「ちりとてちん」? 実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。

さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 Back Number 66〜70

 

「本家・わいわいワイン会」

ごぶさたです。清八でございます。
 19年前から拙宅で続けてきた「わいわいワイン会」ですが、何と、高山市久々野にある飛騨のワインショップ「坂本酒店」内のティスティングルームをお借りして開催してきました。この酒店さんが20数年前に「わいわいワイン会」を立ち上げられ、参加させていただいたのをきっかけにして、浜松市内や拙宅で開催してきたのですが、その本家での開催が実現したのです。

 実は、拙宅でのメンバー13名で高山市久々野町にある「たかたわ山」(1,303m)への登山計画がもちあがり、久々野駅近く宿を紹介していただき、それならばと夜は「わいわいワイン会」を企画したという訳なんです。今回の為に、坂本酒店さんで準備していただいたのがイタリアンの肴でした。何と、位山にあるペンションのシェフに頼んでテイクアウトさせていただいたのです。

 その料理とは…。


写真(1)「夏野菜のマリネ」

写真(2)「サーモンのカルパッチョ」

写真(3)「ペンネの冷製トマトソース」

写真(4)「飛騨牛のイタリア風タタキ」

…と素晴らしいものでした。
   

 坂本さんの冷蔵ケースからは、写真(5)、写真(6)のトマト、チーズ、そして坂本さんのおばあちゃんからの差し入れの南瓜の煮物と、おいしいものの上等博覧会でした。

 当日のアルコール類ですが、「わいわいワイン会」の前に、今年のお盆イベントで取り寄せたドイツビール「フランツィスカーナー・ヘーフェ・ヴァイスビアー」を生樽でいただきました。写真(7)、登山は、上り1時間半、下り1時間、山頂で1時間の小宴会というコースでしたが、下山後、宿での風呂上りのビールをぐっと我慢してきましたので、もう一杯、もう一杯と、一人三杯平均となってしまいました。

 それでも、本格的に「わいわいワイン会」に移行、ドイツの辛口白「フリッツ・ハーク・リースリング・トロッケン」、イタリア辛口白「ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージ・クラッシコ」、フランスボルドーの辛口ロゼ「ロゼ・ド・カロン」と三本続きました。

 ここで、すこし中休み、せっかくですのでベルギービールの中から、「シメイ・グラン・リザーブ」の1.5リットルサイズを出していただきました。もちろん、専用のグラスで。

 この後、まだ余裕のあるメンバーの為に、フランスワインの赤「コート・デュ・ヴィヴァレ・レ・オート・ヴィーニュ」と「ブルゴーニュ・ルージュ」を出していただきました。こうして、次から次へとリクエストできたのは、地下にワインセラーが展開されていて、いつでもティスティングできるようになっているからなのです。

 店内でのワイン・ビールは適温に冷やされ、ベルギービールは専用グラス、ワインはショットツィーゼルで出されます。何と、プライスカードそのままの価格で。

 ただし、日本のビール(アサヒとかキリンとか)を持ち込んで飲むことはできません。これは、この坂本酒店のルールなんです。店長は日本のビールの持ち込みは1万円とか言っているそうです。私は、個人的に、このルールが気に入って店長推薦のワインとベルギービールを楽しんできました。いくらコストダウンと商社のアドバイスとはいっても、「生発泡酒」を呑み放題の「生」(生ビールではありませんので、くれぐれもご注意願います)として提供している業界の方々は、この店長の考え方を「古い」と判断されますか。

 ご興味をお持ちになった方は、次のホームページを覗いてみて下さい。

http://www.waiwai-wine.com/

 


写真(5)トマト


写真(6)チーズ


写真(7)フランツィスカーナー・ヘーフェ・ヴァイスビアー

 

 

「ディープなタイペイ、その2」

 清八でございます。
 台湾・タイペイ市での二日目、5月1日の朝になりました。時差が1時間(日本時間引く1時間)の為か、現地時間としては早めに起きてしまいました。今回のツアーの目玉として、現地のJTBデスクで予約しておいたのですが、一日でB級(失礼)グルメを食べて飲んで味わい尽くそうという市内散策に出かける予定にしたからです。9時にホテルを出発、清の時代(1783年)に建てられた資産家・林家の豪邸「林安泰古民家園」の見学に立ち寄りました。赤レンガの塀にぐるりと囲まれた福建省の四合院建築の建物は、もとの三分の一の規模になったということでしたが、それでもかなりの豪華さでした。建物の中央に本妻の部屋があって、左右に側室の部屋が並んで建てられているのですが、二号、三号、四号と中央から離れる程、豪華な家具が置かれていました。主人からいつ離縁されるのかわからないので、華美になっていったとの説明でした。

