「ちりとてちん」? 実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。

さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 Back Number 76〜80

 

「こんな料理は、いかがでしょうか」

清八でございます。

 8月16〜17日、東京へ行ってきました。直前になってチケット確保できた、こまつ座の「闇に咲く花」を新宿・紀伊国屋サザンシアターで観るのが目的でしたが、せっかくなので遠州地区では食べられない料理を食べてきました。ランチは、日本でただ一つのスウェーデン料理スモーガスボード専門店にしました。赤坂東急プラザホテルの一階に1971年からオープンしている「レストラン・ストックホルム」です。三年前のゴールデンウィークに訪れたコペンハーゲンのホテルの朝食で初めて体験したのですが、最近、ホテルの朝食では会議室とかイベントルームに大皿料理を並べて、セルフでお好きなだけどうぞというシステムが当たり前のようになっていますが、もともとは、このシステムがスウェーデン料理で、バイキング料理として日本に入ってきたとのことです。ご興味がありましたら「ちりとてちん」のその43を覗いてみて下さい。誤解のないように紹介しますと、スウェーデン料理ですから、当然、ご飯も味噌汁も塩鮭もありません。スクランブルエッグもカレーライスもありません。第一の皿はニシン料理が6種類味わえます。第二の皿ではチーズとスモークサーモン、スモーク鱈です。第三の皿ではソーセージやロースビーフなど肉料理です。第四の皿では、こけももソースのミートボールになります。そして第五の皿では、フルーツとケーキとなります。(余裕のある方は、第10の皿まででもかまわないそうです)この間には、6種類のサラダ、キャビア、そして6種類のライ麦パン、ソフトドリンクがありました。ディナーには煮込み料理や海老料理が登場するようですが、ランチタイムの内容で充分満足できました。入られた方もおられると思いますが、愛地球博のデンマーク館でお一人様サイズのスモーガスボードが提供されていて全メニュー食べた記憶があります。


写真1

写真2

今回はランチでしたのでビールを飲みながらでしたが、ディナータイムでは発泡性ワインや焼酎での大宴席になるのだそうです。機会がありましたら味わってみてください。
くわしくは、次のURLを覗いてみて下さい。(写真1)がレストラン正面、(写真2)が別注文した赤蕪の冷たいスープです。
http://www.stockholm.co.jp

さて、夜は、前回の香港ツアーではまってしまった中国雲南省料理のお店を探しました。雲南省は中国の西南部に位置し、薬草、香料、キノコなど山の幸に恵まれている土地で、米が主食、和食のルーツとも言われている料理なんだそうです。北京ダックもツバメの巣もフカヒレもアワビ、餃子・シュウマイもありませんが、毎日の食事としては最適な中華料理ではないでしょうか。


写真3

写真4

この日は突然の雨の中、千代田区外神田の「過橋米線」(かきょうべいせん)を見つけました。この店名にしている「米線」は雲南省の名物料理で米からできた麺と生魚、生肉、野菜と一緒に熱々のスープに入れて食す、コンロのないしゃぶしゃぶのような料理です。今年のように熱帯の時期にはぴったりの料理なんですが、今回は、あまりの暑さに夏季限定の冷し米線(写真3)を頼んでしまいました。薬膳料理とは名乗っていないのですが、天麻、三七、クコの実、百合根、甘草、冬虫夏草、当帰、銀耳などの漢方食材を取り入れているため体には良い気がしました。店内は満席で、予約してなかったのですが偶然空いていたようです。店内の店側と満席のお客との会話が日本語ではありませんでした。たぶんアルバイトの女の子は中国人だと思います。このお店でうれしかったのは、酒の肴が30品、各税込み298円で用意されていることでした。「太刀魚の雲南風」(写真4)、「落下生の雲南煮」、「ピータン豆腐」、どれも紹興酒の肴にぴったりでした。(写真5)は、「雲南老江湖豆腐」ですが、厚揚げのハンバーグのような感じでした。念のため、これは298円ではありません。
このお店もご興味がありましたら、次のURLを覗いてみて下さい。 
http://www.kakyoubeisen.com


