静岡県浜松市のフレンチレストラン「エピファニー」
静岡県浜松市のフレンチレストラン「エピファニー」 静岡県浜松市のフレンチレストラン「エピファニー」 静岡県浜松市のフレンチレストラン「エピファニー」
 
 

 

 




<写真左から>
・ソアーヴェ・クラッシコ・DOC・ヴィーノ・スプマンテ・ブリュット 2006
(品種:ガルガネーガ、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ)

・ソアーヴェ・クラッシコ・DOC 2005
(品種:ガルガネーガ、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ)

・ソアーヴェ・クラッシコ・DOC・アチー二・ソアーヴィ 2004
(品種:ガルガネーガ)

・レッチョート・ディ・ソアーヴェ・クラッシコ・DOCG・コルテピットーラ 2004
(品種:ガルガネーガ)

 

 
 
【写真】左上から時計回りに

・チキンのレモン・パセリ風味
鈴木農園の根菜添え

・真鯛のサラダ
  パルミジャーノとバルサミコ風味

・ファルファッレのセロリソース
 

 




(写真左から)
・シャルドネ・デル・ヴェネト・バロンチーノ・IGT・ヴェネト 2006 (品種:シャルドネ)
・ヴァルボリチェッラ・DOC・ヴァルパンテーナ・リトッコ 2005(品種:コルヴィーナ、ロンディネッラ)
・アマローネ・デラ・ヴァルポリチェッラ・DOC・ファラスコ 2003
(品種:コルヴィーナ、ロンディネッラ、カベルネ・ソーヴィニョン)
・ペルゴリーノ・ロッソ・IGT・ヴェネト 2006(品種:コルヴィーナ、ロンディネッラ、ネグラーラ)
 

 
 
【写真】左上から時計回りに

・牡蠣のスープ、カレー風味

・マンゴーのグラニテ

・牛ロースのステーキ
キノコのクリームソース

・赤いスパイスのホタテ貝と
黄色いカブのサラダ
 
 

 



 

・新酒デラウェアー 中央葡萄酒(山梨)
・ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー ドミニク・ローラン
・ボジョレーヌーボー ドメーヌ デ ピエール
・ボジョレーヌーボー ラブーレ・ロワ ノンフィルトレ
(写真左から)

 

 
 
 
1:三方原台地の大根とベーコンのキッシュ
2:駿河湾の桜海老のグラタン、お茶風味
3:ルーのハンバーガー&クロコダイルのパイナップル風味
4:寿司を握るシェフ。普段は見られない、ワイン会ならではの風景
5:サーモンの寿司
6:タルトタタン
 
 
 

 

6月のワイン会

「ピエール・ラベ」

 

ピエール・ラベは現在息子のフランソワ・ラベが引き継いでいます。

フランソワ・ラベはクロ・ヴージョ村のシャトー・ドゥ・ラ・トゥールの栽培、醸造責任者をしており、今回のボーヌ村のワインもそこで作られたものです。

   


浜名湖でとれたワタリガニのテリーヌ

  最初の料理「浜名湖でとれたワタリガニのテリーヌ」は、オマール海老のソースにエストラゴンというハーブを効かせてあり、初夏を感じさせる味わいです。ラベの自信作と言われているクロ・デ・モンスニエール・ブランの、リッチで力強いワインとの相性は抜群です。
   
 「かぼちゃの冷たいスープ」。最近のシェフはスープ作りに、かなり魂を注ぎ込んでいます。私が「この野菜をスープにして!」と言うだけで、いろんな野菜を上品で美味しいスープに仕上げてくれます。身近にある野菜の時には、家庭でも出来るようにレシピを添えて参加者にお渡ししています。このかぼちゃのスープも家庭で試された方が何人かおられて、好評だったようです。  

かぼちゃの冷たいスープ
     

鶏もも肉のコンフィ・赤ワインソース、マキシム風じゃがいも添え
 

「鶏もも肉のコンフィ・赤ワインソース、マキシム風じゃがいも添え」。マキシム風じゃがいもはフランス語でポンム・マキシムと言います。じゃがいもを薄切りにして塩、コショウし、溶かしたバターをからめてフライパンに並べ、オーブンでカリッと焼き上げたものです。

マキシムはパリの8区、ロワイヤル通りにある超一流のレストランです。1893年創立で、店内はアールヌーボーの装飾が施され、世界中のセレブが集うことで知られています。私達が食事をしたその夜も、デザイナーでマキシムのオーナーでもあるピエール・カルダンと、世界的歌手のフリオ・イグレシアスがパリ公演の打ち上げパーティをやっていました!

