「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「異論・反論・オブジェクション、待ってます?」

 清八でございます。

 前回の続きです。ある時代に、テレビとか業界誌の自称グルメ評論家さんたちが、ラーメン屋さんとか餃子屋さんは、カウンターや厨房がピカピカで無い方が、おいしい、とか趣がある、とか言っていたのを記憶しています。焼肉屋さんとか焼き鳥屋さんも同じように言われていましたね。今でも本当の事は理解できていないのですが、その頃は、そんな事は絶対に根拠の無い事だと、心の中で反論しておりました。いくら朝早くから深夜まで立て続けに客足が途絶えない店であっても、汚れやすい厨房・カウンターであっても、客商売でそんなことは無いだろうと性善説でいました。ところが、世間は広いです。確かに掃除しない、片付けない、商売道具をよく洗わない。皿の縁が欠けていても、グラスにヒビが入っていても、そのまま使い続けている頑固な店が存在するんです。そんな店はおいしい?趣がある?とんでもございません。やはり、客足が遠のいて閉店するか、代が続かないものなのでございますよ。

 伊豆の熱海・伊東などの観光地、旅館やホテルから客足が遠のいて、営業を縮小したり、閉鎖したり、それに対して性善説で、お助けの手を出している方々もいらっしゃいます。私も個人的に同じ地区の旅館・ホテルを利用していた頃がありましたので、経年変化を知っているのですが、料理がマンネリになったとか、お客様の嗜好が変わったとか、箱が古くなったとか、いろいろ他力の理由を挙げられておられます。お叱りの言葉を承知で書きますと、単に「掃除しなくなった」「手を抜いて掃除するようになった」に尽きるのではないでしょうか。団体客向けに箱を大きくし、同じ建物内に居酒屋・ラーメン屋・スナック・バー・土産物屋・カラオケボックス・ゲームコーナー・夜の「朝市」という何だかわからないような状況まで作り上げて、敷地外に出ないように企画してしまいましたね。しかも、それぞれの施設は別管理ですから、全体を管理する(掃除する)人が存在しなくなってしまったのではないでしょうか。当人にとっては嫌でしょうが、女将や仲居頭が部屋の隅・テーブルのセッティングを注意するのは、客商売として当たり前の事だったと思うのです。

 町中・商店街から客足が遠のいている、人通りが寂しい…全国で言われています。浜松市内でも多分同じです。交通ルートが変わった、住まいが郊外になった、箱が古くなった、コンサルティングの方々のご意見どおりなのでしょうか?単純に、店の中を店の前を掃除しなくなった、きれいにしなくなった、という理由は存在しませんか?売上げが減ってきたから、利益率が下がってきたから…、人を減らす、だから四角い店を丸く掃くようになってしまって、きれいに出来なくなっていく。こんな構造ではありませんか。従業員を減らしたら、奥さんでも子供さんでもご本人でもできるでしょう。

 浜松市の有楽街に「○○ライオン」というビアホールがあります。ここの社長さんとは開店以来の知り合いです。確か、開店8周年の準備をされていた頃に、カウンターでご一緒になったことがあり、8年間の思い出話を伺いました。「飲食業は清掃業だと思っています」この社長さんの言葉でした。実は、この社長、別に建設業というメインの会社を持っているのですが、毎日のように開店前に店に顔を出し、閉店までの間に出たり入ったりして、店長始めスタッフには嫌がられておりました。と、言うのも、開店前・営業中・閉店後と、トイレ・食器・テーブル・カウンターなど、汚れていないか常にチェックされていたからなんです。彼の言によれば、開店前・営業中・閉店後、毎日、きれいにしておかなければいけないから「清掃業」であるという事でした。講習会のテキストに載っているような話ですが事実です。私は、この社長さんの考え方を支持します。

 こんな考え方は、今の時代ではお邪魔なのでしょうか?

2003.9.8


34年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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