写真5

写真6

東京都内で北欧料理と中国雲南料理を一日で食することができて、もし、東京都内で暮らしていたら、毎日、どんな国の料理を味わっていくのだろうと想像し、考えてしまいました。
(写真6)は、都内のデパ地下で殆ど販売されているメゾン・カイザーのクロワッサンです。
個人の好みはあると思いますが、世界一のクロワッサンなんだそうです。一度、試してみて下さい。私は、個人的に異論がありますので、ご感想を提供して下さい。

 

「落語のネタ帳、その15」

清八でございます。

久しぶりに落語ネタに戻ります。ありがたいことに落語ブームが続いておりまして、インターネットから無料で聴けたり、三ヶ月前の高座がDVDで販売されるようになったりと、古本や古レコード店通いを続けてきた頃とは隔世の感がありますね。
さて、一部の教科書に掲載されていたり、100円ショップの違法CDで販売されている落語ネタの一つに「時そば」があります。落語ファンでなかった方でも、この三文字はご存知だと思います。蕎麦の名産地では、すでに新蕎麦祭りも終わって冬支度に入る時期です。新蕎麦を神様に奉納するのが10月下旬から11月上旬で、それから商品として流通するのだそうです。私、蕎麦も結構好きな食べ物でして、長野県の戸隠村(現在は長野市です)の蕎麦屋で30年程前から食べ歩いておりました。新蕎麦を食べに行ったり、蕎麦食い大会に出場した経験もあります。ここ数年、蕎麦というと、十割蕎麦のブームがあって、講習会やら蕎麦打ちマシンが登場して話題になりましたな。ノーベル賞とは比較にはなりませんが、日本人の開発力はすごいですね。ざる蕎麦やもり蕎麦を先にゆでておいて乾燥させない調理器具があるくらいですからね。今でもけっこうこだわっている方がおられると思いますが、もともと、新蕎麦の時期には十割で、日が経過するにつれて、つなぎ粉を入れて8→7→6割蕎麦になっていったんだそうです。日本人ってすごいなぁと思うのは、逆8割蕎麦まで商品として流通しているんだそうですね。

ところで、飲食業界でたいへんなんは、野菜が高騰した時に、どれだけ一人分の分量を減らしてお客様の気分を悪くさせないか、という事でございますね。玉葱が高くなった時のカツ丼、キャベツが高くなった時のとんかつ定食、葱が高くなった時のざる蕎麦、いろいろありましたな。あるお蕎麦屋さんで、ざる蕎麦を注文したんですな。薬味として蕎麦汁の横に小皿に乗せた刻み葱がついてきます。そのお店は、小皿に刻み葱が三切れでした。いくら高い時期でも、これはないやろと思いました。今でも浜松市内にあるその店には二度と入りませんが。

さて、「時そば」でございます。

屋台で一杯の掛け蕎麦が二八の十六文だった時代、ある調子のいい男、流しの蕎麦屋をつかまえまして、「今日は寒いなぁ。どうだい、景気は……悪い、悪い後いいというから、飽きずにやりなよ、商いというから」世間話をしながら掛け蕎麦を待っております。「へぇ、お待ちどおさま」「えっ、もうできたのかい。早いねぇ、江戸っ子は気が短けぇんだ。お箸はと、感心に割り箸だ。あの割ってあるのはいけねぇや。どこの誰が使ったんだかわからねぇからね。ものは器で食わせろってぇが……この丼、いいね。鰹節をおごったね。なかなかこれだけの出汁がとれるもんじゃないよ。また、この蕎麦は細くて腰があって、いい匂いだね。竹輪が入ってるね。こんなに厚く切って商売は大丈夫なのかい。おらぁ、蕎麦っ食いなんで、これから贔屓にするぜ」「へぇ、ありがとうございます」「いくらだい」「十六文で…」「銭がこまけぇんだ。手ぇ、出しな」「へぇ」「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ、いつ、むぅ、なな、やぁ…いま、何刻だい」「へぇ、九つで」「とぉ、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく」勘定を払って、そのままぷぃっと行ってしまいました。

