うまい料理を食べることは、人生最良の一場面といえる。 人生を料理に賭けてきた「三鞍の山荘」の今井克宏シェフが語る「Un bon plat」アン ボン プラ(うまい料理)。食卓や料理の話題を取り上げてもらいます。


「フランス語の学校

 まじめな中谷さんが「語学の勉強をしようよ」と誘ってきた。
いくらまわりで「フランス語」を話す人がいても、それは「ただ通じる」というだけであって「フランス語」の会話ではない。
覚えるためには、やはり「学校」に行かなければならない‥‥ということで仲よし4人組は、休憩時間を利用して「ベルリッツスクール」に通うことになった。
団体割引きになるということでもう一人日本人を誘い、
5人での「クラス」をつくったのである。
野中、中谷さんのいるベルビュパレスホテルに、サービスとマネージメントを勉強に来ていたYさんが加わった。
フランス語の会話力は、全員とも横ならびであるから楽しい教室であった。


※写真はイメージです

 私たち日本人一行の先生は「マダム・スミスさん」50才前後のメガネをかけて笑い顔のすてきな先生である。 欲を云えばちょっとフトリすぎかな‥‥
始めは、やさしい会話なので皆元気よくついていけたが、だんだん動詞の変化などになってくると、「あやしいやつ」が出始めてくる。
休憩時間になって「学校のクラス」が始まるまでに30分程の時間があるため、カフェテラスに行ってコーヒーを飲んでいればよいのだが、つい「ノド」をしめておこう、などとビールを飲んでしまう。暖房のある部屋での「レッスン」は、気持ちがよい。つい「すやすや」と寝入ってしまう者もいる。発音させる順番が5人もいるとなかなかやってこない。普段でも眠い時間である。「ねむるな」という方が無理な話で、その点は笑っていた「マダム」は、しまいには本当に怒りだして「いいかげんにしなさい」ということで机の上を思いきりたたいている。
「日本人は眠る民族か?」とも聞こえる言葉に中谷さんは、隣にいる野中さんを起しているが、本人も先程まで寝入っていたのだから、なぜか「ピント」のあわない顔をしている。

 学校の月謝は高く、「のんびり」と寝ている場合ではないのだが「レッスン前」の「ちょいと一杯」は、その代償が大きいのである。
仲間意識があるためか途中で辞める人はなく、この「イネムリクラス」は約8ヶ月は続いたのである。私たちの会話は少しづつであるが上達していったのは、この学校に行ったおかげであろう。

 職場での会話も「ボデー会話」に磨きがかかり、「スイスドイツ語」「フランス語」「スペイン語」「イタリア語」の単語が少しづつではあるが発音する楽しさが加わってきたのもこの頃であった。
言葉が通じると「話をする」という「チャンス」が生じ、さらに磨きがかかる。
特に「悪い言葉」‥‥相手を「ケナス‥‥ののしる‥‥」この言葉は、いや応なしに頭の中に入り込んで離れなくなっていくのである。
不思議なことに「悪い言葉」は覚えやすいのである。とくに「イタリア人」への悪い言葉が「スペイン人」やスイスやフランス人が用いるのである。
「マフィヤー」から来るのであろうか、これに関連した言葉が数多くあり、その他、性的な悪い言葉には、訳をしなくともそのまま通じるのであるからその道の奥の深さを感じるのであった。

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