 このレトロ感あふれる民家見学の後、最初の食事です。まだ朝ですから、「魯肉飯(ルゥロウファン)」の小と「四神湯」です。豚バラ肉を醤油と砂糖で煮込んだ具をのせた丼で、大・中・小盛りがありました。ぜんぜん油っぽくなくおいしかったです。スープは、豚の小腸と四種の漢方薬が入っていました。ちょうど沖縄でつくられている「中身汁」です。この「中身」とは豚の中身(ホルモン)ですから。

 食後、散策しながら「タピオカ・ミルク」のお店に立ち寄ったのですが、まだ準備中だったため、「台湾ハンバーガー」を味見して、台湾大学のキャンパス内を見学させていただきました。

 この「台湾ハンバーガー」は、蒸しパンを割って、豚肉や煮野菜を挟んだものですが、脂身とろとろの白肉とさっぱりした赤みの赤肉があって、その割合を注文できるんです。お肉はピリ辛で付け合せのザーサイが何とも言えない食感で好みでした。

 さて、台湾大学ですが、昨年12月に京都大学内の食堂に入ることができたので、ガイドさんにお願いしたところ、台湾の大学内には食堂は設置されていないという返事でした。その理由を伺うと、大学の周辺の学生街にたくさんの飲食店があって、早くて、安い、旨いからという理由でしたが、海外からの留学生を含めて、たくさんの民族から入学されている為
食生活が異なるため、共通の食事を提供できないという理由が一番だそうです。例えば、完全なベジタリアンや豚肉が食べられない、牛肉が食べられない、チキンが食べられない、といった様々な食生活なんです。

 ここで、やっと準備中から開店の看板に代わったお店に戻り、「タピオカ・ミルク」を飲みました。ここのお店では、半製品のタピオカを購入しないで、生のタピオカから煮込んでつくっているので、11時以降でないと店頭には出せないという良心的なポリシーのお店なのでした。続きましては、擂茶体験です。これは、お茶を挽いて抹茶のようにしてからピーナッツやゴマなどを加えて、さらに挽いて、最後にお湯を入れていただきます。これは、客家料理の一つとのことで貴重な経験ができました。

 もう、お腹がいっぱいになっている状態で、台湾大学の学生街でスウィーツのお店に行きました。「台一牛乳大王」での「かき氷」なのですが、紅豆、緑豆、はと麦、ピーナッツ、そして甘く煮付けられている「里芋」がトッピングされていたんです。

 台湾の夏は、非常に暑いのでサラリーマンには、このスウィーツが貴重なエネルギー源となるのやそうです。さすがに、量が多いため、ガイドさんにも協力していただいて完食しました。

 この後は、国府紀念館の衛兵交代式を見学して気を引き締め、次のスウィーツ「大根餅」をいただきました。そして、今回の記念にと、世界一のビジネスタワーTAIPEI101の展望台へ。このエレベーターと耐震装置は一見の価値があると思いました。気持ちも切り替わったところで、台湾ビール工場へ(どこが切り替わってんねん)、日本円で約200円の中生ビールで乾杯しました。

 以上が本日一日のB級グルメツアーだったのですが、ホテルへの途中、夜市(食べ物屋台村です)へ立ち寄っていただき、「台湾風春巻」「揚げせんべい」を購入、部屋でいただきました。もちろん、コンビニで台湾ビールを購入するのを忘れませんでした。台湾でもレジ袋は有料になっていて、ゴミを減らす取り組みが全国内で実施されていました。一日を本当に有効に過ごさせていただいたツアーでしたが、体力が無いと参加できませんので、くれぐれもご注意願います。それから、屋台での貝・牡蠣料理には注意して下さい。現地の方でも具合が悪くなることがあるとの事ですから。油で揚げた料理は、しばらくたつと油が変質しますので、その場で味わって下さい。今回のガイドさんも、食べ飲み、食べ飲みの繰り返しに心配してくれたようです。

 でも、面白い体験ですので、ぜひ、ご検討願います。

 

「落語のネタ帳、その14」

 清八でございます。
 視聴率が取れないのか、最近は減ってきましたが、テレビの特別番組で、「大食らい選手権」とか「大食会」というのがありますな。人集め、話題づくり、お店のイベント・キャンペーン、関係者の方の生活もあるとは思いますが、片方では「食育」とか、「食べ残し」「世界食糧難」とか言うてる時代に、考えさせられる事もあるんちゃいますか。

