「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

「2022年、コロナ自粛中のエトセトラを報告?します9月篇」

 

 清八でございます。遅くなりました。毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。

それでは、9月分を報告させていただきます。

 

■「月刊誌 波 9月号」
新潮社(2022.8.27発行)新刊本

 毎月、楽しみにしているのが、 阿川佐和子「やっぱり残るは食欲」。60回目は「料理本ふたたび」でした。筆者が「ごはんにかけておいしい ひとさライス」(小堀紀代美著・西東社刊)という料理本にはまっているのだが、本棚に長年にわたって揃えた料理本が何十冊とあるのに、手に取って開く機会はめったにない。

「私が初めて料理本を見ながら熱心に料理を作ったのは、おそらく中学生の頃だったと思う。実家の台所の小さな本棚に『娘につたえる私の味』という、縞柄の写真で装丁された本があり、それをペラペラめくるうち、引き込まれた。著者は辰巳浜子。いのちのスープで名高い辰巳芳子氏の母上である。母娘ともども料理の基本には厳しく、手抜きを許さぬ丁寧な作り方が記されている。その中に一点、簡単に作ることのできそうなレシピが載っていた。題して『ふわふわ玉子』。……料理本の魅力は、作り方だけではない。レシピの周辺に漂う著者の生き方、料理に対する愛情や意気込みや発想の喜びが伝わってきて、単調な食事作りの日々に新たな刺激を与えてくれる。」全く、この通り、だと思います。

私の蔵書には、「暮しの手帖」のバックナンバー約270冊を含めて700冊以上のレシピ本があります。20代の頃から購入して読んできた蔵書です。当時、将来、飲食業関係への就職やフードコーディネイター、フードディレクターへの転身を考えていた訳ではありません。料理に対する意気込みや発想、カルチャー・ショックを味わいたかったのだと自負しております。(画像①)

 


(画像① 波)

 

■「神楽坂淳著 ありんす国の料理人1」
講談社時代小説文庫(2021.7.15発行)中古本

 吉原の廓内で遊女見習い・禿から料理人になった娘のグルメ時代小説。始めてはみたものの、まったく流行らない店。本気を出させるために、店にやってくる花魁に料理をふるまい、「まずい」と言われれば借金のカタに…と言われて、何回かの勝負に勝っていく、という展開でした。

 勝負に勝てる料理を考えるために、両国の料理屋を廻っていると、おでん屋の店主から声をかけられる。「間違っても自分なんて探すなよ」と言われ、「自分を探さないってどういうことなんですか」と聞き返すと、「そうだな。店を持ってみたのはいいけど、これは一体どんな店にしたらいいんだ、って思った時に、自分はそもそも何で料理をしてるんだ、って思いがちなんだよ」。料理屋さんだけに対象ではなく、お店を営業されている方々には、含蓄のあるやり取りのように感じました。(画像②)

 


(画像②ありんす国の料理人1 )

 

■「高田郁著 花だより みをつくし料理帖 特別巻」
角川春樹事務所ハルキ文庫(2018.9.28発行)中古本

 テレビドラマ化、映画化された「みをつくし料理帖」。シリーズ完結から四年後、主人公の澪が大阪に戻ったのち、文政五年(1822年)春から翌年初牛にかけての物語四篇でした。巻末付録として、「浅蜊佃煮」「蕨餅」「唐汁」「江戸味噌」のレシピが掲載されていました。「江戸味噌」ですが、澪の夫は源斉という医者ですが、江戸生まれ江戸育ち、澪と一緒に大坂に移り住み、中之島の医塾で門弟に医学を教える立場となっていたのだが、「疫病 ころり」患者を不休不眠で診ており疲労困憊の状態。そこで、生まれた時から食していた「江戸味噌」を作り、夫に食べさせるという一篇でした。レシピに書かれていた「ひとこと」です。

「お味噌作りには大きく分けて。酵素の働きによるものと、酵母や乳酸菌などの微生物の働きによるものとがあり、今回のお味噌は前者です。麹を多く、塩を少なくすることで熟成期間は短くなりますが、日持ちはしません。冷蔵庫などで保管の上、早めに食べきりましょう。お味噌は『手前味噌』の言葉通り、圧力鍋を使ったり、市販の蒸し大豆で試してみるなど、色々な工夫ができます。また、同じ材料でも、配合を変えたり、作り方を変えることで、全く違うお味噌になります。あれこれ試して、あなたの味を見つけてくださいね。」(画像③)

 


(画像③花だよりき)

 

■「信濃川日出男著 山と食欲と私 11,12」
新潮社(2020.1.15)(2020.7.15)中古本

 全国3000の書店員が選んだ「2016年コレ読んで漫画RANKING」で、第2位となった「単独登山女子」が展開する「行動食」「山食料理」の世界。その11と12巻を入手出来ました。今回のメニューは、第11巻が「温泉半熟玉子の火山丼」「ひやあつ残雪そうめん」「ぎゅうチョコバナナ」「うどんナポリタン」「新潟のちまき」「佐野ラーメン」「岳温泉のソースカツ丼」「仙台名物牛タン弁当と、ずんだ餅」でした。

