「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ディープなベルギー、その1」

 清八でございます。
今年のゴールデンウィークは、6年ぶりに4回目のベルギーに行ってきました。初めてのベルギーが95年でしたが、今回は通 貨がユーロに統一されてから初めてとなりました。

 今年のヨーロッパ便は、どの航空会社も満席状態で、出発1週間前になってBA(ブリティッシュ・エアーウェイズ)便でロンドン乗換え・ブリュッセル便が確保できたくらいでした。噂には聞いていましたが、ヒースロー空港内でのバス移動、税関での重複チェック、ブリュッセル便での軽食(サンドイッチ)の酷さ等、いろいろ問題点はありましたが、5月2日成田空港を13時20分に出発、ヒースロー空港着17時20分、乗り換え便発19時45分、ブリュッセル着21時50分、ホテルでのチェックインは22時40分となってしまいました。着いた日の夜食は何にしようかと考えていたのですが、疲れていた為、ルーム内のビール(もちろん、ベルギービールです)を飲んで寝てしまいました。

 さて、今回のホテルはブリュッセルの中心部にある大広場「グランプラス」から50メートルという立地条件の「ホテル・アミーゴ」を予約できました。旅行社によれば、日本人観光客用としては4部屋提供されているという情報でしたが、結構な数の日本人の宿泊者だったようです。このホテルは、16〜19世紀に監獄として使われていた所で、1873年にフランスの詩人ヴェルレーヌが詩人ランボーに発砲し、ここに投獄されたという逸話が残っています。

 3日は、ホテル内での遅めの朝食後、一番の目的であるカフェ巡りのためホテルを出ました。カフェは、「喫茶店」ではありません。ベルギーではお酒を飲ませる店が4種類あり、「カフェ」「タヴェルン」「パブ」「バー」と呼ばれています。このうち「カフェ」ではビール中心で、簡単なおつまみが用意されています。どんな小さな村にも一軒あり、駅内の店舗も含めるとベルギー全土で約3万軒といわれています。人口比較では国民340人に一軒の割合になるのだそうです。営業時間は、朝10時から夜12時ですが朝4時までという店もたくさんあります。もちろん、地域、季節、曜日によってバラバラだそうです。日本の大正・昭和初期の小説や映画・演劇に「女給のいる洋風の酒場」としてカフェが登場しますが、正にこの雰囲気です。ただし、今ではギャルソンが多くなっていますが。

 どうして午前中からビールを飲みにカフェ巡りをするのか、これには理由があります。私が「ちりとてちん」内で何度も書かせていただきましたが、ベルギーは地ビールの国で、1100以上の銘柄が常時つくられているのです。もともとワイン用の葡萄が栽培できなかった為、フランスのワインに匹敵する程の質と量 のビールがあり、食前ビール、食中ビール、食後ビールに分けられるビールが存在しているのです。ビールの味ですが、これは個人の好みなので何とも強要はできませんが、私個人としては、日本の麦以外のデンプンで造られているビールよりは断然おいしいと思います。余分な事ですが、日本の「米やさつまいもやじゃがいもやとうもろこしで造られたビール」は、ビール法のあるヨーロッパではビールとしては販売できません。「雑酒」扱いとされます。

 カフェ巡りの話に戻します。開店時間にはまだ早かったので、ヨーロッパで最も古いショッピング・アーケードのひとつ「ギャルリー・サンクチュベール」でウインドショッピング、それでも時間があったのでグランプラン内にあるビール博物館を見学、館内の酒場で飲んでしまいました。次は、このグランプラスから歩いて5分のところにある証券取引所の表通りにある「タヴェルン・シリオ」Taverne Cirio(シリオの居酒屋)を覗きました。この店には初めて入りました。この店は1920年代のアールデコ様式のインテリアで埋め尽くされていました。入った正面 の壁には50個のメダルを貼り付けた大きな楕円形の額が飾っておりました。これは、客に対するサービスの優れた店に贈られたものだそうです。この店は、タヴェルンであってカフェではありません。その為か、ビールよりもワインやシャンパン、ウィスキーを飲んでいるお客が多かったようです。

 次に向かったのは、この証券取引所の裏側にある「ファルスタッフ」Falstaff(シェークスピアの喜劇に登場する陽気な老騎士)です。この店には前回も訪れているので、今回はランチの場所にしました。フランス語のメニューが読めなかった為、かろうじて理解できたランチメニューにしました。今回の写真の二皿がその料理です。一皿目が「スモークサーモンのパイ包み」、二皿目が「牛フィレ肉のステーキ」それにフリッツ(フライドポテト)が付いてきました。この二皿で10ユーロ(約1500円)でした。もちろん、飲み物は本日三杯目となるビールでした。ビールの肴として、小海老コロッケやオムレツ、サラダなどもありますから、ゆっくりビールを愉しむのに最適なカフェだと思います。

 飛行機内が長く、昨夜も遅かったので、ここで一度ホテルに戻り「お昼寝タイム」。ディナーは、エピファニーの南竹シェフご紹介の「INADA」さんに予約したのですが、これから夜中の2時までのレポートとなりますので、また、次回とさせていただきます。

2006.5.15


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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