「ちりとてちん」? 実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。

さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 Back Number 6〜10

ベルギー、知ってはりますか? その1

 清八でございます。  
 今年のゴールデン・ウィークは、いろいろなご事情で海外旅行をキャンセルされた方が 多いと思います。私も、そのお仲間の一人でした。そこで、プロローグでもご案内してありました、私の大好きなベルギーとベルギー・ビールをテーマにします。  

 昨年のサッカーで日本の対戦国となっていましたので、EUの中心となってからのベルギーは日本のマスコミでも紹介されていました。今回のアメリカ批判のニュースで多く登場したのが、首都ブリュッセルにあるEU本部でした。私が、ベルギーに興味を持ったのは、9年前の12月にNHKラジオの番組で「ベルギーが世界で一番の地ビール国」と聴いたのが、きっかけでした。それまで全く興味がなかったのですが、旅行書で調べてみると、確かに400種類のビールがあって、アルコール度数も9%まであり、ビア・パブは すごく楽しいとわかりました。翌1月に東京・恵比寿ガーデンプレイスに出かけた時、そのベルギー・ビールが2種類あって、さっそく飲んでみたのですが、日本のビールが飲めなくなりそうなおいしさでした。これは絶対、現地に行って浴びる程飲んでみようと、手配をしてもらいました。
 実際のビールですが、約540社の醸造元が400種類以上のビールを販売していました。日本と同じ普通 のビールがピルスと呼ばれ、小麦と大麦を二回醗酵させたビールがグース、サクランボを漬け込んだチェリー・ビール、そして全国の修道院で造られてきたのがトラピスト・ビールで、それぞれアルコール度数は、何と3%から12%まで揃っていました。平均気温が低く、晴天の日が少ないためか、日本のようには冷蔵庫で冷やしては 飲んでいません。ベルギーには、フランスのワインに匹敵する程の質と量のビールがあり、食前ビール、食中ビール、食後ビールに分けられるビールが存在しているのです。これらのたくさんの種類のビールには、それぞれのブランドごとにデザインされたジョッキやチューリップ・グラスが用意されていて、いろいろな形の凝ったグラスを楽しめます。ビア・パブは、さながらガラス・ショップかと思える程です。パブではブランド名がわからないので注文は難しいのですが、食料品店には100種類くらいの瓶ビールが売られているので、言葉がわからなくても、ホテルの部屋で飲むには都合が良いと思います。ご参考に、ベルギーの公用語はフランス語・ドイツ語・オランダ語で共通 語はありません。ビールの味ですが、酵母菌が生きていて、フィルターを通してありませんので、日本の麦以外で造られている普通 のビールをビールとして長い間信じて飲んでいる方にとってはクセが強いと思います。個人の好みでしょうが、私はかなり好きです。日本の麦以外ののデンプンで作られているビールよりは断然おいしいと思います。余分な事ですが、日本の「米やさつまいもやとうもろこしやじゃがいもで造られているビール」は、ビール法のあるEUではビールとしては販売できません。雑種扱いとなります。
 その1は、このあたりでお時間とさせていただきます。これからも、ご贔屓に!



“ディープな大衆食堂、そして居酒屋その1…居酒屋篇”

