料理に素材が必要なように、ジャズにも「音」という形のない素材がある。ジャズはいわば「音の料理」。
では「音の料理人」ROOこと佐藤 竜が調理する甘辛ジャズエッセイをお愉しみください。


“アクースティックな料理とエレクトリックな料理”

 ジャズには、二種類の調理方法がある。つまり、アクースティック(日本ではアコースティックといっている)な料理とエレクトリックな料理だ。アクースティックという語の意味は、辞書によると「音響学的な」という本来の意味があるが、単純にいえば 楽器などの「電気増幅しない生の」という意味に使っている。元々楽器はすべてアクースティックなものだけであったのだが、ご承知の通 り1960年代からロックンロールロック ミュージックが台頭してくると、ネコも杓子もエレキ、エレキという時代がやって来た。当然クラシック音楽はアクースティックな楽器のみであった。しかし、シリアスミュージックの世界で電気の楽器も使われるようになったが、電子楽器は50年代にすでに使用されているのだ。

 ポップの世界では、前述したロックに不可欠なエレクトリックギターやエレクトリックベースが。そして、音を合成するシンセサイザーの登場である。80年代のテクノミュージックはトレンド(流行) になったとはいえ、当然の成りゆきであった。

 ジャズの世界もまたロックとエレクトリックな音楽に影響された。エレクトリックなジャズの調理人は、このエレクトリックなジャズに最も相性のいい電気ピアノを使うようになった。それがフェンダー ローズエレクトリック ピアノだ。フェンダーというロゴはエレクトリックベースやアンプで名を成したブランド名である。そのフェンダーから、ハロルドローズ(HAROLD RHODES)の作ったエレクトリック ピアノが「フェンダーローズピアノ」なのだ。


FENDER RHODES ELECTRIC SUITCASE PIANO
 このローズピアノは、第2次世界大戦中から研究生産が始まり、65年には上図のエレクトリック ピアノ(このピアノは上部のキーボード部分と下部のスピーカー部分に分けられよ2つのスーツケースのように分解し持ち運ばれるので "スーツケース ピアノ"と呼ばれた)第1号が作られた。

 このピアノを最もすばらしく演奏したプレイヤーが、アメリカの(いや世界の) 3大ジャズ ピアニストの一人、チックコリアである。ハービーハンコックもキースジャレットも使用し、70年代には無くてはならない楽器になった。(*1)

 わたしは、早速70年代半ばにこのフェンダーローズスーツケースピアノを購入したのだった。この音色はあとから登場するシンセサイザーに取って代わることはなかったのだ。この味を求めて最近リヴァイヴァルしている。私のローズ ピアノも30年以上たったのでつい最近リストアした。因に私のピアノは上記の 3大ピアニスト+1 (ジョウザヴィヌル)が使用したものと同型なのだ。どんな味がするッて?

 そのお話は次回にしよう。

 

註1:
この楽器を使って最大に成功したアルバムは「チック コリア / リターン トゥ フォーエヴァ」(このタイトルはバンド名としても使われた)。第2作「ライト アズ ア フェザー」である。

 

※佐藤 竜のプロフィールは こちら から。



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