これを脇から見ておりましたのが、われわれ同様の男でして、「なんだい、あいつは。男のくせにぺらぺら喋りやがって。箸が割り箸で、丼がよくって、鰹節でつゆがよくって、蕎麦が細い…あんまり世辞が多いんで食い逃げかなぁと思っていたら、払ったね、銭を。それも、いくらだい、って聞いたからね。掛け蕎麦は十六文に決まってるじゃねぇか。銭がこまかいから手ぇ出しなって、子供じゃねぇんだから。ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ、いつ、むぅ、なな、やぁ、いま、何刻だい、ってへんな時に刻を聞いたね。へぇ、九つで。とぉ、じゅういち…、あれっ、あっ、野郎、一文ごまかしゃがって。これじゃ蕎麦屋は生涯わかりっこねぇ。よし、おれもやってみよう」よせばいいんですが、翌くる晩、小銭を用意して待っております。
「おかしいな、夕べはこの辺りに出てたで…、おーい、蕎麦屋、逃げるなぁ、蕎麦屋、さっきから呼んでいるじゃないか。今夜は寒いなぁ」「いぇ、今夜はだいぶあったかいようで」「うん、寒いのは夕べ、夕べ」世間話をしながら待っておりますが、出てきません。「おい、いやに遅えじゃねえか。何、これから火を起こす。江戸っ子は気が短けえんだぜ…、もっとも俺は気の長い江戸っ子だからいいんだ。別に用事もねぇから、何年でも待ってるから…」「へぇ、お待ち」「えっ、出来たの、早いねぇ。お箸はと、割ってあるねぇ。いいんだよ、割る手間が省けて。おい、この箸の先に葱が付いてるよ。先の客が使って洗ってねえんだろ。何、あなたが今夜の口開けで…。それじゃ、夕べの客かい。違う、この商売始めてから洗ったことがありません。よく保健所が何も言わないね。まぁ、いいや。こうして自分の手拭いで拭いときゃいいんだから。それよりも、物は器で食わせろだ。丼、丼と、これが丼かい。割れて尖ってるよ。いいんだよ、向うへ回せば、また尖ってるね。ノコギリの歯だね。まぁ、いいや。丼を食べるわけじゃないから。それよりも蕎麦、蕎麦。太いねぇ。この蕎麦は、何、前の商売がうどん屋でした。いいんだよ、今日は腹減ってるから食いでがあって。それよりも出汁だけど、ノコギリの歯で飲めねぇから、いいや、もう。そうそう、さっきから竹輪を探してんだけど、入ってんのかい。入ってる。あった、あった。それにしてもよくここまで薄く切れたもんだ。どこのスライサー使ってんの。もう、いいや。いくらだい」「へぇ、十六文で」「銭がこまけぇんだ。手ぇ、出しな」「へぇ」「ひぃ、ふぅ、みぃ、よつ、いつ、むぅ、なな、やぁ、…いま、何刻だい」「へぇ、四つで」「いつ、むぅ、なな、やぁ」四文、損をしてしまいましたとさ。

 

「人に教えたくない店、その2」

 清八でございます。

 10月25日から26日で、下呂市・高山市へ行ってきました。当初の目的は登山だったのですが、大幅に予定変更でグルメツアーになってしまいました。

25日のお昼は、下呂を通過して小坂町へ。濁河温泉の途中、「ひめしゃがの湯」を通過してしばらく走ると右手に古民家があります。このお店が「平氏ヶ原」というお蕎麦屋さんなんです。ホームページ情報がありませんので、知る人ぞ知るこだわりの店です。囲炉裏の間があったり、古民具、鎧が展示されていたり、裏の川にはアマゴや鮎も放流されていて、夏場は釣堀でにぎわっています。ざる蕎麦、とろろ蕎麦、山菜そば、山菜天麩羅、鮎・アマゴの塩焼き、そして今回は茸ご飯などが主なメニューでした。今回、運がよく本物の新蕎麦がありましたので注文しましたが、香りが良く、腰があって堪能できました。
写真1が、その新蕎麦で、写真2が、お店の正面です。食後、巌立峡で紅葉と滝廻りで腹ごなしをして、「ひめしゃがの湯」へ。ここのお湯はぬるめなのですが、なかなか冷えないという、これからシーズンにはありがたい温泉なのです。それでも、外気が10度に下がってきたので、定宿へ向かいました。