ここで食べたマキシム風じゃがいもは、まるでバラの花びらが散るようにハラハラと、銀の大皿から私の皿の上にギャルソンが盛り付けてくれました。あのように軽いポンム・マキシムは他ではお目にかかったことがありません。

     

チーズは珍しい「エジー・サンドレ」。エジーはブルゴーニュ地方の地名、サンドレは砂をまぶしたという意味です。砂をまぶしたエジー。この砂にどんな意味があるかというと、ウオッシュタイプは発酵しやすいので、砂で発酵を止めるためなのです。中身はやわらかく、コクがあります。食べるときには砂のまぶされた皮を取り除いて食べます。それからミモレット18ヶ月とレッドチェダーチーズ。

 

 
     
そしてデザートは「オレンジのシブーストと、甘夏のシャーベット」。甘夏はお昼のワイン会に時々参加される桜井さんのお宅になっているもので、果汁は濃厚な味わいです。シェフのお気に入りで、毎年この時期に作ります。オレンジのシブーストは、「私の好きなデザートのベスト3に入る!」と感激された参加者もいらっしゃいました。

じめじめした梅雨の季節を吹き飛ばす、さわやかなワイン会でした。
 
 

 


 

5月のワイン会

「ラルール・ピオ」

 エピファニーのワインリストにも載せているラルール・ピオのペルナン・ヴェルジュレス・ブランは、私のお気に入りのひとつです。もう3世紀にも渡ってワインを生産しているこの作り手のワインは、店のお客様にも「あまり聞いたことのない村だけど、おいしいね。」と好評です。

 ワインを仕入れる時、普通は作り手の名前とワイン名を言って注文しますが、エピファニーでは、もう長年取引きしている輸入業者のワインリストから、聞いたことのないような作り手のワインでも平気で注文を出します。それほど信頼のおけるワイン業者です。

 先日マット・クレイマー著の「ブルゴーニュワインがわかる」という本を読んでいたら、注目したい生産者というページにラルール・ピオの名前がありました。こ の輸入業者の扱っているワインが、専門誌や業界誌などで高い評価を受けているという事は、今までにも何度もあったのです。

 

 
   


フランス産ホワイトアスパラと
鈴木農園のオニオンヌーボー

  「フランス産ホワイトアスパラと鈴木農園のオニオンヌーボー」

この料理はアリゴテも、ペルナンヴェルジュレス・ブランもどちらでも美味しくいただけます。

ヨー ロッパではこの時期、ホワイトアスパラを食べて春を感じるようですね。篠原町の鈴木農園の鈴木孝義さんの作るオニオンヌーボーもまた、遠州地方に春を感じ させてくれる野菜だと思っています。真珠のようにキラキラと輝き、噛むと口の中に優しい甘さが広がります。浜松を代表する春の野菜ではないでしょうか。

先ほどの私の信頼するワイン業者同様に、鈴木孝義さんの作られる野菜は、どれも安心して美味しく食べられる事ができます。



「大久保町のセロリのスープ・タイム風味

浜松産セロリは11月から収穫が始まり、5月ごろまで出荷が続きます。それ以外の時期は主に長野県から出荷され、1年の半分ずつを主に静岡県と長野県で市場を分け合っています。その取れたてのセロリを使って、香り高いスープを作ります。このスープは浜松産のセロリがある時にだけメニューに載る、エピファニーの人気メニューのひとつです。使われるタイムはもちろん鈴木農園産です。

