「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ベルギー大使館に行ってきました」

 清八でございます。

 「四万六千日、お暑い盛りでございます…」。落語好きな方でしたら、先代・桂文楽師匠のこのフレーズが懐かしいのではないでしょうか。東京・浅草の観音様のご縁日は毎月18日なのですが、7月10日の功徳日に参詣すると「四万六千日」参詣したとされ、暑い時期ですが、ほおずき市の露店を巡りながら、たくさんの信心の方が訪れます。暑い時期には参詣者もまばらになりがちなので、先人の方便なのでしょうね。さて、まさにこの炎天日に東京都千代田区のベルギー大使館に行ってきました。私たち夫婦はベルギー大好き人間で、これまでのベルギーツアーやベルギービールのレポートを何回も、この「ちりとてちん」に掲載させていただきました。もう10年程前からベルギー観光局へアドレス登録させていただいておりますので、これまでもカレンダーをいただいたり、 ベルギーに行く前には、観光パンフレットをいただいたり貴重な情報源となっておりました。 今年、4月頃でしたか、メールが入りました。今年度の企画として、ベルギー大使館内で「ベルギー料理サロン」を四回開催する内容でした。都内のベルギーレストランのオーナーシェフが大使館の厨房内でベルギー料理のレシピを公開してくれて、ビールと共に試食できるという夢のような企画でした。第一回目は6月の水曜日であきらめたのですが、第二回目は、 何と7月10日の土曜日午後2時、会費は5000円でしたが、さっそくその日の深夜に申し込みのメールを送ったところ、翌日の朝には定員30名満席とのメールが入りました。

 
写真①
写真②

 開始時間の30分前に入館したところ、定員30名に対して45名分の席が用意され、ビールやプロジェクター(写真①)の準備中でした。今回のシェフは、シャン・ドゥ・ソレイユ(内神田)の原田延彰シェフ(写真②)で、お隣は観光局長のダミアン・ドームさんです。 今回のベルギー料理は、「トマト・オ・クルヴェット」と「リエージュ風サラダ」の二品でした。トマト・オ・クルヴェットは、ゆがいたエビをくり抜いたトマトに詰める(写真③、写真④)という、とってもシンプルな料理なのですが、ベルギーでは北海でとれるクルヴェット・グリーズというエビを使うのですが、残念ながら日本では入手不可能、甘エビでの代用となりました。実は、このクルヴェット・グリーズを使った料理は、オステンドの港に行った時に食べた記憶がありました。様々なレストランで、冬から春に移り変わる時期に新鮮なこのエビを楽しんでいたようです。一緒に添えられるマヨネーズ(写真⑤)は、手作りの方がおいしいとのアドバイスでした。男女同権のヨーロッパでも、ベルギーの男性は厨房に入りません。ところが、母親は息子に、マヨネーズの作り方は教えるそうなんです。その理由として、手作りの場合、分離しないように根気よく混ぜないといけないので、男性の力を借りるということなんだそうです。

写真③
写真④
写真⑤

 二品目のリエージュ風サラダは、ジャガイモ・インゲン・ベーコンブロックをヴイネガーで炒めた(写真⑥)酸味の効いた温製サラダで、ブラックペッパーやヴィネグレットソースの使い方で、この暑い日々にぴったりの料理だと思います。二つの料理がワンプレートで完成されました(写真⑦)。

写真⑥
写真⑦
写真⑧

 残念ながら(失礼)、今回のベルギービールは「ヴィデット・エクストラ・ホワイト」(写真⑧)1種類でした。でも、生樽で三杯もいただけましたので満足でした。都心とは思えない中庭(写真⑨)には、さわやかな風が通り抜け、外の暑さを忘れてしまいそうでした。試食中には、ダミアン局長からベルギーの観光PR(写真⑩)が行なわれ、二時間後、大使館を後にしました(写真⑪)。第三回目がジビエ料理、第四回目がムール貝料理という予定だそうです。時間と会費の余裕があれば、ぜひ、再訪したいものです。なかなか、ベルギー本国までは行けなくなっている状況ですので、国内で楽しみたいと思います。
※冒頭の落語ですが、先代・桂文楽師匠の十八番「船徳」でございました。

写真⑨
写真⑩
写真⑪

2010.7.24


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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