下呂市での私の定宿は萩原町の「赤かぶ」です。この宿は、私の35年来の友人が25年前に、当時の飛騨萩原町に明治二年の飛騨民家を移築、ユースゲストハウス(青年民宿)としてオープン、これまで落語愛好者の仲間として落語会を企画したり、「わいわいワイン会」を開催したり、ヨーロッパやニュージーランドのユースホステル情報の交換場所として営業を続けています。あの狂牛病から少しイメージダウンしてしまいましたが、民宿で「飛騨牛のしゃぶしゃぶ」をドイツワインでいただけるという貴重な宿として有名になりました。今では、「飛騨けんとんのしゃぶしゃぶ」「鶏ちゃん鍋」とメニューは広がって、又、楽しめる宿になっています。こちらは、次のURLを覗いてみて下さい。http://www.akakabu-wa.com/

 翌日は、高山市へ向かい、久々野町の「坂本酒店」に立ち寄りました。下呂市から高山方面へ約1時間走行し、アルコピアスキー場交差点を右折すると正面にアルザス地方の建物があります。大きな看板を付けていないので徐行しながら確認して下さい。「人に教えたくない店、その1」でご紹介しました、この酒屋さんですが、飛騨の日本酒はもとより、私がきっかけをつくってしまったベルギービールを直輸入し、早くからドイツワインを扱っていてくれた酒店です。拙宅で20年以上続けている「わいわいワイン会」用のワイン、そして二年前からはチーズも取り寄せています。この坂本ファミリーは、ベルギービールとワイン、そして沖縄泡盛を中部地方で普及させるため現地まで出向き勉強を続けられています。店主は、表面上はご自身の健康管理を理由にされているのですが、(大きな字では書けませんが、日本のビールは死んだ酵母菌が入っているという理由なんです)日本のビールは一切飲まない事にしているようです。居酒屋さんにしてもパブにしてもベルギービールを持ち込み、祝儀不祝儀の席でも持ち込まれるそうです。当然、出入りを拒否される飲食店もありますが、逆に賛同者も増えてきているようです。今回は、運転手なのでベルギービールもワインも試飲が できず、高山市内のラーメン屋を紹介していただきました。それが、写真3の「つづみ」さんです。高山駅から北東に徒歩10分位の飲み屋街にありました。12時半頃で、さすがに10人程の行列ができていました。店内には5人程待っていました。カウンターとテーブル席で40席、時間がかかると思いましたが、アルコール類、ご飯もの、餃子はなく、中華そば、チャーシュー麺、ワンタン、ワンタン麺のみ、10分待ちで入店できました。おばあちゃん、お母さん、娘さんの三代で切り盛りされているようで、細い縮れ麺、スープはなつかしいあっさりしょう油味、正に、昭和20年代の中華そばでした。これは、かなり記憶に残ってしまうお店になりました。坂本酒店さんで伺ったのですが、「高山ラーメン」という統一ブランドはなく、その店、その店で、すべてスープと麺、具が異なっているんだそうです。今後、いろいろな店の食べ歩きをしてみようと思います。

