「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

「ひさしぶりに、噺家さんたちの食生活…その4」

 清八でございます。ごぶさたでございます。
 15年前、この「ちりとてちん」を掲載していただいた年に、No.8として「噺家さんたちの食生活…その1」を書きました。内容は、地方・地域での落語会での食事とか打上げの料理についてでした。私が、36年前から湖西市新居町の本果寺さんで続けさせていただいている本果寺寄席は、5月27日に第81回「瀧川鯉昇・雷門獅篭 二人会」(画像①)を無事に終えることができました。15年前と大きく変わっていることが三つあります。

一つ目は、開演時間が18時30分または19時だったのが、17時と早くなった、ことです。これは、私も含めて関係者の平均年齢が上がり、21時30分からの打ち上げでは体力が持たなくなり、次の日に差し支えるようになったこと。記憶によれば、25時までは宴席が続けられたと思い出します。特に結婚された噺家さんたちが泊りではなく帰りたいという要望が多くなったことによります。

二つ目は、17時開演なので、開演前の食事(のせモノと言うてますが…)を用意しなくてもよくなりました。開演時間が遅かった頃は、5月は冷やし中華であったり、ざるうどん、春とか秋、冬は梅うどん、おぼろうどん、鍋焼きうどんなど麺類が多かったです。私の独身時代は、お寺の近くのラーメン屋さんとかうどん屋さんだった記憶があります。浜松市内のデパ地下とか駅の弁当もありましたね。たぶん大きな会の主催者様で用意される食事は、開演前に生寿司とか鰻重とかが多いと思います。全国展開されている噺家さん達は、おそらく毎日ではないでしょうか。いろいろな噺家さんに伺いましたが、高座に上がる前に満腹にしてしまうと、緊張感が薄れてしまったり、声が変わってしまったりしますから、軽いモノにしたほうが良いだろうと、私の判断からでした。もう30年以上も前に、私が鯉昇師匠のマネージャー兼運転手兼前座で一緒に行動させていただいた頃、初日の昼と夕方が生寿司、その晩の打ち上げに鰻と刺身の盛り合わせ、二日目の昼と夕方に、また生寿司という状況を体験しております。この時は、鰻と生寿司のネタを師匠の分もいただきました。もったいない話ですが、心の中で「もう、勘弁してぇ」と叫んでおりました。その頃、鯉昇師匠は浜松出身なのに、鰻がダメ、生の刺身がダメ、当然のように生寿司がダメ、という体質でした。

さて、三つ目ですが、打ち上げの酒の種類が日本酒からワインに変わりました。酒の肴もイタリアンを用意できるようになりました。実は、フラスカティさんのHP内の5月28日分に書いていただけたのですが、当会の開催が日曜日で、タイミングが合えば、シェフの賄いでイタリア料理(画像②、③、④、⑤、⑥)を味わわせていただけるようになりました。

21時30分から打ち上げだった頃、当町内には利用できる居酒屋、飲食店は皆無でした。今でも殆ど状況は変わっておりませんが、お鮨屋さんから出前を取るとか、居酒屋でテイクアウト、コンビニで買ってくるか、選択肢は殆ど増えておりません。前項の理由により鯉昇師匠が来演の時は、同伴の噺家さんにもあらかじめお断りをして、鰻・刺身・寿司は用意しないようにしました。テイクアウトのオードブルも除外しました。これは、他の落語会の主催者・関係者さんにはたいへん失礼なのですが、寿司、天ぷら、フライ等の宴会メニューが定番になってしまい、ドリンク類も発泡酒から国内全メーカーのビールだったりの内容に、噺家さんたちが積極的に手を出されない状況を体験していたからです。

それなら、どんな品揃えにしてきたかと言いますと、八丁味噌のおでん、豆腐田楽、ぶり大根、油揚げと大根のたいたん、奥山名物大油揚げ焼き、新玉ねぎのスライスしらす添え、生海苔の酢の物、もずくの酢の物、鰻の肝焼き、わらびの煮物、いかの塩辛、ほやの燻製、サーモンの燻製、サーモンのカルパッチョ、陳麻婆豆腐、天津餃子、水餃子、アサリの酒蒸し、ゴーヤーチャンプルー、豆腐よう、にんじんしりしり、キャロットラペ、牡蠣の天ぷら、牛すじ煮込み、トムヤンクン、ムール貝のガーリックバター、ベーコンのスライス、生ハム、チーズの盛り合わせ、ロスティ、アンチョビポテト、柿の葉寿司、朴葉寿司、バケットのアヒージョ、ライ麦パンなどなど……、和食、おばんざい、沖縄、中華、エスニック、フレンチ、イタリアン…あらかじめ取り寄せておいたり、家でつくったりして、噺家さんやスタッフさんたちが興味を持って食べていただける酒肴を準備してきました。これらの酒肴は、私が高校生の頃から愛読書にしている「暮らしの手帖」内のレシピ、落語愛好者ということで、いろいろなところでお近づきになれた板前、シェフ、酒屋さんからの、レシピからでした。(実際の料理は、奥様ですが…)本当に、ありがとうございました。ドリンク類もビールと日本酒だったのが、焼酎、ベルギービール、ドイツビール、ワイン、ボージョレ・ヌーヴォーと、いろいろと肴との相性を確かめながら、セッティングできました。

 前回も書きましたが、浜松と豊橋の間に暮らしていて、関東系も関西系も食材が入手でき、毎回、いろいろな肴とドリンクを考えられる打ち上げ、落語会からは離れてしまうかもしれませんが、理解していただける噺家さんとご支援者さん、これからもお付き合い願います。(追い出し太鼓…)

 

画像① 画像② 画像③
     
画像④ 画像⑤ 画像⑥

 

瀧川鯉昇
http://www.takigawa-rishou.com/

雷門獅篭
http://www.thundergate.jp/chicago/

フラスカティ
https://www.wr-salt.com/frascati/

2018.6.6 清八



37年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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