「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

「第87回本果寺寄席から、食べ物の図柄の話になりました」

 

 清八でございます。たいへん長らく、ごぶさたしております。
 「GoToキャンペーン」が始まっておりますが、静岡県は、まだ「警戒レベル3(県内注意、県外警戒)」で、「東京都、沖縄県への移動は、特に慎重に……」「千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府への移動は、慎重に……」状態は継続中です。(10月9日現在)

 「別冊ちりとてちん」には、いつも、私のイベント企画を掲載していただいております。前回は、7月12日に開催することができた「第87回本果寺寄席 二ツ目瀧川鯉丸の会」のご案内でした。5月25日に「緊急事態宣言」は解除されたのですが、イベント開催時の集客は、定員数の半分以内という条件があり、固定椅子の公共ホール、民間ホールでは採算的に無理な事もあり、県内では、集客イベントは皆無状態であったと記憶しております。私の会が開催出来たのは、会場がお寺の本堂内であった事につきます。本堂に座布団を敷き詰めると130人くらい収容できます。この時は、イス席で50席限定にし、前後左右に75センチ程、間隔を空けました。この75センチはイスとイスの外側の間隔なので、お客様ご自身では各1メートルは離すことができました。結局、大人52人、小学生1人の満席となりましたが「密」を避ける工夫は出来ました。また、入場時に非接触型・電子体温計で額温度を測定、医療用アルコール消毒液で手指の消毒をしていただきました。当日のお土産として、お客様お一人に1枚、携帯・スマホ、タブレット、メガネ用の抗菌おしぼりを用意しました。当然、入場時からマスク着用、「マスクは外さず、お笑い下さい」を徹底していただけました。配布するチラシ類は、イス席に置き、抽選会用のカードは別に用意させていただきました。今回、ご住職との事前打合せで、高座と客席の間にある柵(本堂の中央、お仏壇前)は、「結界」として外さず、演者側、客席側、お互いに「新型ウィルスが広がらないように…」と、当日、ご説明致しました。演者のマイクは、ご住職が一人一人変えていただけました。ともあれ、個人レベルでは可能なレベルで対応させていただき、無事、開催できました。(画像①)


(画像①)

 

 さて、長い「巣ごもり生活」の中で、新しい活動が出来ました。これも「別冊ちりとてちん」に掲載していただいたのですが、私は7年前から湖西市新居町内の元・芸妓置屋「小松楼まちづくり交流館」(画像②)をイベント会場としてお借りしたり、同館イベントのお手伝いをしてきました。


(画像③)

 

 私が生れ、小学四年生まで暮らしていたのは新居関所のすぐ南側で、この地域のおじいちゃん、おばあちゃんたちとは顔なじみ、少しでもお役に立てればと、協力させていただいております。今年は、「緊急事態宣言」時は閉館、解除後も集客イベントは自粛、来館者は大幅に減っていました。8月初旬に、9月から11月三か月間、ギャラリー利用者の申込みが皆無状態になっていると聞き、私が展示企画を持ち込んだのです。9月は、私が2008年から2012年のマイブーム期間に製作した鉄道模型ジオラマの展示、11月が「清八コレクション手拭い展」でした。ジオラマ(画像③)は8年ほど走行させてなかったので、レールの一部が錆びておりクリーニングに時間がかかりました。


(画像③)

 

 9月2日に、3台のうち2台を搬入し展示したところ、中日新聞、読売新聞、静岡新聞の取材が続いて入り、かなり大きく掲載していただけました。静岡新聞では、私にとって初めての「動画取材」でした。結果、9月の来館者708人のうちジオラマ目的は、約300人でした。リピーターも多く、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんに見せるために来館、三回目というご家族が4組もありました。4歳位の子供さんがジオラマの前に座ると、ちょうど目線が建物の位置になる為か、じっと見つめて動かず、30分位、走行する電車を目で追ってくれました。10年程前に制作して、そのままにしておいたジオラマでしたが、展示させていただき、本当に良かったと思います。好評につき、10月への展示延長となった為、2台のうち1台を入れ替えました。最初の日曜日には三回目というリピーターのご家族が来てくれました。走行させる電車も4台、変えました。


(画像④)

 