   
「牛ロースのステーキ・三方原産新じゃがいものピューレー添え」

お皿に柔らかめのじゃがいものピューレーと、赤ワインのソースを流して、その上にステーキを置いてあります。パストゥ・グラン、ペルナン・ヴェルジュレス共々、とても良く合いました。
 

牛ロースのステーキ・三方原産新じゃがいものピューレー添え
     

リヴァロ(上)、パヴェ・ソヴァージュ(右)、バラカ(左)
 

チーズは3種類です。

リヴァロ…5本のい草で周囲を巻いた、ウオッシュタイプ。

パヴェ・ソヴァージュ…エストラゴンというハーブと、コショウをまぶしたヤギのチーズ。

バラカ…馬蹄形をした白カビのチーズ。馬蹄形はヨーロッパでは幸せを呼ぶ形としてネックレスなどにも使います。シェフの趣味に合わせて選んだ訳ではありません。



デザートは「チェリーのクラフティ」で締めくくり。

全てに春の香りを感じさせるワイン会でした。

 

 


 

4月のワイン会

「エマニュエル・ジブロ」

 このブルゴーニュワイン生産者は1970年よりオーガニック農法を始め、1990年からはヴィオディナミ農法を導入しています。農薬を一切使用せずに栽培されているぶどうの樹は非常に健全です。そのぶどうから作られたワインがいかに美味しいかは、あまり有名でない村のワインほどわかりやすいのではないでしょうか。

 例えばジュブレ・シャンベルタン村のワインをよく知っている人に、ヴィオディナミ農法で作られたジュブレ・シャンベルタンを飲んでもらうと、「あれ?ちょっといつもと違うな」と、自分の記憶しているイメージと比べてしまいますが、初めての村のワインにはもっと素直に、純粋な気持ちで対面できるような気がします。

 今回のサンロマンのワインは、私にとって初対面ではなくとてもなじみ深いものです。娘二人がまだ小さかった頃、家族でこの村を訪れたことがあります。

 ブルゴーニュの名醸ワインの多くは標高250m〜300mの地点にありますが、サンロマン村は300m〜400mと高くなります。車で山道をクネクネとかなり登った記憶があります。標高が高いとワインの力強さが少し不足しますが、しっかりした酸のおかげで素晴らしい赤ワインになります。

 
   

 かつて某テレビ局が行ったブラインドテストで、あの有名なソムリエの田崎さんが、アラン・グラの作るサンロマンの赤をシャンボール・ミュージニーと答えられた事がありました。サンロマンのファンとしては、名醸ワインと同じような評価を受けたような気がして嬉しかったことを思い出します。

 ちなみにアラン・グラ氏は、ジュブレ・シャンベルタン村のアルマン・ルソー氏や、マルサネー村のブリュノ・クレール氏、メルキュレー村のミシェル・ジュイヨー氏共々エピファニーに来店されたことがあります。

 話を元に戻しますと、普通ブルゴーニュブランはシャルドネだけで造るのですが、今回取り上げたエマニュエル・ジブロはピノ・グリという品種もブレンドしています。アラン・グラに負けず劣らず素晴らしい造り手だと思います

   


豚のテリーヌ

 

 「豚のテリーヌ」は豚の耳、舌、足を煮て細く切り、その茹で汁をゼリー状にしてテリーヌにしました。ディルやパセリなど数種のハーブを加え、日本では味わえないフランスの香りがします。

 

野菜のエテュベ

 2番目は「野菜のエテュベ」です。最近シェフが気に入って、よくやる料理法です。エテュベというのは蒸し煮のことで、少量の水分と、野菜自身の持っている水分を利用しながら火を通していきます。世界的料理人であるアラン・デュカスの研修プログラムにシェフが参加して習得した技術で、本当に野菜を美味しくしてくれます。

   
   

 メインの豚肉は背ロースの塊をローストして切りわけ、りょくけん農法の玄米と掛川のたけのこを添えてあります。 

 アラン・デュカスとシャネルのエスプリが融合した銀座の「ベージュ東京」と、青山のビストロ「ブノワ」。どちらも伝統的なフランス料理の技術に裏打ちされた、しっかりとした味わいがあります。時代の先端を走り、世界中でレストランのプロデュースを成功させているデュカスの真髄は、意外にもオーソドックスな技術だったというのが、研修プログラムに参加したシェフの感想です。

