暮らしの中のちょっとした気遣いが、生活を喜びのあるものに変えます。‘食’も同様。器をちょっと工夫すると、食べることが2倍も3倍も充実します。そんな名脇役の‘器’に恋した、しい葉の主人・椎葉哲夫が綴るコラム。


‘唐津’


 

 皆さんこんにちは。台風の多い季節となりました。時折見せる青空が、秋を感じさせますね。気温もぐっと下がり、だんだんと温もりが恋しくなる季節になっていきます。

 さて、今回のテーマは「唐津」です。前回の織部のように暖かみが感じられる陶器です。

 この焼き物の魅力はなんといっても“土味”。粗いざっくりとした感じは唐津地方の土の特徴で、陶工は山から掘り出してきた土を、ほとんど手を加えずに使い、持ち味を活かすために手作りにこだわり、“蹴ロクロ”つまり、電気に頼らず、足を動力源に強弱をつけながら回していくロクロを使っている窯元も多くあります。 また、薪による“登り窯”で焼き上げることにより、釉薬の持ち味を存分に引き出しています。

 唐津焼の起源については様々な説があり、室町時代末から桃山時代にかけて岸岳(きしだけ)城主波多氏の庇護(ひご)のもとに焼かれていたという説と、神功皇后の渡韓からという説と、慶長2年(1597年)の秀吉の「慶長の役」以降、多数の渡来した朝鮮陶工が大名の保護のもとに焼き始めたという説があります。初期の唐津焼は朝鮮李朝の雑器と全く同一と見られるものが多く、強く朝鮮人の影響を受けていると考えられます。こうして大量 の唐津焼が唐津港から全国へ積み出され、「一・井戸、二・楽、三・唐津」といわれる程、人々から親しまれるようになりました。

 最近では若い年齢層の人たちの中で、この唐津焼が親しまれているようです。登り窯による窯変は、窯の位置や火加減で出来上がりが変わってきますので、同じものは二度と出来ないのですが、それがまた魅力の一つといえるでしょう。素朴ですが、力強さと趣のある唐津焼もなかなかいいなあと思う今日この頃です。茶器や食器として幅広く使われているこの唐津焼、皆様もぜひお試しになって、この器の良さを感じてみて下さい。

 


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