 清八でございます。
 今年のゴールデンウィークは、結局、沖縄本島と離島へ行ってまいりました。目的は、マリンスポーツではなく、大衆食堂と居酒屋巡りでした。泡盛と沖縄そばの日々を続けてしまいました。先ずは、到着日、午後8時からの居酒屋篇でスタートします。
「さとなお」のサイト「沖縄スペシャル」で10満点中9点と推薦されていた那覇市牧志 の「あんつく」は現地ガイドである義妹と義弟も入ったことがなかったという穴場という ことでした。現地のタウン誌にも紹介されていないこの店は、国際通りの海邦銀行の角を 曲がった安木屋という事務用品の老舗ビルの駐車場の横という、今、書いていても地図を 見ていてもよくわからないという場所にありました。ただ、二階がアジアン・ティーの明るいお店ですので、目印にはなります。お店の中央のドアを入ると、カウンターには、たぶん毎晩通 っていると思われる沖縄オジィとニィ−ニィ−たちが占拠、テーブル席では、 仕事帰りらしい遊びネェ−ネェ−たちが泡盛の飲み比べをしていました。沖縄料理の定番 「豆腐チャンプルー」、豚の三枚肉をかつおだしと泡盛、砂糖、醤油で煮込んだ「ラフテー」 塩漬け三枚肉をスライスした「スーチカー」、豚のモツをかつおだしで煮込んだ澄まし汁 「中味汁」、ふーちばー(よもぎ)の入った雑炊「フーチバージューシー」どれもこれも旨かったです。泡盛の古酒(クースー)は瑞穂という銘柄一点でしたが、五升瓶からの一合売り で、いくらでも飲めてしまう位マイルドでした。
 その日の二軒目は、那覇市役所の近くに最近オープンしていた「わたんじ」という観光客向けの居酒屋でした。こちらは、ビールあり、ワインあり、日本酒あり、泡盛あり、というコンパ向けで、酒の肴もチーズあり、焼き鳥あり、刺身あり、でメニューの文字から オーダーしても多分困らないという居酒屋でした。団体でホテルに泊まって宴会という場合は、こちらの居酒屋が無難という…(ご想像願います)。こうして、沖縄の第一夜は、その日のうちにホテルに戻ることができました。
 現地のタウン誌で翌日以降のリサーチをしていたら、那覇市内の居酒屋で、このクーポン券ご持参の方に、生ビール一杯または泡盛四合サービスという掲載記事がありました。 一杯と四合では料金設定が違うのではないのかと考えたのですが、普通の泡盛は古酒と違ってビールより確かに安いお酒なのですよ。それにしても、時間無制限・飲み放題・食べ放題の居酒屋の多い事、それも大人料金で1980円から2780円という範囲内でした。  翌々日の夜は、糸満市内の居酒屋に居たのですが、泡盛のウコン茶割りでした。現地情報によると、長寿県の沖縄でも健康志向が高くなり、泡盛の消費量 が下がっており居酒屋 の売り上げも下降気味、そのため無料のウコン茶を提供することで、たくさん飲んで、たくさん消費していただこうという経営者サイドの思惑が働いているのだそうです。
 そろそろ、明日の日付になりますので、その1は、この程度とさせていただきます。

 

“噺家さんたちの食生活…その1”

 清八でございます。
 このコラムで紹介していただいた5月18日の落語会も無事に終えることができました。 新居町内での定期落語会は、春風亭鯉昇師匠の勉強会として20年51回続けています。 毎回、私が前座を勉めさせていただきますが、二人で約100席、ゲストの噺家さんを加 えると150席を達成しました、殆ど毎回、違う噺を演じられるよう勉強しています。今 年3月に「浜松市ゆかりの芸術家顕彰」を受賞された鯉昇さんとのお付き合いは、彼がプ ロになって持ちネタが二席のみという頃からで、もう27年になろうとしています。  と、こんな経歴の話はこのくらいにして、本題に入ります。
 初めて落語会を開催される現地のスタッフから、「開演前の食事(のせモノと言うてますが…)は何がいいでしょうか?」とか「打ち上げの宴席では、どんな料理がいいでしょう か?」と聞かれることがあります。鯉昇さんの場合は特殊なんですが、浜松出身なのに鰻 がダメ、生の刺身がダメ、当然のように生寿司もダメ、という体質なんです。東京都内の お客様と銀座の高級寿司店で接待を受けた時も、かっぱ巻きとタマゴのみという人なんで す。収入の少ない頃には、殆ど菜食とホルモン主義者で、食べられる野草をよ〜く、ご存 知です。事前にお話できるスタッフにはワケを言って別メニューに代えていただくのです が、すでに準備されている場合が殆どです。噺家さんとか芸人さんは、用意された料理に 対して、嫌いです、とか別の料理に代えてくれ、とは言わないように教え込まれています。 お客様の気分を悪くするからです。ですから、食べたくない時は、今はお腹が空いていな い、からとか、ワキで立ち食い蕎麦しちゃって、とか理由をつけます。以前、私がマネー ジャー兼運転手兼前座で一緒に行動させていただいた時には、初日の昼と夕方が生寿司、 その晩の打ち上げに鰻、二日目の昼と夕方に、また生寿司という状況がありました。これ は、さすがに私も勘弁して下さい、と心の中で叫びました。東京都内のある会では、主催 者が飲まれない方で、終演後、何もありませんが、と言うて「カレーライス」を出された 事があったそうです。結局、ご辞退して、駅前の居酒屋でワリカンで打ち上げしたという 後日談でした。 特に高座に上がる前は、殆どの噺家(芸人)さんが軽いモノを食べられます。満腹にして しまうと緊張感が薄れてしまったり、声が変わってしまうからで、おわかりになりますよ ね。あの故・桂枝雀師匠も「すうどん」や「天ぷらうどん」を食べて高座に上がられておりました。
 話を戻します。私の会では、高座に上がる前は「梅うどん」とか「おぼろうどん」夏は、 「ざるうどん」とか「そうめん」を用意します。打ち上げの酒の肴は、お寿司・天ぷら・ 刺身・鰻・海老フライ等はありません。ゲストの噺家さんには申し訳ないのですが、八丁 味噌のおでん、ぶり大根、新玉ネギのスライス、鰻の肝焼き、最近ではトムヤンクン、陳 マーボー豆腐、ゴーヤーチャンプルー、豆腐よう、といった内容で、無国籍の居酒屋メニュ ーになっています。そのためか、アルコールもビール・日本酒から泡盛・芋焼酎・紹興酒 に変化してきました。実は、鯉昇さんは若い頃に台湾とタイに通われておりまして(と言っ ても落語の仕事ではなく、お茶や仏像の買い付けのお供ですが)、中華料理とエスニック料 理が大好きなんですよ。
 こんな宴席がいつまでも続けられるよう、お互いに食生活に注意して健康でいたいと強 く願っております。

