「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

「2025年、アフターコロナのエトセトラを報告?します 11月篇」

 

 清八でございます。毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。それでは11月分を報告させていただきます。久しぶりの「三ツ星会」と「第103回本果寺寄席」レポートもあります。

 

■「婦人画報 2021年2月号」ハースト婦人画報社 (2020.12.28) 中古本

私が暮らしている湖西市には図書館が2館あるのですが、年2回、リサイクル本として市民に無料配布されるのですが、今回は11月9日に新居図書館で古雑誌の無料配布が行われたため、いただいた5冊のうちの1冊でした。今号の特集は「元気になる!世界の養生鍋」でした。

 中国から「羊肉の四川鍋」と「白きくらげ入りの白鍋」。料理研究家のウー・ウェンさんによれば、「‥赤、青(緑)、黄、白、黒の五色の食材を、季節に応じて取り入れることで、臓器に働きかけるのが、中国の薬膳の基本。肝(臓)には青(緑)、心(臓)には赤、脾(臓)、には黄、肺(臓)には白、腎(臓)には黒。‥」

 韓国から「韓方ぺクス」と「根菜と金柑の薬膳茶鍋」。料理研究家のコウ静子さんによれば、「ペクスとは、丸鶏を棗や高麗人参などで調理する韓国の煮込み料理のこと。『鶏はおなかを温めて気を補う食材で、柔らかく消化吸収がよく、胃腸に負担をかけません。‥』」「年末年始、つい食べすぎが続いた日の合間には『根菜と金柑の薬膳茶鍋』を。「気を巡らし、消化を促進させる働きのある金柑やせり、腎の働きを養い水分代謝を促すきくらげなどを入れた、排泄を促すことを目的とした鍋です。」

 台湾からは「酸菜鍋」と「素食養生鍋」。素食研究家の松永智美さんによれば、「‥台湾では精進料理のことを素食と呼び、大豆由来の食材を使うことが多いなか、肉を思わせる豊かな食感や旨みを楽しめる食材として、きのこはますます注目されています。‥」(画像①)

 


(画像①婦人画報)

 

■「ナショナルグラフィック日本版 特別編集 昭和」日経BPムック 新刊本

 今年は、「昭和から数えて100年目」という言い方をされていて、来年が「満100年」なのだそうです。イベントや特集記事、戦後の復興など、いろいろとマスコミに取り上げられているようです。この「ナショナルグラフィック日本版」は、30周年記念として発行されたのですが、私は特製付録の昭和19年と35年の日本地図が購入目的でした。これらの地図は、海外に領土を有していた時代と戦後の沖縄が本土復帰する前の時代の地図でした。当然、英語版ですがとても興味があります。

 18頁は昭和17年、1942年11月号で「大陸を走った豪華列車」の写真が掲載されていました。戦前から終戦まで中国東北部の大連とハルピンを結んで営業していた南満州鉄道の「特急あじあ号」の展望一等車での一コマでした。「‥客車は冷暖房が完備された豪華なつくりで、寒暖差が激しく、砂塵の多い大陸でも快適な旅を楽しめた。4ケ国語で書かれた食堂車のメニューは洋食が中心で、白系ロシア人のウエイトレスが給仕するなど、国際色が豊かだったという。」

 最終の160頁は昭和62年、1987年7月号で「町の豆腐屋はどこへ?」でした。「‥雨の朝も晴れの日も、手作りした豆腐をリヤカーに載せて、お得意さんの家々を訪ね歩いていく。京都の街角で出会った日常を、後に編集長を務める写真家のクリス・ジョンズが切り取った1枚だ。‥‥写真の説明で、日本には豆腐製造業者が2万5000ほどあると紹介された。そして、『スーパーマーケット』で大量生産の豆腐が安く売られるようになり、個人の店は経営の危機に立たされている』と付け加えてある。‥昭和の時代が終わろうとしていた頃に、米国写真家が日本らしいと感じて切り取った日常を、令和のいま、目にすることは難しい。」(画像②)

 


(画像②ナショナルグラフィック日本版)

 

