「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

 

「京都中華、京都野菜から半兵衛麩のランチをいただきました」

 

 清八でございます。ご無沙汰しております。6月27~28日、四年ぶりに京都へ行ってきました。この三年間、個人的な東北支援で、大震災復興後の東北各地を歩いて、地元の居酒屋さんを探して現地で現金を使うようにしてきましたので、京都ツアーからは離れておりました。また、京都に宿泊した時には、必ず伺っていた御幸町丸太町の「吉田屋料理店」さんが昨年9月22日に閉店されたこともあり、足が遠のいておりました。それが、5月に豊橋のフラスカティさんから「京都の中華」という文庫本をいただいて、かつて吉田屋さん以外のいろいろなお店や飲食街を巡っていたことを思い出しました。強い香辛料を使わない、にんにくや油控えめ、高級食材も使わない、定番の中華料理屋さん、いろいろと頭に浮かんできました。河原町三条の「ハマムラ」さん、河原町四条の「芙蓉園」さん、祇園の「盛京亭」さん…。この本の中に、「鳳舞」のお弟子さんが河原町二条に「鳳泉」を出されていたことがわかりました。これは是非、味わってみたいと京都行を決めました。うちの奥様からのリクエストもあり、京都迎賓館、仙洞御所、修学院離宮のガイドツアーを宮内庁のHPから申し込み、予約を受け付けていただけました。

 27日は、10時50分からの京都迎賓館ツアーに申し込んでおきました。事前にアクセスをいろいろ調べたのですが、駅前から府立医大病院前までのバス移動にしました。市バスの料金は230円、25分程で到着、御所へは歩いて5分位でした。12時20分までの見学予定だったのですが、団体さんの20分遅れでスタートとなってしまいました。予定では、府立医大内の生協食堂でランチだったのですが、次の仙洞御所の予約が13時30分、病院内のカフェで簡単なランチにしました。生協食堂には、216円の「まめカレー」や480円の定食がたくさん用意されているようなので、次の機会に行ってみます。読者の方で行かれた方がありましたら、くわしく教えて下さいね。仙洞御所は約7万5千平方メートル内に、上皇上皇后様が上洛された際の御宿舎「大宮御所」があり、譲位後に使われたとの説明がありました。殆どは、回遊式の大庭園で茶室と茶亭があり、紀貫之の邸宅跡を示す石碑が立っています。四季折々に、花見、紅葉狩り、お月見、詩を詠んだり、お茶会などの場所でした。この日は、関西地区も梅雨入りした日で、かなりの雨でしたが、逆に申込者が少なくて、説明をくわしく伺うことができました。14時30分には解散となったのですが、まだまだ降雨は激しくなってきたため、アーケードのある三条会商店街に飛び込んで、時間をつぶし、早めにホテルへチェックインしました。

 


河原町二条の「鳳泉」さん(画像①)

 

 夕方からは、京都市役所前まで地下鉄移動、河原町二条の「鳳泉」さん(画像①)を探して歩きました。周辺には、一保堂茶舗さん、村上開新堂さんがありました。お店を見つけ、入店したのが17時10分頃、さすがに行列は無く、店内には2組とお待ち帰り待ちのおばちゃんがいるだけ、テーブル席に座って、メニューを確認して、瓶ビール1本、ピータン(画像②)、焼売(画像③)、春巻(画像④)、炒雑砕(画像⑤)、とりあえず頼んだのですが、あっという間にテーブルに並べられました。ビールの後は、紹興酒のロックを頼んだところ。二合入るグラスに並々と注がれていました。これが一杯分とのことでした。焼売には、くわいが入っているため、しゃきしゃきとした食感が堪りませんでした。手巻きの卵皮の春巻、初めて食べました。中には、タケノコが入っていました。炒雑砕は「カヤクニツケ」と読ませます。あんかけ野菜炒めなのですが、京都では「野菜炒めのとろりんあんかけ」言うてました。野菜の旨み、ご飯の惣菜、酒の肴、どちらにも合います。四皿、二人であっという間に完食、続いて芙蓉蝦(画像⑥)と龍鳳戯彩(画像⑦)を頼みました。先に龍鳳戯彩(カシワエビ)が出てきました。周りのテーブルを見渡すと、あっという間に満席になっていました。カシワエビは、ゆでた中華麺をカラシ醤油で和えて、上から鶏がら昆布スープのあんをかけたカラシソバで、暑い京都では定番メニューの一つになっています。事前に書きませんでしたが、この鳳泉さんは広東料理です。上海料理や四川料理が全国に展開されるまでは、中華料理といえば広東料理でした。子供の頃に、中華料理屋さんのメニューにあった料理でした。なつかしい、安心する美味しさの連続でした。「京都の中華」によれば、昭和42年から平成21年8月まで北区紫明通にあった「鳳舞」のお弟子さんが、この「鳳泉」さんです。「鳳舞」は、京都中華の父といわれる、広東出身の高華吉さんが最後に開店させたお店でした。


