「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「シネマの厨房」

 清八でございます。

 先日(3月15日)、「マーサの幸せレシピ」を観てきました。アカデミー賞外国語映画賞の候補となっているこのドイツ映画は、ハンブルグのフレンチ・レストランが舞台となっています。一流の腕前を持つ、でも、オーナーからは、何故か“街で二番目のシェフ”と呼ばれている女性シェフが経験していく、人との出会い・新しいレシピとの出会い…。ストーリーは書きませんので、映画館でご覧ください。

 当然、このレストランと彼女のアパートの厨房と料理シーンが克明に描かれて、ストーリーが展開されていきます。メニュー料理は当然としても、毎日の賄い料理まで登場させ 登場人物たちのキャラクターが描かれていきます。家でもできるかな?と思ったのは、生ハムをのせた、ゆでたアスパラガスの一皿でした。又の機会に詳しく書きますが、私の大好きなベルギーでは、春、白アスパラガス料理が各レストランに並びます。これから旅行される方は絶対食べてみて下さい。やみつきになると思います。それから、イタリア料理も登場するのですが、賄い料理として、粉チーズとバジリコのみのスパゲティがありました。私は、関西系ですから、「素うどん」とか「素蕎麦」という表現をします。お店の名前は忘れましたが、コース料理の時に、茹でてオリーブオイルでからめただけの「素スパゲティ」を食べたことがあります。おもしろい選択肢であり、又、余程自信がないと出せないのに…と、感心したことがあります。

 さて、レストランや厨房、料理を扱った映画はこれまでにもたくさんあって、興味深く観ています。台湾映画「恋人たちの食卓」では、無錫風スペアリブ・海老とグリンピースの炒めもの、苦瓜のスープが記憶に残っています。メキシコ映画「赤い薔薇ソースの伝説」 では、映画の題名にもなっている薔薇の花びらとエッセンスを使った鶉料理、言語ではなく調理シーンが主人公の心を表していました。フランス・ベトナム合作映画「青いパパイヤの香り」では、中庭の緑陰が炊事場となっていて、女性たちはしゃがんだまま米をとぎ野菜を洗い、きざみ、ほうろうの鍋をコンロにかけて調理をしていました。パパイヤは、青い時は野菜とみなされ、熟すと初めて果物となる、ことも初めて知りました。その後、中華料理、沖縄料理に、この青いパパイヤを使った料理があることも知りました。映画の楽しみ方は、人それぞれですが、料理や厨房、調理器具を見るのも面白いですよ。ちなみに、私は英語圏以外の映画を好んで観ています。料理の好みも人それぞれでしょうが、英語圏の料理より英語圏以外の民族料理の方が味わい深いし、楽しみが多いと思うてます。

 参考に…、映画に出てくる料理のレシピをまとめた書籍があります。映像文化センターから「シネマ厨房の鍵貸します」と「シネマ厨房の鍵貸します2」が6、7年前に発行されていました。ご興味のある方は、図書館にでもどうぞ…。

2003.4.9


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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