが、「茶道」どころか家庭でお茶を用意できない状況が進んでいるようです。例えば、お祭りや冠婚葬祭などたくさんの方が集まってお茶出しの必要な状況で、茶葉をどのくらい準備したらいいのかわからない。実際にお湯の温度も量もわからないし、急須が使えないとか、湯のみに注げないとか、そんな状況が拡大しているようです。(これらの話は、決して女性を対象にしているわけではありません)以前にも書かせていただいたのですが、以前「料理の鉄人」という番組があったり、今でも「どっちの料理ショー」があったり、レストランの紹介番組があったり、浜松市内でも「美食会」が開催されていますが、日々の食生活って本当はどうなんでしょうか。

 ちょっと政治的な話を書きます。あの郵政法案のドタバタの時に、「食育基本法」という法律が国会で成立しております。ご興味のある方は、ホームページで覗いてみて下さい。さて、 この法律ですが、簡単に書くと、もう大人に食材や調理、栄養について法律で規制したり啓蒙しても遅いから、保育園児の頃から教育として教え育てようという法律です。政府では来年度、具体的な方法を組み立てて、19年度から保育園・幼稚園・学校、家庭、地域、食品関係者など一斉に国民運動として展開させるそうです。例えば、「家庭における食育」としては、「保護者や子どもの食に対する関心と理解を深め、健全な食習慣の確立を図ります。」と規定されています。こんな事も予想されます。保育園児から中学生までの子どもさんのいる 一般の家庭には一週間の実際の献立内容を提出させて、栄養のバランス、調理内容をプロがチェックし、あまりにもひどい家庭にはお呼び出しがあったり、指導員が派遣されるかもしれません。また、プロのお店でも、コストを追及するあまり、食材を理解していなかったり、手を抜いていると思われるお店にも指導員が派遣されるかもしれません。「食文化の継承のための活動への支援等」としては、「伝統的な行事や作法と結びついた食文化、地域の特色ある食文化等、伝統ある優れた食文化の継承を図ります。」と規定されています。誠に、今の日本社会を検証された結果の結構な法律だとは思います。

 ただ、今回の新人議員の発言にあったように、お茶を入れてくれる秘書がいて、通常よりも非常に安価な議員会館や各省の食堂で食されたり、高級料亭や高級焼き鳥屋さんで食されている多くの方々には、この法律の内容をご理解されるのだろうかという危惧があります。この法律のプログラム、今後の影響については非常に興味がありますので、今後の定期的なテーマとさせていただきます。(堅苦しい内容ですみません)

2005.11.8


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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