「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ディープなソウル、その1」

 清八でございます。
 7月9、10、11日と韓国・ソウル市に行ってきました。もう皆さん、すでに充分にご存知の「名古屋セントレア空港」を朝9時50分のフライトで仁川空港へ、あの韓流ブームの真っ只中のソウルに到着しました。初日のお昼ご飯は何にしょうかと、ネットで調べて行ったのですがフライトの段階で大誤算でした。何と、1時間35分の間に、ビールは飲み放題、軽食以上の軽食が出てきたのです。それでも、税関チェックや空港から市内までの移動時間で約2時間、夕食までは時間がありすぎるので、食堂に立ち寄ってピョンヤンシッネンミョン(平壌式冷麺)とビビンバを食べることにしました。さっそく、もやしのナムル、ペチュキムチ(白菜)で地ビールタイムとなりました。この時間を使ってガイドさんと今日のスケジュールを決定、夕食は「土俗村」の参鶏湯、その後、「貞洞劇場」での韓国伝統芸能鑑賞としました。夕食までは市内観光とバーゲンセール中の免税店巡りとなってしまいました。

 ウェスティン朝鮮ホテルにチェックイン後、「土俗村」へ。予約してくれていたにもかかわらず、順番待ちという事で行列の一番最後に並ばされました。行列で待っている間に鶏を焼いているショーウィンドーを撮影しました。それでも約5分程で個室へ、ビールと参鶏湯、そしてチヂミを注文しました。このお店は、20年の歴史をもつ専門店で、ここのものは生後2〜3ヶ月の軟らかい若鶏に高麗人参やなつめなど30種類の具を詰め二時間ほどコトコトと煮込んだものです。味は塩で好みに調整しなければならない程、淡白です。当然、テーブル上にはナムルやキムチがこれでもかと言わんばかりに並べられていますので、交互に食べるとちょうど良いのかもしれません。現地では夏バテや食欲の無い時の必需品だそうです。日本でいうと「鰻」を食べて滋養アップといった感じです。

 夕食後、あわただしく飛び込んだ「貞洞劇場(チョンドンクッチャン)」は、97年から韓国伝統芸術を常設で公演している劇場です。前鼓、散調合奏、扇の舞い、サムルノリと国楽管弦楽の合奏曲、花冠舞、パンソリ、カヤグム並唱、三鼓舞、農楽ノリと連続して、90分これでもか、これでもかと感動が押し寄せてくる舞台でした。終演後は劇場前で観客と一体となってのレク・ダンスと記念撮影のサービスまでありました。このコースは絶対お勧めです。

 ホテルに戻ってから、歩いて2分のコンビニにビールとミネラルウォーターを買いに出たのですが、ポリエチレン袋が必要かどうか尋ねられました。廃棄物を削減するために、先ずは袋を渡さない、必要ならば一枚2円払ってください、という国の施策なのだそうです。かなり効果が上がっているとのことでしたが、日本の団体客の方々は「タダじゃないのか」とか「サービスが悪い」とか、誤解された発言を繰り返されているそうです。そう言えば、コペンハーゲンでも袋は無かったし、スーパーでも無料の袋はありませんでした。今の日本では、強制的に「袋はありません」にしない限り、消費者側の積極的な取り組みは期待できないのかもしれませんね。ホテル前には、いつの間、屋台村状態になっていて、「森○朗様ご来店」と日本語で書かれた屋台は仮設テントなのに客席数30という大きさでした。

 二日目は、ホテル近くの「お粥専門店」での朝食後、チャングムのテーマパーク見学後、宮廷料理を体験するということになりました。次回にくわしくレポートさせていただきますが、韓国料理に対する私のイメージが「焼肉」と「キムチ」であったことに素直に反省し、食文化についての情報をまた一つ増やす結果 になりました。次回の予告編ですが、豊臣秀吉が「とうがらし」を持ち込むまでは、「辛い」「赤い」という料理ではなく、海の幸・山の幸を、いかに素材の旨みを保ったまま、調理し、飾りつけをして料理にしてきたのか、王様も含めて、普通の料理とは何であったのかを知らされた旅でした。

 熱い日が続いています。スタミナ食とビールも程々に。

2005.8.8


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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