写真1
写真2
写真3

さて、今回のメインイベントのパン購入です。高山駅から10分程下呂に戻ったところにある「ブランジェリー・トランブルー」さんに立ち寄りました。今年の4月に探して探して、 やっと見つけたところ日曜日休みの看板にがっかりして帰宅したからです。今回は、休日を確認の上、しかも購入できるパンを予約、焼きあがる時間を確認しての再訪となりました。このパン屋さんも坂本酒店さんの紹介なのですが、ホームページでパンの画像を拝見して、クロワッサンについては、あの世界一のメゾンカイザーさんより上位ではないかと個人的にイメージしてしまったのです。
当日、購入できたのはクロワッサン(写真4)、大納言(写真5の奥)、トマトとバジルのパン(写真5の手前)、全粒粉のパン(写真6)、イギリスパン、Tバゲット、ピスタチオのクロワッサン、りんごとくるみのデニッシュ、オランジュです。食べてみた感想は、クロワッサンはメゾンカイザーさんより上だと思います。職人さんには申し訳なかったのですが、焼きあがった当日から毎日同じパンを食べ続けて、そのパン肌の変化を楽しんでいます。特にクロワッサンは四日目でも素晴らしい味と肌でした。予約しておいて正解でした。他県ナンバーの車が次から次へと駐車場に停まっては店に入るなり、焼きあがっているパンを次から次へと購入されていきますから、あっという間に消えていくのです。

坂本酒店さんも赤かぶさんも、何で、こんなに評判なのかわからないと言われていましたが、これは粉と水が優れているからです。厨房内を覗かせていただきましたが、特殊な窯も調合機も使っていませんでした。私は、世界中、食べ歩いてきたわけではありませんが、おそらく世界一のレベルだと確信できます。本当に、おおきに、でございます。余計な情報ですが、写真5の奥のビールはアサヒの資本が入る前の本物のヒューガルテンビールの大瓶です。今後、同じビールが飲めなくなるからと坂本酒店さんが買い占めたそうです。

写真4
写真5
写真6

ところで、このトランブルーのお弟子さんが浜松市内にオープンされているそうです。富塚の主婦の店の隣に10月30日オープンの「ブーランジェリー・カセル」さんです。日曜・月曜休みということなので、来週になりますが伺ってみたいと思います。楽しみです。トランブルーさんのURLです。http://www.trainbleu.com/

 

「落語のネタ帳、その16」

清八でございます。明けましておめでとうさんで、ござります。

一昨年、昨年は「偽」「変」と、続きましたので、プライベートの年賀状では、「厄払い」の口上を書かせていただきました。読者の皆様にも「良い年」になっていただくよう、この落語ネタです。


落語の方では、旧暦を使うてますので、新暦の「節分」が年越しにあたります。お含みおき願います。節分の晩に「厄、払いまひょ」と叫びながら町々を流して歩くんですな。厄年の方がいてはる家やとかゲンをかつぐ商家で呼び止めて、口上を述べさせて銭や豆を与えるというご商売があったんやそうでして。町内で世話好きな甚兵衛はんに「厄払い」の口上を紙に書いてもらいまして、初めて、商売に出たんですが、素人の悲しさ、うまくいきませんな。夜、遅うなって、厄払い、厄払い、と大きな声を出して歩いてますと、ある商家で呼ばれました。「お〜い、厄払い」「何ぞ、用か」「何ぞ、用かて、おまえ、厄払いやろ」「えぇ、厄払いです。おまえとこ、家族何人か」「うちとこは上下あわせて三十人じゃが」「それやったら、新作のええのんで払う、芝居づくしの、何やかんやで、まとめて払うわ」「まとめて払う。気に入った。ほな、まとめて払ぅてもらおか」「へぇ、その前に出すもん、忘れてるで」「何や、その出すもんて」「金と豆」「後でやるがな」「いや、わたいのは特別の厄払いで、後払いてなこと言うたら、厄払わんと、厄がわーっと集まるように言うて帰る」「そんな脅迫やないか。あげる、あげる」「えーっ、それでは、ただいまから厄払いの始まり、始まり」「サーカスの口上やないか。ちゃんとやってや」「あの、全員そっちの部屋に入って、障子閉めて、絶対出てきたらあきまへんで」「何で、こんな事するねん」「えーと、こら、墨薄いな」「何、墨、薄い」「すんまへん。ちょっと障子開けて。光が漏れるように。しかし暗いね。何ワット、使うてまんの。四十ワット、百ワットに変えなはれ」「何を言うとんのや、厄払いやってや」
「やります。やります。や、や、やはらめ……てたいな、てたいな」「何が出たいんや」「いや、このまま、この家、出たい」「そんな事言わんと、やってや」「やりまんがな。やーら、め、てたいな。やーら、めてたいな。めでたいことで払お、めでたいことで払、おなら」「そこ、すっと言えんか」「おなら、すっといったら臭いで」「払おうならや」「そうそう」「何が、そうそうや。ちゃんとやってや」「つーるーは、か」「えらい鶴長いな」「つるは首が長いさかい」「つーるーは、十年」「何」「つるは十年」「えらい鶴の寿命短いな」「これはつるの若死」

