‘料理とのマッチング

ある時、常連のお客さんにワインを勧めていたところ、後ろから初めてのお客さんが来店しました。「今のお客さんに勧めていたのと同じワインをください」と言われました。私は「あなたには売れない」と答えました。もちろんお客さんが欲しいと思うワインを売るのが、売り手としての務めなのですが、初対面 の何も知らないお客さんに、単に売れるからといってそのワインを買わせるわけにはいかなかったのです。詳しく話を聞いてみると、今日はご主人の誕生日で、夕食に天婦羅を用意する予定とのこと。「天婦羅のネタは何?天つゆで食べるの?それとも醤油?塩?」等、ワインをピックアップする上で役立つ情報をできるだけ細かく集めます。そうして初めて「じゃこれを持って行きな!」とお客さんにピッタリのワインを提供できるのです。私自身、着るものを買う時等、プロの目から見て適格なアドバイスをしてくれるお店を選びます。「餅は餅屋で」という言葉があるように「ワインはワイン屋」でという訳です。

ワインを料理に合わせることを学んだのは、フランスのパリやアルザス等あちこちで食事をしてからの事です。フランス料理に合わせるワインをソムリエが選び、そのワインを飲みながら食事をすると、驚くことに美味しい料理が「もっと」美味しくなるのです。何度も体験していくうちに、必ずしもソムリエのすすめるワインが料理に合うとは限らないということも分かりました。それは個人個人の好みが関係してくるからです。

「料理に合うワインと一緒に食事をすればもっと美味しくなる」この現象を私は「more(モア)の世界」と呼んでいます。例えば料理が85点だとすると、それにピッタリのワインがあれば「10点プラス!」で95点。100点満点にもなるということなんです。それがワインの役割。日本料理に合うのは日本酒だけとか、中華には紹興酒だけとこだわる人がいるかもしれませんが、そんなことはないんです。フレンチ、イタリアン、和食、中華etc...どんなジャンルの料理にも必ずジャストフィットするワインは存在するのです。

魚料理には必ず「白」だとか、肉料理には必ず「赤」のワインが合うというイメージが多くの人たちの中で強くなっているかもしれませんが、それも一概には言えません。調理の仕方や、調味料の使い方まで考えれば肉料理にも白ワインが合ったり、魚料理にも赤ワインが合うのです。ですから是非、当店でワインをご購入の際には、どんな時に飲むのか、どんな料理に合わせるのか、細かい事でも、難しく思えるような事でも何でもお伝えいただければ、きっと「ジャストフィット」のワインを「スペシャルプライス」でご提供させていただけると思います。

もちろん、どのワインもすべて自分で試してからお客様にお勧めしています。



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