月に1回通っている懐石料理のお稽古のテキストが、ファイル一杯に溢れてきた。毎回8ページ程の先生の手書きのテキスト。それを片手に調理の実習をするので所々染みがついたり、説明を書き足したりで、結構汚れているが大切な資料。今の私にとってこの茶懐石料理の日が一番の贅沢である。まず時間がたっぷりかかる。10時に教室に入り、調理し終え、お料理をいただき終わるのが約2時半。時にはお食事の後、お薄を点てて下さるので、おいしいお菓子と一緒に楽しんでいると4時過ぎ頃になる。

 もったいない事に、この時間の余裕を持つ事が下手なのでいつも気持ちのどこかで焦っている。早く早く!・・と。しかし正式なお茶事では約4時間、心地良い緊張感の中に浸っていられるのだから、お稽古にも気持のゆとりがなくてはいけないという事ではあるが。

 生活の中から季節感が薄れてきているが茶懐石料理はこの季節感を非常に重んじている。出来るだけ本来の味や姿の食材に配慮し、季節の行事にふさわしい、一汁三菜に凝縮したお料理を自分達で調理し、それを食し、その精神を学ぶ時間を持てる事は本当の贅沢と思える。

 茶道にご縁をいただいて久しい。茶道のお陰でどれ程自分の人生が豊かに広がった事だろう。陶芸やお料理を学びたくなり、草花に興味がいき、礼節に心を配る。季節の移ろいを感じる。社会生活の基本があると思う。

 最近、少しお茶を遊ぶことが出来るようになった。店で始めた“シリーズ〜お茶を楽しむ〜”もその一つで、来月7月は、シリーズ第5回目、「煎茶を楽しむ会」を開催する。真夏の冷茶は何よりのご馳走。会にご参加の 方々とご一緒に心豊かなひと時を過ごしたい。

 

 



「槐」  内山 紀美  

 

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