 

 


 

3月のワイン会
「シャトー・ドゥ・ムルソー」

 ムルソー!
“五千円の会費でこんなに美味しいワインが飲めて、そのうえディナーまで堪能できるとは、なんとついているお客様でしょう”と胸を張って言えるくらい、その美味しさを全身で味わえるワインでした。

 シャルドネから造られるワインでムルソーを越えられるのは、「モンラッシェ」の名の付くものと、「コルトン・シャルルマーニュ」しかありません。(この2種類は値段が高くて使えません。)シャトー・ドゥ・ムルソーは14世紀創設の、ブルゴーニュで最も美しい醸造所と言われています。

 

 
   


フランス産のたんぽぽのサラダ

 

 最初の料理は「フランス産のたんぽぽのサラダ」。年に一度、春先にこのほろ苦いサラダを食べるのは、日本の“ふきのとう”を食べるのに似ています。ポシェして半熟に仕上げた卵と、赤ワイン酢で合わせてあります。

 ブルゴーニュ・シャルドネのクラスで十分に美味しくいただけました。

 

   
 次はエピファニー開店以来のスペシャリテ(名物料理)、「谷野敬さんのズッキーニの花の詰め物・エピファニー風」です。ソースは人参から作りました。

 今までこの料理にはローヌ地方の白や、アルザス、ロワールのワインなどと合わせていたのですが、今回初めて正面から向かい会ったという感じがしました。村名ワインのムルソーとの素晴らしいマリアージュ。


ズッキーニの花の詰め物・エピファニー風

 

 


ブリー・ド・モー (写真奥)

 

 チーズはAOCのブリー・ド・モーで、形はカマンベールチーズ(250g)を大きくしたようなものですが、これは1個が3kgもあります。口の中でハシバミの香りがします。1級のムルソーの持っているナッツの香りと、ピッタリでした。この1級のムルソーはシャルムという名の畑から力強さと、ペリエールという畑から優美さをブレンドしたワインです。

 ワインの勉強を始めた頃は、好きなワインは?と聞かれると必ず、「ムルソーです。」と答えていた昔を思い出しながら、力強いムルソーを楽しみました。

   
 

 


 

 

2月のワイン会
「ドメーヌ ロジェ ベラン」

 今月は5代目ロジェ・ベランの造るサントネー村のワインです。ブルゴーニュ地方のコート・ド・ボーヌ地区の中では南の方に位置します。ロジェは土壌への敬意からより自然なワイン造りを目指していて、ブドウは有機栽培、収穫と選別は手で行います。タンニン、果実味、酸味のバランスのとれた、美味しいワインです。

 ワインライターのマット・クレイマーの本に、サントネー村のワインは「ブルゴーニュの忘れられたワイン」、「土くさい、テロワールの風味がきつい」、「野良くさい」と書かれています。失礼な言い方だと思いますが、アメリカ人のワイン評論家にはそのように感じられたのでしょう。

   

 以前、家族と一緒にブルゴーニュをレンタカーで走りました。その時の空気は浜松市篠原町の玉ねぎを収穫した後の匂い、山積みにされた茎の匂いと同じだったのです。それで今回の料理は、「篠原の新玉ねぎのフルコースにしよう」とすぐに決まりました。

 料理の前のアミューズは新玉ねぎをくし形に切り、電子レンジでチンして、イタリア産の生ハムで巻いたものです。とっても甘くて、皆さん感激していました。作り方も簡単なので、家に帰ってから作られた方もいらっしゃるでしょう。

 

   

次は新玉ねぎのパイ。

それから、新玉ねぎのスープブイヨン仕立て。

 

 

 

 そしてメインは「松阪牛の赤ワイン煮込み」。

 玉ねぎのスライスを、肉がかくれるほどたっぷりのせてあります。一人あたり2分の1個の玉ねぎを使いました。濃厚な肉の旨味と、玉ねぎのシャキシャキ感がとてもよく合います。チーズはブルゴーニュのウオッシュタイプ「エポワッス」です。