 

落語のネタ帳・食べ物編…その1

 清八でございます。
 雨が降ったら、じとじとするし、雨が降らなんだら、真夏日になるし、うっとうしい日々 が続いておりますので、こんなお話はいかがでしょうか。このコラムのタイトルを決める 時に管理人さんと落語に使われている食べ物の演目について、いろいろと検討させていた だきました。結果、「ちりとてちん」が採用となったというわけなんです。以前は、落語の 演目が日常会話の中で普通に登場していたようです。いつ頃なのかわかりませんが、特別 な用語になってしまったようです。

「まんじゅう怖い」って、おわかりになりますか。 友だち仲間が何人か寄りまして、「好きなもん」の尋ね合いをします。「誰が何と言うて も、酒」から始まって、「ぜんざいにハチミツかけて食う」ヤツから「レンコンの天ぷらの 穴の揚がったとこ大好き」なヤツ、「とれとれの鯛のブツ切りを今炊きたての丼のご飯へ乗 せて、タマゴの黄身だけ、わさびの上等をシュッとすりこんで、上等の浅草海苔を裏表こ んがり火にあぶってバラバラバラッと散らして、お醤油をサーッとかけて、ザーッとかき まわして、ガサガサっと、18杯ほど食べる」のが好きと言う化け物のようなヤツまで登 場します。逆に「嫌いなもん」の尋ね合いが始まります。「ヘビ、ムカデ、ミミズ、クモ、 蟻、でんでん虫…」(蟻が怖い理由だけ書いておきます…蟻というのは歌にもありますように、「蟻さんと蟻さんこっつんこ」頭と頭を合わせてコチョコチョとお話をしてる時に、ひょっと自分の悪口を言われていると感じている感受性の強い男が居てるんです) 
いろいろと登場しますが、どこの町内に一人はおりますわな、気取り屋でイヤミ言いの男、本名・佐藤光太郎氏が「饅頭が怖い」と言い出します。そこで、仲間がプロジェクト・チームを結成します。皆がお金を出し合って、町内の甘い物屋で、これぞ饅頭の中の饅頭という、うまい饅頭を取り揃えます。高砂屋の上用饅頭、橘屋のへそ、カンセン堂の栗饅頭、最中、きんつば、回転焼き、田舎饅頭、そば饅頭、カステラ饅頭、水饅頭…いろいろと持って、布団かぶって震えている男の長屋に放り込むと…「キャー、バタバタ、キャー、バタバタ、家の中をグルグル走り廻る」のを長屋の外で楽しもうというイベントを企画したのですが、長屋の内はシーン。
「光っつぁん、死んだんちゃうか?」「饅頭で死ぬか?」「そら、死ぬかもしれへんで、あれだけ怖がってたんや」「お前や、お前、お前の投げた栗饅頭が光っつぁんの眉間に当って即死や」「そんなアホな」「待て、待て、逃げなや、こらえらいことになったぞ、近所の者が警察に通 報するわな、巡査が来よるな、刑事が来よるな、署長はんが来よるな、新聞記者も来よるな」「明日の朝刊に載るぞォ、友だち共謀して、佐藤光太郎なる男をば、饅頭にてあん殺すと」。
さて、内の光っつぁんは、「誰や、水饅頭持ってきたんわ、顔に当ってべちゃべちゃや、饅頭怖い言うたら、こないに持ってきてくれて、ごっつぉはんで…」「光っつぁん、饅頭食うてるで…、あんたのほんまに怖いもんはなんやねン」「濃いィ、お茶が一杯、こわい」…こんな噺でございます。