「そんなゲンの悪いこと言いないな。鶴は千年やろ」「千年、千年、十の上のシャッポが飛んでたわ」「鶴がシャッポ被るんか」「これがいわゆるつるくハット」「アホなこと言うてんと、ちゃんとやってや」「つるは十年、カメ、一ヵ年」「どついたろか、ホンマに。亀は万年やろ」
「あぁ、一とカが離れすぎてまんねん。とこさっくせえな。とこさくせえ、浦島太郎ちゃんは、たろちゃんは愛ちゃんを嫁にする」「何を言うてんのや。おかしい思うたら、そんな紙読んで。それも、ちょっとも払うてへんやないか。おまえ、なんや、新作のんで払う。芝居づくしので払う。これやったら昔からあるのと一緒やないか。えー、めでたいな、めでたいな、めでたいことで払おなら、鶴千年の亀万年、東方朔は九千歳、浦島太郎は八千歳、あれやろ」「ちょっと待って、調べる、調べる。そうそう、そのとおり、おうてる、おうてる」「三浦の大助百六っや。いかなる悪魔が来ようともこの厄払いがひっつかみ、西の海へさらり、厄払いまひょ、これでしまいやろ」「そう、そのとおり、ありがとう、さいなら、ごめん」「旦さん、番頭のわたいに払わせて帰ってしまいましたで」「いやいや、年越しの趣向じゃ。わしゃ、ここで腹抱えて笑うてたで」「あっ、旦さん、雨が降ってまいりました」「厄払いの後に、雨に降られるてな、今年はええ年やないな」「いえ、旦さん、そんなことおまへんで」「そうかえ」「へぇ、昔から降るは千年と言うまっしゃろ」「おぅ、降るは千年な」「へぇ、雨は万年でございます」

 この清八が、皆さんの厄をまとめて払わさせていただきます。
厄払いまひょ、厄払いまひょ、めでたいのんで払いまひょ。


 

「ボルドーワインツアー その1」

 清八でございます。ごぶさたでした。

 実は、フランス食品振興会・フランスボルドー委員会のご招待で、2月26日から3月3日までボルドーのシャトー巡りを体験してきました。昨年10月、高山の坂本酒店を訪れた際、たまたま応募のハガキに記入して、すっかり忘れていたのですが、12月の29日に大きな封筒が郵便受けに入っていたのです。「ボルドーワインツアーご招待」と大きく印字されていたので、ひょっとして、新手の詐欺かなと思ったのですが、坂本酒店さんへ問い合わせてみて、本当のラッキーだとわかったのです。

成田からJTBの添乗員付きで、現地では通訳ガイド付のバスでのシャトー巡り、期待に胸は膨らんだのですが、予定訪問先のシャトーの日本語ガイドブックもホームページも発見できず、何ら、予備知識をインプットできませんでした。現地へ行ってみてわかったのですが、パリと比べてボルドーはワインの生産地であって、まだまだ観光地ではないという事です。ネットサーフィンで現地の日本人会のサイトを見つけ、日本語による現地ガイドをプリントアウトできたのが、出発の二日前でした。当然、全ページに目を通す時間はありませんでした。

 26日出発は成田9時30分でしたが、国際線なので二時間前の7時30分にJTBカウンター前に集合なので、どうしようもなく前泊しました。ホテルからの送迎バスの関係で7時にカウンター前に到着すると、すでに受付が始まっていて、一人二人三人と集合されていました。今回のご招待は、全国から9組18名の予定だったのですが、1組キャンセルで8組16名のグループということになりました。私たち同様、全国各地から来られた方の開口一番は、「うわぁ、ホンマやった」でした。確かに、誰でも信じられないご招待ですからね。