 ワインはサントネイ白、コム・ドゥシュ。サントネイ赤、レ・シャルム。サントネイ赤1級、ボールガール。どれも料理との相性はぴったりでした。

 40代の男性のお客様達が、「ぼくら田舎もんだから、この野良くさい料理とワインが一番口に合っておいしいなあ。」とほめてもらったのが、笑えて嬉しかったです。

 


 

1月のワイン会
「カーヴ・ド・マンセイ(マンセイ協同組合)」

 ブルゴーニュ地方のマコン地区では大半が協同組合でワインを作っています。今月のワイン会でお楽しみいただくワインは、その組合のひとつ“マンセイ協同組合”が手がけるワインで、フランスのワインガイドブックに毎年のように掲載され、高い評価を受けている「レ・ゼソンシエル・ド・マンセイ」です。

 このワインは廉価なボジョレーワインに使用されるガメイという品種の葡萄から作られますが、“レ・ゼソンシエル・ド・マンセイ”は、そのガメイがバランス良く凝縮された素晴らしい味です。さすがはアシェットワインガイドで('07度版)最も心に残るワイン&三ツ星のダブル受賞に輝いただけのことはあります。

 参加された皆さんは11月に味わった、ガメイ種から作られた樽入りボジョレーの美味しさを思い起こされたことでしょう。

 
   


岩崎農産のマッシュルームのサラダ

 カーヴ・ド・マンセイの「ブルゴーニュ・アリゴテ 白(品種アリゴテ)」と、マコン 白(品種シャルドネ)」を並べて飲み比べたのも楽しいテイスティングでした。

 以前目隠しのテイスティングの時に、「ブルゴーニュまではわかるのだけどシャルドネらしくないし…」と、アリゴテが思い浮かばなかったことがあります。こうやって、2種類を並べると正確にわかります。

 料理はハーブとレモンをきかせた「岩崎農産のマッシュルームのサラダ」。

 新鮮なマッシュルームは真っ白でこりこりと歯ごたえがあり、白ワインととても合います。

   

 2番目は「根菜類のグラタン」。

 ホワイトソースの中に鈴木農園の根パセリ、白人参、インカの目覚め(新種のじゃがいも)を入れ、上にグリュイエールチーズを乗せて焼き上げてあります。

 グラタンは重い料理というイメージがありますが、エピファニーのグラタンはとてもクリーミーで重さは感じさせません。野菜との相性が抜群でランチでも評判が良く、あの「ペコちゃんのミルキー」のようだと言われます。

 


根菜類のグラタン

   

鯛のオゼイユソース
   3番目は「鯛のオゼイユソース」。

 これはフランスのロアンヌにある三ツ星レストラン「トロワグロ」のスペシャリテ、サーモンのオゼイユ風味が原型です。

 1985年にここを訪れた時はジャンとピエールのトロワグロ兄弟の全盛期でしたが、今は息子のミッシェルが立派に後を継いで、ますます繁栄しています。

 


 

12月のワイン会
「ドメーヌ・クリスチャン・クレルジュ」

 クレルジュの作るシャンボール・ミュージニー村とモレィ・サン・ドニ村の赤ワインはクリスマスにふさわしく、伝統的な重厚さと、華やかな優雅さを兼ね備えたワインでした。

 90年代初めからクリスチャンがドメーヌを運営するようになってから、急速にその評価が高まってきた新しい世代の造り手です。

 ワイン会の参加者からもすぐに、「今日のワイン、結構いいね。」という反応が返ってきました。ただ、量をたっぷり注ぐことが出来ないのが残念です。造り手でワインを選んでいくと、どうしても「良いもの=高価なワイン」となってしまうからです。

 

 
   


ホタテ貝とインカのめざめのサラダ
クリスマスツリー風

 最初のオードヴルはパプリカで赤く香りづけしたホタテ貝と、星型に抜いたインカのめざめというジャガイモのサラダで、クリスマスツリー風に盛り付け、サラダの上にはパルメザンチーズを粉雪のようにふりかけてあります。

