「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ディープなベルギー、その2」

 清八でございます。
エピファニーの南竹シェフご紹介の「INADA」さんに行ってきました。このフレンチ・レストランは、「地球の歩き方」に「日本からベルギーに修業に来るフランス料理人の目標がこのイナダ氏」と紹介されています。宿泊したホテル・アミーゴからタクシーで約15分、ブリュッセルの南方向のルイーズ広場南側まで向かいました。ところが、タクシーの運転手が道不案内で、交差点で停まるたびに地図を見るような具合でした。それでも何とか予約してあった午後7時には店に入ることができました。ベルギー人のギャルソンに南竹シェフの名刺とエピファニーさんのホームページを預けると、厨房から稲田シェフが跳んできました。すでに日本語のメニューがあって、どれにしようか悩んでいたのですが、ワイン飲み放題シェフのおまかせコース、60ユーロ(約9000円)にしました。今回、シェフのご了承を得て、すべて撮影させていただきました。ちなみに、ワイン無しのコースは40ユーロとなっています。前述の日本語のメニューには、「鰻の蒲焼」もありました。

 さて、コースですが先ず、「三種類のテリーヌ」(写真①)が大皿で登場、「マグロの刺身」(写真②)はマスタードソースでいただきました。そして「大きなラビオリ」(写真③)と「ホワイトアスパラガスと白身魚」(写真④)、「仔羊のロースト」(写真⑤)と展開されたのですが、何と、モリーユ(あみがさ茸)が中央にのせられていたのはびっくりでした。この頃には、ワインは大きめのグラスに4杯目になっていたと思いますが、もう、満腹状態になっていました。ところが、デザートとして「チョコレートケーキ」(写真⑥)を一口食べたとたん、お腹と意識がすっきりしてきたのです。シェフに伺うと、全く砂糖を使っていないので、という説明でした。

 こうして約3時間、シェフの説明を伺いながら楽しんだのですが、閉店後、近くのカフェに行こうと誘われました。前回説明しましたが、このカフェは「喫茶店」ではありません。ビールを飲ませる店です。しかも、朝4時までオープンしていて、ビールが1000種類以上あるとの話に乗ってしまいました。こうした想定外のお誘いになってしまったのは、「落語」なんです。お互いの自己紹介の中で、素人の「落語家」と伝えたところ、この稲田シェフも落語大好き人間で東京での修行時代、当時の寄席に通い楽屋にも遊びに行き、当時の落語家さんたちとも交流があり、今でもルーヴェン(ブリュッセルから車で約30分)のご自宅で奥様に内緒で聴いているとのことでした。この共通の話題であっという間に3時間過ぎてしまったのです。

 最後のお客様が帰られ、厨房の片付けが済んだのが11時過ぎでした。それからシェフの通勤車で約5分位の距離だったと思いますが、駐車スペースを探すのに10分位かかってしまったので、正確な場所はわかりません。州庁舎の近くの「Moeder Lambiek」という店に入店しました。たぶん、奥に1000種類以上のビールとグラスが置いてあったと思いますが、客席はカウンターとテーブル席で30席位、タトゥーを入れた、にぃにぃ(沖縄の言い方で、お兄ちゃんたち)とアンニュイな、ねぇねぇ(沖縄の言葉で、お姉ちゃんたち)がビールを飲んでカードゲームをしていました。言葉がわかりませんので、シェフに通訳していただき、頼んだのがビール(写真⑦)でした。「Affligem Paters Vat」「LAMORAL」「Guldenberg」など日本国内では入手できない銘柄をいただくことができました。こんな遅くまでオープンしているのは訳があって、例えば飲食業界で働いている人達が自分の店を片付けてからくつろぎに来るからです。にぃにぃやねぇねぇたちがたむろしているからといって、決して悪い雰囲気ではありませんでした。

 ベルギーでの飲酒制限は16歳なのですが、自動販売機はまったく無く、すべて対面売りです。アルコールを提供する店には、昼間であろうと、ファミリーであろうと、16歳未満は入店させません。さぁ、今の日本とどちらがいい、悪いなんでしょうか。

 こうして、ホテルに戻ったのが夜中の2時でした。稲田シェフ、本当に、ありがとうございました。おつかれさまでした。今回は、写真が多いので、このあたりで失礼致します。

2006.6.6


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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