 お暑い時期に、こんなブラックユーモアは、いかがでしょうか。

 今のように扇風機もクーラーも無かった時代、上は甚平、下は褌だけてな格好して縁台で涼んでいるてな光景がありました。ある男が、いつものようにご隠居さんの所へ時間潰しに訪れました。

「お宅は、掃除というものが行き届いてまっしゃろ。庭はすっきりと掃いたぁる。縁先には箒目が入ったぁる、簾が吊ったぁる、風鈴が鳴ってる、金魚が泳いでる。風が通りますわ。うちとはエラい違いですわ。部屋の中はホコリだらけ、お膳は出しっぱなし、布団は万年床、庭には紙屑が放り出したぁる。西日は差し込んでくる。もう、暑うて、暑うて」

 こないぼやいておりますと、ふと、床柱に目がいきました。

「ご隠居はん、こんなきれいな部屋に、なんでんねん、あの吊ったぁる草は」

「えっ、これはエラいものが目に入ったなぁ。あれはな、蛇含草というてな、なんでも大きな山の谷あいに生えている草じゃそうな。こういう山の中には、山の主といわれるような大きな蛇が住んでてな、道に迷うた旅人とか猟師とかを丸呑みにすることもあるのじゃそうな。なんぼ、その蛇が大きいちゅうても腹がぷくっと腫れてのた打ち回って苦しむらしい。その時に谷あいに降りていってこの草をチョイチョイと舐めると、腹の中の人間がたちどころに融けて腹の張った蛇が助かるそうじゃ。蛇が含む草、と書いて蛇含草という。魔除けになるとかいうて、知り合いが持ってきてくれたんじゃ」

 こんな会話がありまして、この草を一房、分けてもらいました。

「それは、そうと、この暑いのに、火鉢に火いおこして、お茶やったら、わたい結構でっせ」

「いやいや、そうやない。親戚で祝い事があってな、餅を仰山もろうてな。いつまでも置いといたらカビが生えてしまうんで、今から焼いておまはんと食べようと思うてな。おまはん、餅好きか」

「わたいはね、餅という言葉を聞いただけで、腹の虫が、食いたい、食いたいって鳴きまんねん」

 これから、売り言葉に買い言葉で、餅箱一杯の餅を全部食べるはめになります。

「ご隠居はん、知りまへんやろ。毎年、京都で大食会ちゅう大食いの大会が開かれまんねん。わたい、その会で幹事をしてまんねん。餅箱ごと焼いて食うわい」

 さぁ、これから食べるわ、食べるわ、勢いというのは恐ろしいものですな。餅箱にあった餅、ぜーんぶ、食べてしもうて、あと二つだけ残りました。カレーライス1キログラムとか、麺5個入りのラーメン、30分で完食したら無料てな、お店があって、体育会系の方がチャレンジするんですが、あと、一口というところでギブ・アップ、ようあることですな。

「どうしたんや。餅、あと二つ残ったぁるで。そないに体揺ったって入らへんで。さぁ、あと二つの餅、さっさと食うてみせい」

「堪忍、あやまる、あやまる、餅が鬼に見える。堪忍して、もう、家へ帰るわ」

 ようようの事、家に帰ったんですが、悔しいのと、苦しいので寝れまへん。そこで、気がついたのが、ご隠居はんから貰うた蛇含草ですな。蛇の腹薬なら人間にもきくやろうと食べてしまいました。

 ご隠居はんが心配になって駆けつけてきます。

「喉まで餅が詰まってて、寝たら、喉がつまって死んでしまうで。大丈夫かいな。わしじゃ、ここを開けなされ、これ、ここを開けなされ」

 シューッと、襖を開けますと、餅が甚平さんを着て座っておりました。

 どないですか。どんなにCGやSFX技術が進もうと絶対に映像化できない落語があるんです。落語って、すごい世界でしょう。

 

「落語のネタ帳、その15」

 清八でございます。
 秋祭り、秋のイベントが続いてますが、道路交通安全法が改正されてもされなくても、飲酒運転は絶対に、絶対にしてはならないのでございます。落語国の世界では運転免許も自動車も登場しませんので、町内の若い連中が集まると、昼間からでも酒呑もか、というシチュエーションドラマが多いようですね。

 その典型的な落語が、「寄合酒」なんです。「なぁ、おい、町内の若い連中がこれだけ揃うというのも珍しいさかいな。これから一杯飲もか」「あぁ、結構やな」「その代わり、言うとくで。今日は、俺が出しとこ、われが出しとこちゅう顔ぶれやあれへんがな。割り前やさかい、そのつもりでな」「割り前って、何や」「みな、一人前ずつ、割り勘というこっちゃ」
「そら、えぇけど、その割り前と言うのは、なんぼや」「大きな事、言うてもしゃあないな、一人、これだけや」「五本の指を出したな、まさか、五万円やなかろな」「あほか、料亭に行くのやあれへんがな、もっと下げ」「ほたら、五円か」「中をとれ、中を、ひとり五百円や」