■桂米朝著「米朝よもやま噺 藝、これ一生」朝日新聞出版 (2010.2.28) 中古本

 私は、1976年から1994年の間、浜松市内で大きな落語会の主催者のお手伝いをしていました。もう31年から49年前ですから、当時の名人たち、六代目三遊亭圓生、八代目林家正蔵、五代目柳家小さん、十代目金原亭馬生、二代目桂小南、十代目桂文治、五代目三遊亭圓楽、八代目橘家圓蔵、古今亭志ん朝、立川談志、五代目春風亭柳昇、桂歌丸、三遊亭圓窓、柳家小三治、桂米朝、桂枝雀、笑福亭仁鶴、‥ご承知のように、すでに故人となっています。浜松駅と会場との送迎、会場の設営・片付け、楽屋でのお相手、軽食の用意、打上げ場所の確保、ホテルの手配、客入れ時のチケットもぎり、チラシ配布、手拭いやCD・書籍などのグッズ販売、出囃子のテープ担当、客席へのご案内、何でもやっていました。この期間は、私にとって非常に楽しい経験でした。桂米朝師匠は1967年6月から関西テレビの「ハイ!土曜日です」の司会をされていた頃からの第ファンです。この番組内で落語を披露される時は、オープンリールテープレコーダーで録音して、何度も聴き返していました。その後、速記本、エッセイ集、LPレコード、CD・DVD、バイトで購入資金が貯まると必ず購入して、読み、聴き、見てきました。今回の一冊は残念ながら購入していませんでしたので、古書店で購入できました。

 40~41頁は「正月は飲むための口実やった」、2008年1月のお話でした。「‥酒と言えば、戦後まもない昭和22(1947)年に大阪・ミナミにできた「戎橋松竹」という寄席の楽屋には、正月になると出番のない芸人までがぞろぞろ集まったもんです。まだまだ酒も食べ物も無かった時代でした。正月を口実に誰かがどこかから集めてきたり、お客さんからも差し入れがあったりしてね。そうそう、大阪・四ツ橋の文楽座の楽屋でのことやったか、私がそおっと手に入れた密造のどぶろくを持って行ったら、まだまだ発酵していたんやろな。「パーン」と栓が抜けて噴き出したんです。そこら中、酒のにおいが充満してしもうてね。わぁーわぁー言いながらも、たちまち飲み干してしまいました。‥」(画像③)

 


(画像③米朝よもやま噺 藝、これ一生)

 

 2025年は、「桂米朝生誕百周年」でした。米朝事務所が制作されたパンフレットを購入することができました。この中に、直筆の色紙8点が掲載されていました。そのうち「親友を悪友と呼ぶ仲の良さ」は、44年位前に目の前で書いていただき、大切に保管しております。(画像④)

 


(画像④桂米朝生誕百周年)

 


■「月刊京都 12月号」 白川書院 (2025.12.1) 新刊本

 もう一年以上、京都に行っておりませんので、最新の食事情を知りたくて、久しぶりに購入してしまいました。今号の特集は、「古民家カフェ&レストラン」でした。元造り酒屋の蔵を改装した「カステロ ド パウロ」は、ポルトガル人パティシエのパウロさんによるポルトガルのスウィーツ店。場所は、北野天満宮の大鳥居横で、住所では「上京区御前通今小路上ル馬喰町897蔵A」です。100年前の蔵をリノベーションした「TEA SQUARE MORIHAN 蔵カフェ」は、天保7(1836)年に宇治の地で創業した老舗茶舗「森半」さんが敷地内で展開されているカフェで、工場で作られた高級抹茶を使ったパフェやドリンクをいただけます。場所は、近鉄・小倉駅から徒歩10分、住所では「宇治市小倉町久保78」です。築100年以上の町家を数寄屋大工に依頼し、格子や虫籠窓を残して昭和の喫茶店によみあがらせたのが「喫茶 喜多四(きたにし)」です。営業は午前中なのでモーニングや町歩きのお休み処といったお店です。場所は、四条通から綾小路通へ抜ける膏薬辻子(こうやくのずし)、住所は「下京区新釜座町736」です。

 今号で紹介されたお店は、24店でした。来年以降、どれだけ京都に行けるかわかりませんが、この号は「永久保存」としておきます。

 81頁の「小酒句未果の『京都ぷらっと日記』では、何と、上七軒近くの町家を改装したフィンランドカフェ「ポーヨネン」が紹介されていました。住所では「上京区真盛町726-35」。ヘルシンキのレストランの名物料理「ポロリモネッロ」と定番コーヒー「ユフラ」がメニューにあるとか。京都は、やっぱり新しもの文化の土地ですね。(画像⑤)

 


(画像⑤月刊京都)

 

■「暮しの手帖 39号」 暮しの手帖社 (2025.11.25) 新刊本

 24~29頁に「上田淳子さんのごちそうのお悩み相談会」が掲載されていました。人気シリーズ「ご馳走の手帖」から23年ぶりの「ごちそうの手帖2026」刊行記念料理特集とのことでした。①「白菜のサラダ」②「トマト煮込みミートボール」③「トマトクリームソースのパスタ」④「サーモンのタルタル」⑤「焼ねぎとサラミのマリネ」⑥「ツナ入りキャロットラぺ」のレシピを完成写真と共に紹介されていました。