 そしていちごで作った可愛いサンタクロースを添えました。このサンタさんの作り方がわからないで悩んでいたのですが、スタッフの北川さんが製菓学校で習った事があるというので、12月2日から25日までの間のお客様全員に、このサンタさんを提供することができました。かなりの数を作ってもらった事になります。

 北川さん、ご苦労さまでした。おかげで、お客様は大喜びでした。

   

 2番目はカキのスープ・カレー風味。このスープは今年で3度目の登場ですが、回を重ねるごとに美味しくなっていきます。ブイヨンとカキとカレー粉で、こんなに美味しくできるとは。驚きです。

 そしてメインはクリスマスの定番ともいうべき、正しいローストチキン。これも毎年食べますが、外側がこんがりときれいな焼き色がついて、中はとってもジューシーです。余分な脂は焼いているうちに出ていくので、あっさりとした味に仕上がり、お皿の上には骨しか残っていません。

 参加者同士のお話もはずみ、幸せそうな笑顔が広がります。今年も素晴らしいクリスマスディナーになりました。

 

クリスマスの定番、ローストチキン

 


 

「ボジョレーヌーボーのアイスクリーム」

 今月のワイン会は写真はないので、メニューを載せておきます。(立食パーティーで行われました。)

■ 11月のワイン会メニュー ■

・ガーリックトースト
・フルーツサンド
・チキンガーリックサンド
・自家製テリーヌ
・アトランティックサーモンのステーキ
・サラダ、コンポーゼ
・タルトタタン
・柿のクラフティ
・ジゴ ダニョー(仔羊のもも肉)のロースト
的矢産カキのグラタン
・オニオングラタンスープ

 ヌーボーは毎年購入しますが、今年初めて樽で仕入れました。15リットル入っているので、ボトルにするとおよそ20本分です。造り手はジョルジュ・トリシャール。ぶどうの樹齢は平均45年と古く、かつてはパラデュール首相が所有していたそうです。

 このヌーボーは非常に厚みのある、しっかりした新酒でした。ヌーボーをこんなに美味しく感じたのは初めてです。皆さんの飲む量もいつもより多く、楽しそうでした。ワイン会が終わって樽をゆすってみると、お酒はまだ残っています。そのままにしておくと樽の匂いが付きすぎて飲める代物ではなくなるため、ボトルに移し替えました。4本くらいあったので、16本は飲んだ計算です。ざると呼ばれている方々も、この日はかなり満足されたのではないでしょうか。

 ヌーボー解禁の日、東京の表参道ヒルズで食べたボージョレヌーボーのジェラートがとても美味しかったと、娘から画像を添えてメールがありました。さっそくエピファニーでも作ったところ、なかなかの味です。口に入れるとぶどうの甘酸っぱい香りが溶けて、ワインの心地よい渋みが後に残ります。でもアルコール分は、火にかけてあるので残っていません。だから、シェフでも食べられます。(意外かもしれませんが、シェフはお酒が飲めません。)

 12月のデザートはこのアイスクリームを味わっていただきましょう。

 


 

「シャブリとカキと蛙」

 三重県的矢のカキは毎年9月末日が初出荷となります。今月のワイン会はまず、生ガキとシャブリを楽しんでいただきました。「お宅の生ガキは、本当に美味しいね。」とよく言われますが、他の店とはその食べ方に違いがあります。

 一般的に生ガキにはレモンが添えられているのですが、エピファニーではエシャロット(形は玉ねぎを小さくして、旨味を凝縮させたような野菜)のみじん切りを一つまみと、赤ワイン酢を少量加えたものを生ガキにふりかけて食べていただきます。

 口に入れた瞬間、鮮烈な海の塩気と、鋭いヴィネガーの酸味、エシャロットの甘味が舌の上でぶつかり合います。そこに海のミルクと形容されるカキを噛むと、カキの旨味がそれらの味を一まとめにして濃厚な味わいが口中に広がって行きます。そしてシャブリを口に含むと、またたく間にもうひとつ別次元の味の世界へと私たちをいざないます。生ガキとシャブリ。言い古された事ですが、この組み合わせを納得するひと時でした。