搭乗手続きの前に、JTB専用ルームでのスケジュール説明があり、本当に行けるんだという思いになりました。エアバスに乗り込んで離陸後、ドリンクサービスですが、もちろんシャンパンを頼みお代わりもしました。一時間程して食事となったのですが、これが何とディナーでした。朝なのにと思いましたが、現地では確かに夕方の時間でした。成田から、遥か12時間45分という長丁場、ipodに入れてきたフランス語会話を聞き続けながら、赤ワインと白ワインをボトルでいただき(機内用の小瓶ですが)、シベリヤ上空あたりで、サンドイッチとウーロン茶をいただき、映画を三本見ているうちに、オランダ上空となりました。

やっと、朝食です。さすがに、これ以上は飲めないのでコーヒーにしましたが。パリ・ドゴール空港到着が現地時間で14時15分でした。国際線から国内線ロビーまで歩いて歩いてですから免税品を購入できる余裕はありません。ボルドーへの出発は16時、機内で軽食でも出るのかと期待していたらドリンクのみでしたので、ハイネケンにしました。17時15分ボルドー空港に着き、荷物を受け取り、通関後、出迎えのガイドさんと初対面です。私は知らなかったのですが、「神の雫」日本テレビ版のフランスコーディネーター、加藤尚孝さんでした。加藤さんはボルドーに約10年生活されていてサンテミリオン市参事委員という肩書きで、ソムリエ、コンセイユと同等の知識・経験をお持ちの方です。


写真1

写真2

写真3

写真4

暖房の入っている建物から外に出ても外気温は約10度、寒いという感覚ではありませんでした。ホテルへのバスに乗り込み、約40分間の間に、左右の風景(写真1、2)を楽しみながら、滞在中の注意事項、明日からの現地ツアースケジュールの説明を受けました。それから、今晩の食事をどうするかです。日本時間では深夜の3時、とても飲んだり食べたりする時間帯ではないのですが、現地では夜の8時過ぎ、まだまだ元気ですから。今回、4連泊のホテルはボルドー市中心部に位置するメルキュール・ボルドー・サンテル・メリアデックです。そのホテルにチェックイン後、レストラン情報を伺うと、何と目の前にショッピングセンター(写真3)があり、遅くまで営業しているとのことでした。歩いて3分、店内に入ると先ずはワインコーナーに向かいました。ところが、ワインワインワインと延々と並べられていたのです。当然、ボルドーワイン、他地区のフランスワイン、発泡性ワイン、世界中のワイン、他のアルコール棚には、ドイツ、ベルギー、オランダ、チェコ、そして日本のビールも置いてありました。何と、テーブルワインは1.5ユーロから売られていました。一通り見学して選んだのが、6ユーロの発泡性ワイン(写真4)、そして肴はチーズとサラミ、パックのシーザーサラダ、これだけ購入して部屋で宴会となりました。翌27日は、9時出発のためぎりぎりまで寝ていてもよかったのですが、夜中にお腹がすいてきて、7時半には朝食会場に行ってしまいました。約20年前のパリ旅行時にはクロワッサンとカフェオレのみだったと記憶していたので期待していなかったのですが、今回はチーズ、ハム、ソーセージ、スクランブルエッグ、フルーツ、ヨーグルトと盛りだくさんでした。後から伺うと、旅行者が増えたため、アメリカンブレックファーストに変わってきているとのことでした。これから、世界遺産の見学と期待のシャトー巡りとなるのですが、次回をお楽しみに。

※私だけかもしれませんが、今回のツアーでは両替に困りました。空港で替えておけばよかったのですが、観光地だからどこの町内でもあるだろうと安易に考えていたのです。現地で理由を説明されて納得したのですが、ユーロに統一されたので、ヨーロッパ内では両替の必要性がたいへん低くなって両替所が半減したとのことでした。


 
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