ピータン(画像②)

 


焼売(画像③)

 


春巻(画像④)

 


炒雑砕(画像⑤)

 


芙蓉蝦(画像⑥)

 


龍鳳戯彩(画像⑦)

 

 翌28日の朝食はホテル食ではなく、地下鉄で四条駅まで移動、3番出入り口から徒歩3分の「都野菜 賀茂」さんの(画像⑧)野菜バイキングにしました。有機野菜バー、いろいろなドレッシング、せいろ蒸し野菜、おばんざい、お粥、味噌汁、冷たいうどんがこれでもか、と並べられていました。券売機で一人税込500円払うと、トレイと木皿を持って(画像⑨)、すきなだけ食べることができます。野菜料理ですから、卵、ハム、ソーセージ、ベーコン、ヨーグルト、チーズなどはありません。ソフトドリンクバーもありました。冷たいうどんにひきわり納豆をのせて(画像⑩)食してみましたが、美味でした。週末、観光シーズンには長蛇の列ができるようです。

 


「都野菜 賀茂」さん(画像⑧)

 


一人税込500円でお好きなだけ(画像⑨)

 


冷たいうどんにひきわり納豆をのせて(画像⑩)

 

 朝食後は、11時に申し込んでおいた修学院離宮への移動です。セレブな方々は、タクシー利用のようですが、バス利用にしました。四条烏丸から修学院離宮道まで約45分、こちらも市バスなので230円でした。

 バス停から徒歩15分(上り)で参観者出入り口に到着、10分前でした。約54万5千平方メートル内に上・中・下の三つの御茶屋、借景となる山林、三つの離宮を連絡する松並木の道、その両側に広がる田畑、浴龍池を中心にすえた回遊式庭園もあります。上と下の標高差が40メートルあるため、上賀茂・下賀茂の森まで見通すことができ、新緑、紅葉、降雪の時季には時代を超越した別世界を体験できるように感じました。ここでの滞在は、約80分でした。

 降りたバス停まで戻り、同じ市バスで五条まで戻り、予約してあった五条大橋たもとの茶房「半兵衛麩」さんに入りました。ランチのみ「むし養料理」が食べられるのです。京麩と京湯葉づくしの食事が税別3,500円で提供されているのです。とりあえず、瓶ビールを頼みましたが、最初に御膳(画像⑪)が運ばれてきました。

 


五条大橋たもとの茶房「半兵衛麩」さん、最初の御膳(画像⑪)

 

 左手前のお椀はお麩、その上の小さな器には精進生麩、その右にはお麩の和え物、右側の器には生麩の田楽、中央にご飯、右側には竹麩、山椒の風味がさわやかでした。その下には白味噌餡の入った柏餅風のお麩でした。右下には、和菓子の水無月に見立てた生麩もありました。二皿目は、汲み上げ湯葉(画像⑫)、とろっとろでした。三皿目は、湯葉と桜花びら麩、白玉麩の三種揚げ(画像⑬)、四皿目は、揚げた生麩と大根おろしでいただく、生麩のみぞれ椀(画像⑭)、五皿目は、よもぎ麩の白味噌仕立て(画像⑮)、仲居さんからカラシに気をつけて、と言われました。最後にちっちゃな冷菓(画像⑯)が出てきました。以上で、1時間位でしょうか。あっつーい京都市内での清涼ランチの一つだと思います。

 


二皿目の汲み上げ湯葉(画像⑫)

 


三皿目の湯葉と桜花びら麩、白玉麩の三種揚げ(画像⑬)


生麩のみぞれ椀(画像⑭)

 


よもぎ麩の白味噌仕立て(画像⑮)

 


ちっちゃな冷菓(画像⑯)

 

 今回、ホテルに泊まって、いろいろと食べ歩きましたが、JRは往復とも新幹線を使いませんでした。そうそう、迎賓館のみ、国賓等のゲスト接遇経費、見学通路の養生経費の為に参観料として2,000円必要となりますが、仙洞御所と修学院離宮は無料でした。たいへん失礼ですが、無料のご案内の方のご説明の方が丁寧で、わかりやすかったです。HPに掲載されていましたが、8月23~25日の「朝の賓客体験ツアー」は、鯉の餌やり、琵琶の間でのお香や大滝鑑賞が付加されて参観料5,000円とのことです。余裕のある方は、如何ですか?

 

内閣府迎賓館京都事務所
https://www.geihinkan.go.jp/

宮内庁京都事務所
https://sankan.kunaicho.go.jp/

鳳泉
https://kantonhosen.wixsite.com/hosen

都野菜 賀茂
https://nasukamo.net/

半兵衛麩
https://www.hanbey.co.jp/

 

2019.7.3 清八



38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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