 

的矢産生ガキ
   


3種のシャブリをご用意いたしました

 1級畑ヴァイヨンと特級畑グルヌイユは、ルイ・ミッシェル作です。発酵、熟成共にステンレスタンクを使用し、樽の香りのしない、シャブリ本来の姿が見えるワインです。

  • Chablis Vieilles Vignes 2003
    Guy ROBIN&Fils

    シャブリ ヴィエイユ ヴィーニュ
    ギー ロバン エ フィス
  • Chablis Premier Cru VAILLONS 2004
    LOUIS MICHEL&FILS

    シャブリ プルミエ クリュ ヴァイロン
    ルイ ミッシェル エ フィス
  • Chablis Grand Cru GRENOUILLES 2002
    LOUIS MICHEL&FILS

    シャブリ グラン クリュ グルヌイユ
    ルイ ミッシェル エ フィス


フランス産グルヌイユのムニエル
ペルシヤード風味

 グルヌイユとはフランス語で蛙(かえる)の事です。二皿目はそのワインと蛙料理を組み合わせました。私が20年来やってみたかった組み合わせです。

 20年ほど前は白ワインと言えばシャブリで、7つある特級畑を順番にワインリストに乗せて売っていたものです。その時に目にした蛙と言う名前の特級畑は、否が応でも印象に残りました。いつかは蛙料理と合わせてみようと思い続けていたのが、この日実現したのです。

 まあまあの組み合わせだったかな。

 三皿目は魚のクネル・アメリケーヌソース。これはリヨンの名物料理で、エピファニーでも23年間作り続けています。

 懐かしいシャブリの特級とクネルを一緒に味わっている幸せそうなお客様を見て、シェフと私と23年間続いているエピファニーの、それが財産なのかなと、ふと嬉しい気持ちになりました。

 次回もたくさんのご参加をお待ちしております。

 

舌平目のクネル・アメリケーヌソース
 

 


 

 毎月第3木曜日のワイン会をスタートしたのは1999年5月ですから、もう7年も続いていることになります。持続するという事が苦手な私にとって、これは驚異的な事です。(そういえばこのコラムも、もう1年以上も更新しないままでした)。

 その間ブルゴーニュは地方として取り上げたり、村をひとつずつ巡って行ったりと、何度か取り上げて来ました。今回のシリーズでは作り手(ドメーヌ)にスポットを当てます。同じ作り手によるいくつかの村を飲み比べ、その微妙な違いを味わっていただこうと思っています。

 今月はフランソワ・ダレンヌ。2001年からワイン造りをはじめた新星です。始めてわずか2年で、三ツ星レストランのワインリストに名を連ねたほどの、素晴らしいワインを造ります。

 セレクトしたのはリュリー、サントーバン、シャッサーニュ・モンラッシェの、それぞれ1級の白ワイン。それに合わせた料理は、「モリーユ(あみがさ茸)とオマール海老入り、半熟卵のココット」、「チキンのシェリーヴィネガー風味」。 ブルゴーニュの偉大な白ワインにぴったりの、シェフのお料理でした。


モリーユ(あみがさ茸)とオマール海老入り
半熟卵のココット
 


チキンのシェリーヴィネガー風味

 それと毎年この時期恒例の、岐阜県高根町のとうもろこしのスープ。今年も8月30日と9月6日に、合計1000本のとうもろこしを採りに行って来ました。今年のとうもろこしは、特に糖度が乗っています。

 チーズは白カビタイプを三種類。ブリー・ド・モー、カマンベール、ブリア・サヴァラン。白カビタイプだけを三種類盛り合わせたのは初めてでしたが、みなさんは楽しめたと喜んで下さいました。

 フランソワ・ダレンヌは自然農法で栽培した葡萄を使い、ろ過しない方法でワインを作っています。ピュアでクリーンな印象のワインだと思います。 この製法をブルゴーニュで確立したのは70年代、アンリ・ジャイエです。今日の新聞に彼の訃報が載っていました(84歳)。ブルゴーニュの神様として、ワイン愛好家に知られた醸造家です。

