「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

「2022年、コロナ自粛中のエトセトラを報告?します1月篇」

 

 清八でございます。「まん延防止!」に入っております。毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。

それでは、1月分を報告させていただきます。

 

「信濃川日出男著 山と食欲と私7」新潮社(2019.1.10発行)中古漫画本
全国3000の書店員が選んだ「2016年コレ読んで漫画RANKING」で、第2位となった「単独登山女子」が展開する「行動食」「山食料理」の世界。その7巻を入手出来ました。今回のメニューは、「ポールウィンナー」「スモークステーキ」「肉じゃが甘酒うどん」「りんごソテー」「ピーナッツ味噌のおにぎり」「レモンロースト」「ガーリックチップス」「リメイクビスコッティ」「コンビーフポテト」なんですが、第80話の「一人きりのお正月スペシャル」では、フライパンでお餅を焼いて、そこに粒あんと水を少々入れての「お汁粉」なんですが、ウインナーとキャンディチーズも入れて煮込んでしまう「おしるこwithウインナー&チーズお正月スペシャル」が登場するんです。(画像①)


(画像①山と食欲と私)

 

「田子忠雄著 落語国検察録」青蛙房(2005.3.25発行)中古本
元検事の落語愛好者の方が、落語国の中で起こした事件が現在の検察庁に送られたら、という発想で、39席を捜査、公判の過程での書類にまとめられた一冊なんです。みなさんがよくご存じの「時そば」、「いま、何時だ」「九つ…」「十、十一…」で、一文を誤魔化すという話です。現行法では、詐欺罪での書類送検となるんだそうですが、検察庁の結果は、被疑者不詳で、事項完成のため、「不起訴」。その理由は「犯行は極めて巧妙であって被害者は終生騙されたことに気が付かなかったと思われる上、被疑者には常習性も窺われ犯情は良くない。しかし、鋭意捜査するも今日に至るまで犯人の検挙に至らず時効が完成している」と書かれております。(画像②)

 


(画像②落語国検察録 )

 

「安倍夜郎著 深夜食堂15」小学館(2015.10.5発行)中古漫画本
今号のお品書きは、「エビフライ」「唐揚げ親子丼」「べったら漬け」「オムそば」「れんこんのきんぴら」「えのきのベーコン巻き」「クリームシチューと焼き魚」「ちくわぶ」「厚切りハムステーキ」「かんぴょう巻き」「タンメン」「赤飯」「葉とうがらしの佃煮」「ロコモコ」でした。第208夜「タンメン」では、「メンヌキタンメン」が登場しました。この深夜食堂は、深夜0時から朝7時までの営業なので、「夜中に炭水化物をとると、太っちゃうから…」というお客様向けなんです。実は、私が好きな中華麺は「タンメン」と「ワンタンメン」です。かといって、「タンメン」専門店、「ワンタンメン」専門店には入りませんけどね。

「安倍夜郎著深夜食堂17」小学館(2016.10.5発行)中古漫画本
今号のお品書きは、「天津チャーハン」「肉うどん」「あったかポテサラ」「高野豆腐」「ブリ大根」「うずらの卵入り肉団子」「白菜とサバの水煮缶鍋」「ささみチーズかつ」「新玉ねぎのホイル焼き」「きゃらぶき」「ビスマルク風」「カツオのタタキ」「ガリ新生姜の甘酢漬け」「A定食」でした。第236夜「ビスマルク風」の内容ですが、お客の一人が「アスパラガスのビスマルク風」を頼んだのがきっかけで、「揚げ茄子のビスマルク風」「ナポリタンのビスマルク風」「ハムのビスマルク風」(ただのハムエッグでした)、「カレーチャーハンのビスマルク風」「トンテキのビスマルク風」「親子丼のビスマルク風」「麻婆豆腐のビスマルク風」「ホーレン草のソテーとげそ揚げのビスマルク風」「明太うどんビスマルク風」「イワシの竜田揚げビスマルク風」「豚キムチのビスマルク風」「焼きアボガドのビスマルク風」「マッシュポテトのビスマルク風」「ひじきの油揚げの煮物ビスマルク風」など、何でも登場してくる回でした。(画像③)

 


(画像③深夜食堂)

 

「月刊誌 波1月号」新潮社(2022.1.27発行)新刊本
毎月、楽しみにしているのが、阿川佐和子「やっぱり残るは食欲」。52回目は「やっぱり牡蠣が好き」でした。その内容は、オードブルの「生牡蠣」で当たった話から始まってました。何でも、小学生の頃から「生牡蠣」に当たり続け、今では必ず加熱した「牡蠣」のみを食するようになったという、お話でした。私も奥様も、湖西市新居町で生れ育ちましたので、子供の頃からシーズンになると、牡蠣剥き場に行って売れ残りの小さな殻を貰い、その場で剥いて食しておりました。浜松市内の居酒屋さんでも、20年位前までは「牡蠣酢」「キムチ酢」など定番のメニューがあった記憶があります。いくつかのお店で当たって、次々にメニューから無くなっていった記憶もあります。今は、ふるさと納税とかネット注文で、生牡蠣、岩牡蠣が頼める時代なので、夏でも食する事が可能になって、楽しんでおります。今年は先行のふるさと納税で、昨年11月に送金して、この3月に、生食用の「殻付き牡蠣」が30個程届く予定です。今年の浜名湖牡蠣は豊作なので、2月は「剥き身」を1キロ程予約してあります。もう、しばらくは、「牡蠣三昧」の生活になりそうです。(画像④)。