こないして予算が決まったんですが、誰も現金を持ってませんな。しょうがないんで、一人 一品ずつ、酒の肴を持ち寄ろうという「持ち寄り散財コース」に変更となりました。この、「持ち寄り散財」という言い方、死語になってますが、いい表現だと思いませんか。

「何や、持ち寄り散財って」「何でもかまへん。夕べのお菜の残りでも、今朝のお菜の残りでも、家にある物を、一人一品、持ってきたらええのや」「おい、持ってきたで、そっちぃ、持ってって」「何や」「鯛や」「おお、こら立派な鯛やな、高かったやろ」「さぁ、高かったやろなぁ」「高かったやろなぁ、って、買うたんと違うんかぃ」「買うたというわけやない」「ほな、貰うてんかぃ」「貰うたいわれると、つらい」「ほな、どないしたんや」「横町の角へ、魚屋が荷を降ろして、板台の中に、この大きな鯛が見えたんや。欲しいなぁ、と思うたら、金物屋 の赤犬がくわえて走り出したんで、追いかけてな、赤犬を頭をどついたら、「くわん」ちゅうて、口から離したんで、犬の食わん鯛、皆で食わんか」「犬の上前、はねてきやがったな」

「おい、ちょっと、これ拾うてきたで」「何を拾うてきたんや」「大根、荷車にいっぱいや」「車にいっぱい、どこで拾うたんや」「そこの家の前や」「そら置いてあるのやがな、返しなはれや」「次は、何や」「鰹節が二本や」「これも、買うてきたんやあるまいな」「当り!」「当りないな、そんなもん、どないしたんや」「あの、子供が仰山、広場で遊んでたんや。その中に乾物屋の子供がいてたさかいな、ぼんぼん、これから鬼ごっこしまひょいな、わたい、鬼になるさかい、ぼんぼん、逃げなはれや。そやけど、鬼には角がいるさかい、お店に戻って大きい鰹節二本持ってきなはれ、言うたら、子供は正直でんなぁ、持ってきましたがな。その鰹節を二本、頭に当ててね、『ぼんぼん、咬もかぁ』言うたら、『おっちゃん、怖い』言うてお店へ帰ってしまいました。そのすきに、鰹節、懐に入れて持ってきてんやが、どや、皆でこの鰹節、噛もか」「えげつないなぁ、子供、騙したり、しないなぁ」

「それはそうと、最前から頼んでる火はどないなってまんの」「へぇっ」「へぇ、やないがな。あんた。そのかんてき(七輪)、最前からバタバタあおいでるけど、まだ、火がつきまへんの」「へぇっ、一生懸命、こうやって、火ぃ、いこしてまんねやけど、起きまへんのや」「あんた、かんてきの口は、開いてまんねやろね」「へぇ、なんぼ、わたいがアホでも、かんてきの口は、ちゃんと、こっちぃ向いて開いてますわ」「ほな、消し炭は」「消し炭も入ってまっせ」「それで、何で、火がつきまへんね」「さぁ、わたい、もう、目ぇ、くらくらするほど、このう団扇で扇いでまんねやけど、何で、火がおこりまへんね」「あんた、火の種は、どうなっています」

「火の種、と言うと」「…アホか、おまはんは、火の種も入れんと、つくわけがないやろ」
「ところで、酒の燗は、誰がやってんね」「わたいでやす」「わたい、あんた、えらい、酔うてるやろ」「あんたね、わたいは、この酒のお毒見役でっせ。そない、酔うほど、飲みますかいな」「ほな、湯呑で二、三杯ですか」「いゃ、そんな、湯呑で飲んだりしますかいな、その金たらいで」「そんな、あほな」

 わぁわぁ、言うております。「寄合酒」の発端でございます。

 

 

ヘタこいたぁ…落語ライブ

 清八でございます。
  何という一年やったんかと思うのでございます。「偽」に始まって、「偽」に終わろうとしている一年間、とうとう国家の最高レベルの方までもが、「そんなこと、言ったのかなぁ」と公言されているのでございますよ。と、ここまで書き進めて、このコラムとは違った方向になりそうなので、11月23日の「本果寺寄席」の前座で務めさせていただいた落語のマクラをライブ感覚で書かせていただきます。