 アンリ・ジャイエが広めた製法は、今やブルゴーニュの主流となりつつあります。すぐれた製法が確実に次代へと受け継がれて行くというのは、素晴らしい事だと思いました。 ワイン会ではいずれ、アンリ・ジャイエの姪のマドレーヌ・ジャイエのワインも取り上げる予定です。

 次回10月19日は生ガキとシャブリを予定しています。どうぞ、気軽にご参加下さい。お待ちしています。

 


 

 今月からはフランスのローヌ河を南下し、夏から秋にかけては地中海沿岸をじっくり回りたいと思っています。

●南部 コート・デュ・ローヌ

 南部のブドウ畑は同じローヌでも、北部のようにローヌ河岸にへばりついた狭い土地ではなく、広大でいろんな種類の土壌で構成されています。そしてブドウの品種もたくさんの種類が植えられています。低価格とはいえ、たくさんの種類の中から自分のお気に入りを見つけるのは容易ではありません。

 そんな中で昨年、有機栽培のブドウから作られるジャン・ルイ・シャーブのコート・デュ・ローヌ“モン・クール”と出会い、ローヌのワインは重いというイメージが覆されました。タンニンと果 実味の中に、透明感があるのです。その味わいは衝撃的でした。あまり高い価格ではなかったのでお客様にはグラス売りしたのですが、その美味しさにもう1杯、もう1杯とお変わりをされ、ほとんど1本飲まれてしまうのです。あっと言う間に購入した1ケースがなくなりました。

“仔羊と野菜のブロシェット”
 今年もまた5月に2003年が入荷したので、さっそくワイン会の皆さんに楽しんでいただきました。合わせる料理は「仔羊と野菜のブロシェット」。焼き鳥のように、いろんな野菜と仔羊のもも肉(オーストラリア産)を串にさしてあります。岩塩にタイム、ローズマリー、セイジを混ぜ合わせて上からふりかけて焼きます。ハーブの香りと肉の焼けた匂いがワインを美味しくします。


オーストラリアの
仔羊のもも肉
この日は“モン・クール”の後に、もう1本ワインを用意しました。前回出し忘れたローヌ北部の、一番南のコルナスの赤ワインです。品種はシラー100パーセント。ローヌ北部はシラー発祥の地というだけあって、その品種の旨さが生きていました。値段もモン・クールの倍です。さっきのモン・クールへの賛辞もどこへやら、皆さんコルナスが気に入ったようです。 比較というのはどうしてもどちらかの優劣を言うことになるのですが、本当はモン・クールはモン・クールでいい所があるし、コルナスにはコルナスのいい所があります。コルナスを出さなければ、「今日のモン・クールは美味しかった」で終わったことでしょう。



 

Profile
みなみたけえいこ
91年全国でも女性は1割というソムリエ資格を取得、浜松初の女性ソムリエ。
浜松市佐鳴台でシェフのご主人とフランス料理レストラン・エピファニーで、マダム役とソムリエ役の2役をこなしている。舞阪出身。




 

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レストラン・エピファニー
静岡県浜松市中央区佐鳴台二丁目21-26
Tel 053-448-8818

営業時間
ランチ
11:30-14:00 (Order Stop13:00)
ディナー
18:00-21:00 (Order Stop19:30)
毎週火曜日、水曜日休
P 有り

シェフのプロフィール
1968年、名古屋の資生堂パーラーで料理の修行を始める。 1970年に浜松会館オークへ。"ムッシュ"今井克宏氏の下で学ぶ。今井氏の独立とともないトック・ブランシュ今井(浜松)に移籍。途中、スイス、フランスで、通 算3年にわたり修行。1980年、ジャンムーラン(神戸)に勤務。1983年、エピファニーを独立開業、現在に。
 


LINK

浜松レストラン
コミュニケーションサイト


ヤママツ"NET"鈴木農園
お店で使うハーブを作っている農園です

梅田Farm
浜北にある農場です。シェフがいつも乗馬に出かけます

 
 
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