 11月ですが、当初の予定どおり、私の「清八コレクション手拭い展」(画像④)です。これまでの交流を通じて、いただいた噺家さんの手拭い、私の大好きな京都・永楽屋さんの町家手拭い、そして浜松市内の注染手拭いを56本、2期に分けて展示します。現在、準備中なのですが、噺家さんからいただいた手拭いの中に「食べ物」が使われている物がありました。さぁ、やっと、ここからが「ちりとてちん」のコラムになります。実は、「食べ物」の図柄は非常に珍しいんです。噺家さんの手拭いは、江戸時代からの伝統図柄に芸名を加えたり、着物の「紋」を加えたり、シンプルな図柄が多いんです。元々、噺家の手拭いは高座で落語を喋る時に使う小道具の一つ、名刺代わりにお客さんに渡す事は少ないです。二ツ目昇進、真打昇進、名前の襲名時などに披露パーティでの引出物としてつくり、ご祝儀への返礼、引出物に使われる事が殆どです。もうかなり前から、ホール落語会の時にロビーで手拭いを販売するようになりました。しかしながら、この手拭いは販売用に別につくった物なんです。私がこれまで蒐集できた手拭いは、販売用ではありません。ご祝儀や楽屋への差し入れなどの返礼としていただいた物なんです。


(画像⑤)

 


(画像⑥)

 

 さて、その「食べ物」図柄です。今年5月に真打昇進された、桂伸衛門師匠(画像⑤)、二ツ目の10年間に6回、本果寺寄席に来演していただきました。彼の二ツ目時代「桂伸三」時代の手拭い、「晩白柚」の図柄(画像⑥)なんです。彼は、熊本県八代市出身なので、世界最大の柑橘果物を図柄として描いていたのです。落語芸術協会からは、5月に彼の他、瀧川鯉八、昔昔亭A太郎師匠の三名が真打昇進、披露興行の予定だったのですが、「緊急事態宣言!」により総て「中止」となり、この10月11日から再開しております。


(画像⑦)

 

 そして、「たまご」の図柄(画像⑦)があります。これは、古今亭伸ん輔師匠が立ち上げた若手育成の会「たまごの会」の手拭いでした。何と、メンバーは、古今亭朝太、桂才紫、古今亭菊六、古今亭志ん八、古今亭駒次、柳亭小痴楽、春雨や雷太、立川吉幸。現在、メンバー全員が真打昇進されています。現在のお名前は、古今亭志ん陽、桂やまと、古今亭文菊、二代目・古今亭志ん五、古今亭駒治、柳亭小痴楽、桂伸衛門、立川吉幸となっています。


(画像⑧)

 

 三枚目は、瀧川鯉昇師匠のお弟子さん、瀧川鯉太師匠が真打昇進された時の引出物に入っていた「鯉」(画像⑧)の手拭いです。彼は、真打昇進の翌年2010年1月に来演していただきました。四枚目は、立川志の輔師匠が、全国でホール落語会を展開される時に販売している手拭いの一品です。全国の名産品や食べ物が図柄になっています。「りんご」「鏡餅」「ラーメン」「にわとり」「屋台」「蕎麦」「いか」「たこ焼き」(画像⑨)がありますね。


(画像⑨)

 

 そして、五枚目は静岡出身の柳亭楽輔師匠の「夜泣き蕎麦屋」(画像⑩)、1997年5月に真打昇進された時の引出物です。楽輔師匠には、7回来演していただけました。いずれも、たいへん珍しい「図柄」の手拭い、だと思います。11月1日から29日、「小松楼まちづくり交流館」一階お座敷内に、噺家手拭い36本、京都・町家手拭い16本、浜松注染手拭いを4本、計56本を二回に分けて展示致します。ご興味のある方は、観にきて下さい。なお、11月3日(文化の日)は、オープニングイベントとして、10時から12時まで、「邦楽&落語勉強会」を無料で開催します。私の落語は、11時の予定です。さらに、当日のみ浜松注染手拭いの販売会も行います。ご期待下さい。11月29日(日)は、展示の楽日、第88回本果寺寄席「第6回柳亭市弥の会」を開催します。手拭いは、当日の17時まで展示しておきますので、手拭いを見られてから寄席に来て落語を聴いて下さい。


(画像⑩)

 

 ところで、11月1日は、「天赦日」です。「天赦日」は「天がすべての罪を許す吉日」と言われています。きっと、笑って新しい年を迎えられる年の瀬になると信じます。

 

2020.10.19 清八



37年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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