 場内、割れんばかりの拍手をいただきまして、ありがとうさんでございます。
 本日は、素人の落語を聴いてやろうという奇特なお方ばかり、お集まりのようで、本当にありがとうさんでございます。学生の頃から芸名をつけまして、人さんの前で演らせていただいて、もう三十年以上になるんですが、なかなか、うまいこと喋れませんので、先に、お詫び申しておきます。これまで、いろんな所に呼ばれましてね。敬老会、婦人会、老人クラブ、老人ホーム、話し方教室のゲストいうのんもありましたな。どこでも言われるんです。「おたくら、よろしいなぁ。口がうまいんで…」と、振り込め詐欺みたいに言われるんです。ところが、そんな事はございません。典型的な日本人ですからね、人前で話せないんです。私、小学校、中学校の成績表の通信欄、毎年同じこと書かれてましたからね。「おとなしいです。モノ言わない子です。大人になったら心配です」こない書かれてました。ですから、今でもうまい事よう喋れないんです。

  一般に落語と言うてんのは、二十分から三十分の起承転結のあるお話でして、この内容は勝手に変えられないのでございます。この本題に入る前のお喋りを「マクラ」と言うてまして、プロの方は、毎日毎日のお仕事ですから、朝、新聞読んだり、テレビのニュース見たりして、一番新しいマクラを喋ることができるんですが、私らはそうはまいりません。一ヶ月程前から考えて高座にかけるわけなんです。充分、仕込んできましても、突然、大きなニュースとかイベントがあると困るんです。

 今年は、何と言うても、「食品偽装」の年やったですな。ミートローフから始まって、白い恋人たち、宮崎地鶏、比内鶏、名古屋コーチン、博多明太子、赤福、そして「吉兆」ですわ。次から次へと、出るわ、出るわ。もう、信用できへんてなもんですが、助かったこともあるんです。高級レストランとか料亭の「おせち料理」、今年は信用できへんさかい、注文止めようという事になったことですわ。「吉兆」の17万5千円を予約しようかと言われてましたからね。(誰やねん)また、食品偽装がホンマでよかったという事もあるんです。

 世間には、けったいなお菓子があってね。奈良公園に行きますと「鹿のフン」という有名なお菓子がありますな。もちろん、ほんまもんのフンではありませんね。長野県の中野市へ行くと「月のウサギのうんこ」というお菓子があるんです。また、九州・霧島へ行きますと、「黒豚の鼻くそ」というお菓子があるんです。北海道は釧路へ行きますと「ねこのたまご」
というお菓子があるんです。これ、みな、名前だけで、偽装なんですよ。「ねこのたまご」なんか、ホンマにあったら怖いですからね。

 何で、こないに食品偽装が続くのかと調べてみましたら、物を大量に作りすぎてるんやそうですね。スーパーでもコンビニでも、お土産屋さんでも、品切れと言えない時代になってしもうてね。ついつい、作りすぎてるわけなんです。赤福の社長さんやないですけど、「三個売るより一個残すな」これが、商売でございますよ。この言葉は、経営講演会では、大拍手
の発言なのでございますよ。

 国家財政もこの理屈やそうですね。日本国中どこでも、東京・大阪のようにホールがあって、映画館があって、図書館があって、体育館があって、病院があって、老人ホームがあって百貨店があってという街を創ろうとしてわけでございます。結果、借金だけが残ってしもうたという事なんでございます。ホンマに、いま、日本はたいへんな事になってるんやそうですね。そら、そうですわな。郵政民営、耐震偽装、天下り、それに社会保険、もう、何でも有りの状態になってますからね。これまでは、小泉のおじさんの考えてはったとおり、民営化を進めてきたわけなんですけど、公務員をそないぎょうさん解雇もできない、というんで、これから逆になるっちゅうんです。国営化なんです。何でも、公務員さんがやるようになると、例えば、国営の料亭、国会議員さんが毎晩使いますからね。議員さん御用達ですな。国営のキャバクラ、国営の岩盤浴、国営のメイド・カフェ、国営の喫茶店、国営の善哉屋、善哉屋ちゅうたら、「ぜんざい公社」ができまんのやて……。

 この続きにご興味がありましたら、「ちりとてちん」のバックナンバーから、その16をお読みになってください。それでは、みなさま、良いお年を。

 

 

 
Back Number
1〜5 6〜10 11〜15 16〜20  21〜25 26〜30 31〜35 36〜40
41〜45 46〜50 51〜55 56〜60 61〜65 66〜70 71〜75 76〜80
81〜85 86〜90 91〜95 96〜97        

Copyright © 2010 Salt.com All rights reserved.