 ④から⑥の料理ですが、読者のお悩み「‥メインを作るのに精一杯で、副菜までなかなか手がまわらず、ゆっくり準備をする時間も取れません。手軽に仕込める、冷えてもおいしい、そして、見た目も華やか―――。そんな三拍子そろった副菜をレパートリーに加えたいです。」というお悩みに対しての答えは「‥私がよく作るのは、刺し身を使ったタルタルや、タンパク質の食材を加えた野菜のマリネ、タルタルは材料を切り、あとは和えるだけの状態に、マリネは事前に作っておくと味もしみ込むので、一石二鳥です。」

 静岡駅ビル「パルシェ」内に「成城石井」さんがオープンされた頃は、静岡市内への出張仕事が多く、新幹線の時間までに余裕がある日は必ず「キャロットラぺ」を買ってかえり、その夜のワインの肴になっていました。浜松メイワン店、豊橋カルミア店がオープンされてからは、購入頻度は高くなっていきました。沖縄へ定期的に通っていた時には、居酒屋では「にんじんしりしり」を頼んで、泡盛の肴にしていました。

 私と奥様は、2009年2月26日から3月3日まで、フランス食品振興会・フランスボルドー委員会のご招待でシャトー巡りを体験させていただきました。帰国は、ドゴール空港からで、待ち時間に空港内の売店で「キャロットラぺ」を購入できました。機内食の一つにしたのですが、実は連日のワインと肉料理の飲食で体が野菜類を欲していたのだと思います。機内食が運ばれる前に、白ワインをいただいて食べてしまいました。本当に美味しかったです。(画像⑥)

 

 


(画像⑥暮しの手帖)

 

 さて、11月18日(火)、久しぶりに浜松三ツ星会の勉強会に参加してきました。今回は、磐田市内で半世紀以上、水耕栽培でサラダ野菜・中国野菜・フレンチ野菜・イタリアン野菜など都内を含め全国展開されている農業生産法人ビッグヤード株式会社さんでした。当時の見学予定は13時からだったのですが、会長さんの提案で磐田市海老島の「南インド料理アイカレー」さんでのランチとなりました。ランチタイムはセットメニューになっていて注文が楽でした。当日のメンバーは、遠州地区では珍しいからと、「ビリヤニセット」にされたようです。辛さは、0から5までの中から選んで、ヨーグルトとグレービー(肉なしカレー)が付いていました。以前、名古屋の「エリックサウスKITTE名古屋店」で食したビリヤニと比べて、このお店のは白いビリヤニでした。(画像⑦)

 

 


(画像⑦ビリヤニセット)

 

 ランチの後は、予定どおりビッグヤードの大庭代表のご案内で水耕栽培の現場を見学、丁寧なガイドをしていただきました。(画像⑧、⑨)水耕栽培の水は地下水で110メートル程掘ってあるため、年間通じて15度を保っているとのことでした。収穫後の水は全部入れ替えることはせず、半分リサイクルして使っているそうです。夏期は25から30種類、冬期は35から40種類、とくに少量多品目に特化、いろいろなニーズに応えられるよう管理栽培されていました。お土産には、持ちきれないほどの質と量の野菜をいただきました。(画像⑩)この年末になっても冷蔵庫内で生き生きしております。ありがとうございました。

 


(画像⑧、⑨、⑩)

 

 11月30日(日)は16時から「瀧川鯉昇の会」として、103回目の本果寺寄席を開催出来ました。インフルエンザの影響もありキャンセルもありましたが、84名様のお客様でした。当日の演目は、喜六家清八「看板のピン」瀧川鯉昇「茶の湯」「宿屋の富」でした。終演後は恒例の抽選会、師匠の手ぬぐい・色紙、笑点カレンダー、そして大入り満員の「大入り袋」にはスクラッチくじを入れました。(画像⑪、⑫)

 


(画像⑪、⑫)

 

 当本果寺寄席は、1982年10月30日の「新窓・愛橋・楽輔三人会」がスタートでした。磐田出身の三遊亭新窓(現・三遊亭圓王)、浜松出身の春風亭愛橋(現・瀧川鯉昇)、そして静岡出身の柳亭楽輔(現・柳亭楽輔)は、当時、三人とも「二ツ目」として持ちネタを増やされている時代でした。この42年間で、台風直下での中止が1回、コロナ禍での中止が2回ありましたが、103回で来演者は45名、延べ343席の噺を聴いていただけました。

 来年は、「午歳」です。「飲馬投銭」(いんばとうせん)を心がけていきます。

 みなさま、よいお年を!

 

2025.12.26 清八





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