 


(画像④波)

 

「暮しの手帖 第16号」暮しの手帖社(2022.1.25発行)新刊本
今号の特集の一つが、ワタナベマキさんの「3種の寿司飯で春色ちらし寿司」です。「柑橘の寿司飯」から「海鮮と菜の花の柚子ばらちらし」「海老とセロリのレモンちらし寿司」、「梅干しの寿司飯」から「鶏ささ身とれんこんの梅ちらし寿司、そして「酢の寿司飯」から「蒸し鯛と絹さやのちらし寿司」のレシピが紹介されていました。私の子供の頃は、廻らないお鮨屋さんのみで、いくら家族と一緒でもお店に入ったことはなく、親戚のおじさんが来ると、並みの握りを出前、そのうちの二個くらい味見させていただく事が出来ました。でも、桃の節句、お祭りとかお祝いがあると、実家の母が「ちらし寿司」をつくってくれて、寿司飯をうちわであおいで冷ますのが、私の役割でした。大人?になっても、「ちらし寿司」が大好きで、「ばらちらし」「五目ちらし」「祭りすし」など食してきました、デパートの催事場での「うまいもんフェア」などでは、必ず購入したものです。以前、拙宅で「わいわいワイン会」を開催していた時、〆に「ちらし寿司」を用意したこともありました。

「暮らしのヒント集」の頁から、一篇。「珍しい野菜を見かけたら、試しに買って、いただいてみましょう。生産者のおすすめの食べ方で、あるいはいつもの料理に使って、時々食卓に新風を吹かせると楽しいものです。」(画像⑤)

 


(画像⑤暮しの手帖)

 

 今号の「別冊ちりとてちん」に掲載していただいた「本果寺寄席」。私が生れ育った湖西市新居町内のお寺で、40年以上開催を続けております。これまでの経緯では、2018年9月30日の開催予定が台風上陸で、二日前に「中止」にしたこと以外は、大きなトラブルはありませんでした。ところが、今回の「コロナ禍」で一昨年、二回「中止」と致しました。それでも、一昨年は二回、昨年は三回開催することが出来ました。全国では、30年以上続けてこられた地域寄席が二年間「休会」だったり、「廃会」「解散」に至っているようです。ありがたいことでございます。

それも「何とか、なるやろ!」と企画・開催してきたのではありません。一昨年の「緊急事態宣言時」に、国・県・市のガイドラインと感染拡大防止対策を入手、理解した上で、「医療用アルコール消毒液」「非接触型体温計」「抗ウィルスおしぼり」を入手しました。会場をこれまでの庫裏から本堂に変更、CADを使って「間合い」を充分配慮したイス位置の図面を作成、限界定員数を割出しました。幸い、本堂は三方の木戸を解放出来るので「換気」は速やかに出来る構造になっていました。元々、チケットレスでの展開でしたので、チケットもぎりはありません。当日のチラシ配布は止め、消毒後の各イスに置かせていただきました。又、元々、関係者は少人数でしたので、ガイドラインにある「主催者側や出演者の人数も減らす…」事も問題はありませんでした。ご住職が一席ごとにマイクを消毒していただけました。一番、助かったのは本堂のつくりでした。このお寺では、高座と客席の間に木の柵があり、高座を一番後ろまで下げると、一番前のお客様とは3メートル空けられました。また、その柵を「結界」として利用すると、お客様にお伝えしました。こうして、二年間「休会」にすることなく継続出来ました。ありがとうございます。(画像⑥)

 


(画像⑥本果寺寄席)

 

 私が、落語を積極的に聞き、興味を持つようになったのは、50年位前です。当時は、深夜バスを使って東京や京都・大阪まで行って「生の落語」を聴くという、お金も行動力も無かったし、落語のLPやカセットテープを購入したくても販売している店舗もわからないし、お金もありませんでした。ラジオ・テレビの音源を収録して、繰り返し聞いておりました。お蔭で、いろいろに噺を覚えていったのです。1975年に、ポプラ社から発行された「落語と私」(画像⑦)、故・桂米朝師の二冊目か三冊目の著作です。この中に、「落語は現世肯定の芸であります。大きなことはのぞまない。泣いたり笑ったりしながら、一日一日がぶじにすぎて、なんとか子や孫が育って自分はとしよりになって、やがて死ぬんだ……それでいい――というような芸です。その基盤とするのはごくふつうの『常識』、これであると思います。」私は、この文面で師の大ファンになり、自身が人前でお喋り出来るように落語を覚えました。

 


(画像⑦落語と私)

 

 「コロナ禍」の二年間、この「現世肯定」の言葉を思い出しましたので、ここに書かせていただきました。飲食店もサービス業もお店も、「普通に笑って過ごせる」空間、環境をつくり維持しましょうね。失礼致しました。

 

2022.2.7 清八



38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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