何年かぶりに歌舞伎を鑑賞した。昨年5月に襲名した十一代目市川海老蔵の披露公演である。十代目(現、團十郎)もなかなかの美男であるが、十一代目の美しさは、所作、口跡のすばらしさと相俟って、感動すら覚えた(かなりミーハー?)。その前の九代目は元祖「海老さま」で並外れた美男ぶりであり、風姿と高い気品は昭和歌舞伎を代表する役者であった・・との事であるから、美しさは代々のものであるのだが、芝居の中身より、その姿、台詞まわしにうっとりしていたばかりの鑑賞であった。

 特別に歌舞伎に造詣が深いわけではないが、歌舞音曲の好きだった祖母の影響で、三味線の音や踊りは身近にあったので自然に馴染んできた様に思う。私が始めて本格的な歌舞伎を鑑賞した記憶は、やはり祖母に連れられて「市民会館」での公演であった。内容は全く覚えていないが歌舞伎を観ると言う事と、何だかきらびやかな衣装だな、との感覚が残っている。

 歌舞伎での思い出は、現在の中村雁次郎がまだ中村扇雀だった頃、やはり「市民会館」で何かの舞台を観ていた時、(勿論、女形)その、あまりにも色香があり、演じる人間になりきっている様は、観ていて震えを感じたくらいで、強く印象に残っている。あの時、扇雀に恋心の様な感情が生まれてしまったが、今思うとファンになった時の心理状態だったのだろうか。でも、その後の彼の活躍に何の感情もわかないのだけれど・・。 数年前、四国の金毘羅歌舞伎大芝居を観る機会があった。国指定重要文化財に指定されている「金丸座」は、天保6年に建築された日本最古の本格的芝居小屋である。例年、桜の季節に当代の一流歌舞伎役者によって公演がなされる。まさに芝居小屋の、昔通 りの狭い桟敷で、目の前に役者の汗が飛んでくる位置で、「義経千本桜」を堪能した。

 若い役者が増えるに従い、歌舞伎ファンも若い方達が増えつつあるように思う。先日の海老蔵公演の時には学校の制服をきた高校生もグループで鑑賞していた。着物姿の若い女性も何人も見かけた。日本の誇る伝統芸能をますます盛んにとの思いは、若い方達の中に確実にあるのを感じうれしかった。この秋の、長唄の発表会に向けてのお稽古もがんばろう。

 




「槐」  内山 紀美  

 

| Back Number          10 11 12 13 14 15 16 | ホームへ |

 

Copyright© MIZUTANI Co.