 東京と関西では、好き嫌いの比較や饅頭の種類や演出が多少異なりますが、本筋は同じ です。私は好きな噺の一つで、結構、演じてきました。すでにプロの噺家さんに提供してあるのですが、こんなギャグを入れています。朝刊に記事が掲載された後、「この事件が、ある有名な作家によって小説になるな」「ほんまか?」「アンガサ・クリスティ原作…饅頭 殺人事件言うてな」  お時間でございます。

 


“沖縄のディープなホテル”

 清八でございます。
 昨日(7月20日)行列待ちの「ターミネーター3」「マトリックス・リローデッド」より 先に、マイナーな沖縄映画「ホテル・ハイビスカス」を観てきました。
 そこで、沖縄をテーマにした、第2弾です。
 ゴールデンウィークに沖縄本島と離島へ行ったのですが、初日は那覇の沖縄第一ホテル に泊まりました。沖縄にご興味のある方は、おわかりだと思いますが、おそらくは沖縄で 初めてのホテルで、逆に言えば一番古いホテルです。建物も客室も東京からの観光客には 合わない古いタイプです。しかし、永六輔さんや筑紫哲也さんの定宿という事もマスコミ で報道されています。グルメ雑誌や女性誌には何度も取り上げられてきたので、おわかりだと思いますが、朝ごはんが有名です。青いパパイヤときくらげの炒め物、にが葉の白あえ、生もずく、みんぶつかーの胡麻和え、セロリとアロエベラ、へちまの酢味噌あえ、長命ぐきのかつぶしかけ、島にんじんの炒め物、島らっきょうのかつぶしかけ、おおたにわたりの豆腐ようかけ、つのまたの酢の物、自家製うっちんパンに紅芋のパン(これには胡麻ペースト、マーマレードなどがついています)、豆乳、シークァーサージュース、ゆし豆腐 のスープなど、自然の素材が朝から20種類の組み合わせとなってテーブルに並べられる のです。この朝食に出会うために他のホテルからの出張客の方が多いという朝ごはんです。 これだけ食べても、オーナーからは「お昼には、おなかすいてきますよ」と言われて、全くそのとおりになる不思議な朝ごはんでした。いつもは朝ご飯抜きを実行されている方には是非、お勧めします。
 昼間は、大衆食堂を廻ったのですが、こちらも旅行ガイドやグルメ誌に何度となく掲載されてきましたが事実です。「何とか定食」というのがありますね。おかずにご飯と味噌汁がついてくるセット物です。ところが沖縄で注意しないと、野菜炒めとか豆腐チャンプルー、天ぷら、といった単品を頼んでも、ご飯と味噌汁が付いてくる食堂が多いのですよ。
ですから、メニューを見て、よく理解できない場合、事前に内容を聞いておかないとテーブル上に一人分で6皿も並んでしまって、どないすんねん?という人生経験となりますので、くれぐれもご注意願います。「おかず」というメニューがあります。これが「○○食堂」によって少しずつ内容が異なるので、楽しいというか不安というか、ホテルやレストランでは味わえない料理です。団体旅行で行かれる場合も公設市場の中の食堂は、安くておいしいですから、絶対お勧めです。昼間から、大宴会が始まってしまうような内容ですから。
 まだ浜松では上映されていない?ので、くわしくは書きませんが、「ホテル・ハイビスカス」は現実のホテルではありません。那覇市出身の仲宗根みいこさんによる漫画の世界です。原作は、ウチナーグチ(沖縄の言葉)で表現されていますので、殆ど理解できないと思います。映画は、字幕で共通 語に翻訳しておりますので、大丈夫です。
 沖縄といえば、「沖縄そば」が知られてきましたが、那覇市の公設市場内に観光ガイドに まだ掲載されていない、やすくておいしいお店がありましたので、もし、ご興味がありま したらお問い合わせ下さい。小さいお店ですので、行列が出来たり、観光雑誌に取り上げ られると困りますので、個別にご紹介いたします。

 

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