そして、第12巻は、「アイナメとクロソイ二匹仲良し道連れ定食」「盛岡じゃじゃ麺」「岩手のせんべい汁」「もちザニア」「山椒たっぷり鱈とキクラゲの薬膳しびれ鍋味噌仕立て」「山女魚の甘露煮弁当」「塩ホルモン」「バターコーンカレーめし」「ぶ厚切りベーコン&サラダビーンズ炒め」「ほっと甘酒ウィスキー」「牛豆腐めん」「高級カニ缶トッピング カニのトマトクリームパスタ」「駒ヶ根のソースカツ丼」でした。

 第11巻の付録に、「登山計画書(無雪期ハイキング用)」が掲載されているんだけど、「装備品・所持品チェックシート」が完璧過ぎて、結構役立つコミック本なんだと理解出来ました。(画像④)

 


(画像④山と食欲と私)

 

 

■「暮しの手帖 20号」
暮しの手帖社(2022..9.25発行)新刊本

 特集の一つが32~41頁の「広岡今日子さんの上海家庭料理」。上海料理の特徴が三点、書かれていました。「特徴①『濃油赤醤の味付け』、たっぷりの油としょう油を使います。北京料理に比べて砂糖もよく使われ、照りよく仕上げた、甘辛味の茶色い見た目が特徴です。」「特徴②『ほっとする庶民的な味わい』にんにくや唐辛子はほとんど使わず、ねぎは長ねぎではなく、香りが繊細な細ねぎを使います。」「特徴③『青菜はおいしいところだけ』温暖な気候は野菜の栽培に適し、一年を通じて、市場にはほうれん草や春菊、小松菜といって青菜、豆苗などがずらりと並びます。」

 96頁に、日野明子さんの「あれやこれや、道具の話⑰お櫃があれば」。「桶の造りは、時間をかけて乾燥させた材を使っていても、急激な乾燥で木が痩せ、箍が外れる場合がある。箍は直しながら使うものと言われるが、昔ながらの造りのものを修理に出すと、職人が木槌でコンと叩き、バラバラの木片に戻して直す。これは“そっくい”という米糊を使っているからだ。接着剤では、こうはいかない。」(画像⑤)


(画像⑤暮しの手帖)

 

 一つ、私から「うんちく」です。醤油や酒の木樽の場合は、米糊ではなく、竹釘を使っているのだそうです。箍も竹で、竹って本当に素晴らしい材料なんですね。

 

 9月10日、三年半ぶりに東京都内に行ってきました。それも30余年ぶりの帝国ホテルに。私が40年間続けている地域寄席「本果寺寄席」の準レギュラーとして2013年3月から六回来演していただいた柳亭市弥さんの真打昇進・襲名披露宴に招待されたのです。

2013年1月14日、浜松市内での「祝・二つ目昇進柳亭市弥独演会」のお手伝いが初対面で、その夜の打ち上げで3月30日の公演を決めておりました。台風で「中止」を含めると、七回招聘したことになります。その市弥さんが「八代目柳亭小燕枝」を襲名され、同期のお二人と「春風亭一蔵・十代目入船亭扇橋・八打目柳亭小燕枝」の真打昇進・襲名披露パーティ(画像⑥)(画像⑦)の会場が帝国ホテルの大宴会場での開催でした。

 


(画像⑥襲名披露パーティ)

 


(画像⑦襲名披露パーティ)

 

 当時は、まだまだコロナ感染者が多かった為、テーブル間の移動禁止、関係者によるテーブル廻りも禁止の状態でしたので、各テーブルから舞台上の挨拶や余興を楽しんできました。この「ちりとてちん」では、当日の料理の紹介をさせていただきます。前菜「さまざまな海の幸と彩り野菜の取り合わせ 祝宴仕立て」(画像⑧)に続き、「クリスタルコンソメスープ 紅白のロワイヤルを浮かべて」(画像⑨)、パン三種(画像⑩)、魚の一皿「真鯛のシャンパン蒸し さわやかな酸味をきかせたブールブランソース」、肉の一皿「国産牛サーロイン肉をじっくりと焼きあげたローストビーフレフォール、温野菜とともに」(画像⑪)、そしてデザート「フロマージュブランのムースにぶどうのジュレ フルーツ飾り」(画像⑫)とコーヒーでした。

 


(画像⑧さまざまな海の幸と彩り野菜の取り合わせ)

 


(画像⑨クリスタルコンソメスープ)

 


(画像⑩パン三種)

 


(画像⑪ローストビーフレフォール)

 


(画像⑫フロマージュブランのムース)

 

 このような伝統的なスタンダードのコース、本当に久しぶりに食させていただきました。ありがたいことで、ございました。当日の引き出物の一部を紹介させていただきます。真打昇進セットといわれる、八代目柳亭小燕枝師匠の挨拶状・手拭い・扇子(画像⑬)。そして、三人連名の手拭いと扇子、「東京かわら版」9月号です。(画像⑭)

 


(画像⑬)

 


(画像⑭)

 

 

  久しぶりに「別冊ちりとてちん」は、「その一」「その二」として、二本掲載させていただきました。そちらも、ご覧下さい。「その二」では、11月20日(日)に開催させていただく、第94回本果寺寄席「八代目柳亭小燕枝の会」を告知しております。この小燕枝師匠は、9月21日に真打昇進、その後都内の寄席・演芸場で昇進・襲名披露興行を11月10日まで続けられていて、その直後の地方での披露公演となります。

 

2022.10.12 清八



38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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